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2008年には市場規模2兆円に!?

中国携帯コンテンツ市場に 日本企業が挑む

2007年06月23日 00時00分更新

文● 外村克也(編集部)

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月刊アスキー 2007年8月号掲載記事

加加城

上画面はディー・エヌ・エーが日本国内で展開している会員数500万人のSNS「モバゲータウン」。無料でゲームが遊べるという独自の仕掛けが人気を呼んだ。下画面はその中国語版「加加城」。現在、ゲーム配信については認可を申請中で、SNS機能のみのサービスとなっている。

 5月、中国政府は携帯キャリア各社に対し3G携帯電話通信方式の「WCDMA」「CDMA2000」の採用を許可した。

 もともと中国では、オリンピックが開催される2008年に向けて、第3世代携帯電話通信(3G)の「TD・SDMA」という中国独自方式を用いた環境整備が進められていた。しかし標準規格への対応で、当初乗り気がなかった海外の端末メーカーも、ここにきて注目しはじめている。

 3Gの採用にともない、もっとも変わると期待されているのが携帯コンテンツ市場。現在中国で主流のデータ通信方式「GPRS」は21・4kbpsと遅く、画像はもちろんテキストコンテンツを閲覧するにもストレスが溜まる。3Gに移行すれば384kbpsにまで高速化されるため、軽快にコンテンツを閲覧でき、利用者も増加するというのが業界の見方だ。

 これにあわせて、日本企業も活発に動き始めた。携帯電話用のゲームを提供するコナミや日本エンタープライズはいち早く中国に向けたコンテンツの提供を開始。今年5月にはシーエー・モバイル、サイバー・コミュニケーションズ、電通の3社出資による「北京電翼広告有限公司」を立ち上げ、中国モバイル広告市場の開拓を狙う。

 携帯SNS会員数トップの「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーも、今年3月に中国版SNS「加加城」をスタートした。同社は「中国ではまだSNS自体が認知されていませんが、広告展開も視野に入れて市場を確立していきたい」と意欲的だ。また中国の携帯コンテンツ市場について「サイト数が、いま急速に増えている」という。

 業界関係者によれば「増加中のサイトは、出会い系やアダルトコンテンツ、違法なコンテンツが多く無法地帯。全体的にサイトの作りが粗いので、日本の良質なサイトを持ち込めば十分にビジネスチャンスがある」。2008年にはサイト数がさらに増加すると見られており、参入は3Gがスタートする前の今年から来年頭にかけてが勝負どころとしている。

 ただし、外資が中国でネット事業を始めるのには、それなりに期間が必要。「SNSやゲーム、音楽などサービスの種類毎に中国政府から許可を得る必要があり、それぞれ数カ月の期間を要する」(ディー・エヌ・エー)とのことだ。

 日本の携帯SNSサイト2番手のGocco(ゴッコ)も中国進出に乗り気だ。中国のスカイインフォ社(インデックスグループ)を通じてブログや写真投稿機能を使ったコミュニケーションサイトを開始予定。3G携帯の普及時期に200万~300万人の会員獲得を見込んでいる。

携帯電話利用状況

携帯電話利用者数は年々増加。2005年には通信料金の見直しが図られ、ネット付加サービスの利用が増えた。3Gサービスが開始される2008年には、ネット利用者が5億人近くまで増加すると思われる。 資料:iResarch「Number of China Mobile VAS 2003-2008」

モバイル通信市場規模予測

グラフは接続料金やコンテンツ利用料などを合算したもの。年々50~30%の成長率で、急速に市場が立ち上がっているのが分かる。2008年には1511億RMB(およそ2兆円)に達する見込み。資料:iResarch「Market Size of China Mobile VAS 2003-2008」

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