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Xboxの生産にも使われる“人”中心のERP――マイクロソフト、「Dynamics AX」を投入

2007年06月20日 17時10分更新

文● アスキービジネス編集部

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マイクロソフトは6月20日、東京都内で会見し、同社初のERPパッケージ「Microsoft Dynamics AX 4.0」を正式に発表した。同日から販売を開始している。PC業界の圧倒的なガリバー企業であるマイクロソフトが、いよいよ基幹系でも国内市場に本格参入する。


柔軟なカスタマイズ性、Office連携に強み


「Dynamicsはマイクロソフトでもっとも成長している分野。日本は世界最後の市場として、欧米市場とは違った大きな意味を持つ」――。マイクロソフトの代表執行役社長であるダレン・ヒューストン氏は会見で力強く語った。

Xboxの生産にも使われ る“人”中心のERP――マイクロソフ...

マイクロソフト 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン氏

 マイクロソフトは、6月20日、ERPパッケージ「Microsoft Dynamics AX 4.0」(以下、AX 4.0)の販売を開始した。海外では買収によって手にした複数のERPパッケージを展開しているマイクロソフトだが、国内でERPを発売するのはこれが初めて。AX 4.0は、SCM(サプライチェーン)/生産管理/プロジェクト管理/会計/CRM(顧客関係管理)/人事/業務分析などのモジュールから構成される。

Xboxの生産にも使われ る“人”中心のERP――マイクロソフ...

Dynamics AX 4.0の画面。Officeソフトのようなインターフェイスを採用している

 製品の特徴は、「業務にITを合わせるのではなく、ITを業務に合わせられる。技術ではなく“人”を重視した」(ヒューストン氏)こと。マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部プロダクトマーケティング本部の國持重隆氏も「単なる高機能な製品ではなく、すべてのユーザーの役割に応じたエクスペリエンスを提供する」と話す。具体的には、個人ごとにユーザーインターフェイス(UI)をカスタマイズが可能であることや、フロントエンドにWebポータルやMicrosoft Officeを使えるといった点である。

 たとえばカスタマイズに関しては、個人ごとに項目名の表示・非常時や順番など、UIを手軽に変更することができる。また、多階層のアーキテクチャを採用しているため、「コア部分のアーキテクチャに手を入れずとも、簡単にカスタマイズできる。コア部分はそのまま使えるので、アップデートも容易だ」(ヒューストン氏)。

 また、同梱されるWebベースのポータルからAX 4.0のデータを閲覧したり、Word/Excelなどから直接、AX 4.0のデータを取り込んでレポートの作成に活用することも可能。「普段ERPを使うことがないユーザーでも、正確なERPのデータを使うことができる」(國持氏)という。このほか、1000ユーザー以上が同時利用できるスケーラビリティや、36言語をカバーするグローバル対応なども特徴である。

SharePointベースのWebポータルや、ExcelやWordなどとの連携利用が特徴

 ライセンス体系は、すべての機能を使うことができる「アドバンスト マネージメント エディション」と財務会計を中心に機能を絞った「ビジネス エッセンシャルズ エディション」の2つを用意する。価格はオープンプライスで、アドバンスト マネージメントの推定価格が47万7545円/サーバ、および21万5025~47万7545円/1同時使用ユーザー。ビジネスエッセンシャルズが27万10円/サーバ、12万1450~21万5025円/1同時使用ユーザー。

 マイクロソフトがAX 4.0で狙うメインターゲットは、年商50億円から500億円規模の中堅企業。また、大企業の子会社や部門単位で部分的に使用することも想定しており、米マイクロソフトでも「Xboxの製造部門で生産管理機能が使われている」という。ヒューストン氏は、「数十人から数千人規模の企業で幅広い実績がある。特に成長が早い企業に適している」と話す。


パートナー戦略を強調、認知度向上がまずは課題に


 AX 4.0の国内での普及の鍵となるのは、パートナー戦略だ。同社は「パートナーとともに協業しながら進めたい」と強調。すでに、日立製作所やNEC、大塚商会など16社が名乗りをあげている。ただし、これらのパートナーは、すでに他社製品を扱っていたり、自前のERP製品を持っているところがほとんど。業務執行役員マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部長の宗像 淳氏は、「他のERPの置き換えではなく、補完的に使ったり、手組みのシステムやExcelを使っているところに対して訴求できる」と説明する。

 「海外ではコンペになれば8割近くのケースで我々が勝っている。非常に魅力的な製品」と強気の姿勢を見せるヒューストン氏。すでにグローバルで7500社以上という実績がその自信の裏づけだ。「課題はマイクロソフトがこの分野でビジネスをしていることが知られていないことだ。まずはパートナーと一緒に長所を提案し、製品選択の選択肢に挙げてもらえるようにしたい」と意気込みを語る。

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