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中国IT小話――中華なSL“HiPiHi”で旅に出てみた。

2007年06月18日 17時30分更新

文● 山谷剛史

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マウス操作だけでカンタンだが、動作の遅さを感じる部分も


 写真以外で思ったことをいろいろと。まずHiPiHiは、SLに比べ格段に速度が遅く、画面が粗い。また中国内からサービスを利用しているにもかかわらず、SLよりもオブジェクトが出てくる時間が長い。したがってどちらが快適かといえば、SLのほうに分がある。

 また椅子に座ってみるなど、作られたオブジェクトに合った行動ができるか試してみたが、いずれもできなかった。

 SLでの操作は移動をとってもキーボードが必要だが(画面上の各移動ボタンをクリックすれば動かせるが)、HiPiHiは一般的なホイールマウスひとつで動き回れる。画面のどこかをクリックする必要すらない(もちろんキーボードにも前進や回転など各行動のキーは割り振られている)。個人的には、マウスだけで操作できるHiPiHに好感が持てる。



RMT対策のためか、バーチャルマネーはなし


 中国ではここ最近、バーチャルなアイテムやマネーを現金と取引するRMT(リアルマネートレード)に対し、否定的な姿勢をとっているためか、HiPiHiにおいてはバーチャルマネーは存在しない

 とはいえ、現在のところはHiPiHi自身が“HiPiHi創世記”としているので、将来は現状より改善される可能性があることも補足しておく。

 再度ビジュアル面で思ったことを書くと、利用者が1日通しても二桁前半しかいない。サービスがスタートして時間があまりたってないためだと思うが、あまりにさびしい。人には数分に1回会えばいいほうで、5人同時に画面に登場するのは奇跡に近い。人はほとんどいないので、まるで無人島にいるような感覚だ。



中国らしさ以外の価値を提供できるか?


 中国向けだからこそ、中国時間で昼と夜が交互にやってくる。またおそらく利用者のほぼ100%が中国人だからこそ、ユーザーによってつくられたものも、HiPiHi自身が作ったオブジェクトもいかにも中国らしいものばかりだ。中国の国旗だけでなく、たとえばディスコにしたって、店のつくりはリアルにある中国のディスコそのものだ。そういった意味では、HiPiHiで創られた世界は中国人のみによって描かれた中国的ヴィジュアルの仮想世界といえる。

 現状では特に企業広告もなく、ユーザー自身が創造活動を活発にしているわけでもない。このままでは前途多難に思えるがどうだろう。HiPiHiはこれぞというサービスのアイディアを今後中国人に提案し、ユーザーを増やせるだろうか?


山谷剛史(やまやたけし)

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。

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