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話題のHome Serverは姿を見せず

マイクロソフト、開発者向けイベント“WinHEC Tokyo 2007”を開催

2007年06月18日 20時21分更新

文● 編集部 小西利明

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マイクロソフト(株)は18日、東京都内にてハードウェア開発者向けイベント“WinHEC Tokyo 2007”を開催した。会期は19日まで。初日には基調講演が行なわれ、Windows Vistaを取り巻くハードウェアの最新事情についての説明が行なわれた。

講演のメインを担当した、米マイクロソフト社にてWindowsハードウェアエコシステムを担当するコーポレートバイズプレジデントのビル・ミッチェル(William Mitchell)氏は、自身が担当するハードウェアのエコシステムを主題に、さまざまなデモを交えながらWindows Vistaと最新のハードウェア技術が実現するモノを披露した。

ビル・ミッチェル氏

米マイクロソフト Windowsハードウェアエコシステム担当コーポレートバイズプレジデントのビル・ミッチェル氏

まず“モバイルPCの革新”として、UMPC(ウルトラモバイルPC)が紹介された。UMPCの紹介を担当した米マイクロソフトのロジャー・グルジャニ(Roger Gulrajani)氏は、富士通(株)が発表したFMV-LIFEBOOK『FMV-U8240』(関連記事)を取り上げて、第一世代のUMPCはキーボードを搭載しない点が市場に受け入れられなかったと述べ、新しいUMPCが、小なりと言えどもキーボードを搭載している点を進化点として挙げた。韓国サムソン電子社の『Q1 Ultra』や、ソニー(株)の“VAIO type U”、台湾HTC社の『HTC Shift』なども、UMPCの例として披露された。

ロジャー・グルジャニ氏は富士通のUMPCを手に、新世代のUMPCを紹介した

ロジャー・グルジャニ氏は富士通のUMPCを手に、新世代のUMPCを紹介した

モバイルパソコンの例として紹介されたノートパソコンやUMPC

モバイルパソコンの例として紹介されたノートパソコンやUMPC

“Windows Sideshow”対応のデバイスや試作品

Vistaに搭載されたサブディスプレー機能“Windows Sideshow”対応のデバイスや試作品。Windows Mobile 5/6対応端末をSideshowデバイスとして機能させるソフトウェアも今秋提供予定

またミッチェル氏は家庭内のさまざまな機器がネットワークにつながるホームネットワーキングに重要な技術として、パソコンやデジタル家電、ネットワーク機器の相互接続仕様“Windows Rally”(ウィンドウズ ラリー)を取り上げた。LANを経由したパソコンや家電の接続は、互いに機器の種類や持つ機能などを情報交換する標準規格がなく、USBのような手軽で確実な接続にはほど遠いのが現状であるが、ミッチェル氏はWindows Rallyによって、「USBが行なったような変革をもたらすかもしれない」と述べた。

Windows Rallyのデモでは、無線LAN機能を内蔵するデジタルカメラを一旦パソコンとUSBで接続し、無線LAN接続に必要な情報を自動でカメラ側に転送して無線LAN接続を可能にする様子が実演された。無線LAN接続が確立した後は、カメラで撮った写真が随時パソコン側に自動転送される様子が披露され、従来までの撮り貯めてからパソコンへ転送するカメラとは異なった使い方が可能なことを示した。そのほかにも、IEEE 802.11n対応の無線LANアダプターを介してパソコンとXbox 360を無線LANで接続し、Xbox 360側のMedia Center Extender機能を使って、パソコン上にあるWMV HDのビデオファイルをテレビで視聴する様子が披露された。

Windows Rallyのデモでは、無線LAN機能内蔵のデジカメの設定を、USB経由でパソコンから行なうデモを披露

Windows Rallyのデモでは、無線LAN機能内蔵のデジカメの設定を、USB経由でパソコンから行なうデモを披露

Windows Rally対応のサイドバーガジェットのデモ

Windows Rally対応のサイドバーガジェットのデモ。対応ネットワーク機器の設定確認などを行なえるようだ

一方で、2007年1月の“2007 International CES”で発表されたホームサーバー“Windows Home Server”については、スライド1枚で簡単に言及されたに止まった。Windows Home Serverはすでにリリース候補版(RC1)が開発者向けに公開されているが、今回はデモ等の披露も行なわれていない。いささか残念だった。

Windows Home Serverの紹介はスライド1枚のみ

Windows Home Serverの紹介はスライド1枚のみ。WinHECは新製品紹介の場ではないとはいえ、いささか寂しい

将来のデバイスについての話題で、ミッチェル氏が学生とのデザインコンペで登場したデバイスの図を披露

将来のデバイスについての話題で、ミッチェル氏が学生とのデザインコンペで登場したデバイスの図を披露。絵だけでは、何に使うものが見当も付かないものも

WinHECは基本的に、現在あるいはごく近い将来のハードウェアに関する話題が主となるイベントであるが、基調講演の最後にマイクロソフト(株)業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一(かじさ しゅういち)氏は、少し先の話題として今後のCPUの進化と、それに合わせたソフトウェア開発の話題に触れた。

加治佐氏はコンピューティングが広い分野で使われる広がりを見せる一方で、さらに高い性能を求める声も根強いとした。性能向上を支えるのは、“ムーアの法則”に代表される半導体製造技術の進歩だが、加治佐氏は「今後の熱や消費電力増大を考えると、今までどおりのスケールアップはできない状況にある」と述べた。それに対するアプローチが、多数のCPUコアを実装したメニィコアCPU、それも同じ機能のコアを並べるのではなく、異なる機能のコア群を混在させる“ヘテロジニアス・マルチコアCPU”である。

将来のメニィコアCPUの説明スライド

将来のメニィコアCPUの説明スライド。パソコンやサーバー、モバイル向けなど、同じアーキテクチャーをベースにしながらも、実装される機能や数は大きく異なる

加治佐氏はまずマルチコアCPUのパワーを最大限に生かすソフトウェア開発について、「従来からの(並列化)プログラミングモデルだけでは通用しない。超並列処理が次のチャレンジである」と述べた。また、メニィコアCPUはサーバーの世界の話題として顕著であるが、パソコンやUMPCにも波及すると述べた。講演では言及されていないが、ヘテロジニアス・マルチコアCPUの実用例としてはすでに『プレイステーション3』に搭載されている“CELL/B.E.”があるわけで、その意味でもヘテロジニアス・マルチコアCPUがパソコンや家電の世界と縁遠いわけではないことが分かる。

一方で、CPUのメニィコア化でソフトウェア開発が今まで以上に複雑化するのは好まれないと加治佐氏は指摘し、複雑な並列処理を効率的に扱うソフトウェア基盤として、“CCR:Concurrency and Coordination Runtime”と称するソフトウェア実行プラットフォームを開発していると述べた。これは.NETプラットフォーム上で並列処理プログラムを実現する技術になるという。

WPFを活用したプラネタリウムソフトも発表

講演後に行なわれた記者説明会では、Windows Vistaの普及促進に関する施策の一環として、グラフィックスサブシステム“WPF”(Windows Presentation Foundation)を活用したウェブコンテンツ“MEGASTAR ONLINE”(http://www.megastar.jp/wpf)が公開されたと発表した。開発には世界的に名高いプラネタリウムクリエイターの大平貴之氏が当たる。

プラネタリウムクリエイターの大平貴之氏

プラネタリウムクリエイターの大平貴之氏(左)。手前の球体は大平氏開発の『MEGASTAR II』

WPFを使ったプラネタリウム体験コンテンツ“MEGASTAR ONLINE”

WPFを使ったプラネタリウム体験コンテンツ“MEGASTAR ONLINE”(写真は開発中のもの)

MEGASTAR ONLINEは現在開発中のコンテンツで、大平氏の開発したプラネタリウム“メガスター”の世界観をウェブコンテンツ上で再現するもの。画面上に3Dで表現される夜空の上でプラネタリウムの番組が再現され、ユーザーは自在に操作してプラネタリウムを疑似体験できるという。

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