パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は、6月13日、東京都内で記者会見を開き、米マイクロソフトのERPパッケージ「Microsoft Dynamics NAV」のテンプレートを発表した。三菱マテリアルとパートナー契約を締結、共同で開発する。海外拠点を持つ日本の製造業を中心に今秋から販売を開始する計画だ。
三菱マテリアルと共同開発、定評のあるDynamics NAVの製造業向け機能を強化
「Microsoft Dynamics NAV」(以下、Dynamics NAV)は、多言語・多通貨、複数拠点での利用に対応した中堅企業向けのERPパッケージ。米マイクロソフトが2002年にデンマークのナビジョンを買収し、製品名を改めて展開している。グローバルでは5万7000社の顧客企業を抱えるとされる製品である。
パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は、2001年からナビジョンとパートナー契約を締結しており、以来、独自に日本語版の開発・販売を手がけてきた。マイクロソフトによる買収以降も、米マイクロソフト本社とパートナー契約を締結し、引き続きNAVを扱っている。なお、マイクロソフトの日本法人では、同じく買収によって手にした「Microsoft Dynamics AX」のみを国内で展開する方針を示している。
PBCは今回、業種別ソリューション拡充策のひとつとして、「Dynamics NAV 製造業向けテンプレート」(以下、製造業向けテンプレート)を発表した。同テンプレートはDynamics NAVに製造実行系の機能を追加するもので、三菱マテリアルの製造業向けシステム開発部門と共同で開発する。
もともと、Dynamics NAVは生産管理機能を用意しており、製造業での採用実績も豊富だが、製造実行系の機能は持っていなかった。これは他のERPパッケージでも同様で、多くの製造業では、ERPパッケージに加えて、独自の手組みのシステムや専用システムを使うことが多かったという。PBC取締役副社長の小林敏樹氏は、「製造業の工程管理を理解したベンダーも少なく、大部分のERPパッケージは日本の製造業が満足できるレベルの工程管理機能を持っていない」と話す。
製造業テンプレートが提供するのは、製造指示管理、ロット管理、品質データ管理、実績管理、たな卸し、APS(Advanced Plannning & Scheduling)連携、各種帳票の出力機能などである。また、オプションとして、RFIDとの連携による電子カンバン・通過データ自動収集などの追加機能も用意する。「今回の製造業テンプレートを追加することで、製造業におけるすべての一連のデータの流れがDynamics NAVで完結する」(小林氏)。
PBCでは、まずパイロットとなる顧客企業を先行獲得し、今秋にも正式な販売を開始する予定だ。PBCが従来から得意とする海外拠点を持つ日本の製造業を中心に、直販およびシステムインテグレータなどのパートナー経由で販売する。
PBCの代表取締役社長である萩島紀子氏は、「生産管理は、海外市場でDynamics NAVがもっとも高い評価を得ている機能。その特性と三菱マテリアルの豊富なノウハウをもとに、日本の製造業に対して具体的な解決策を提供する」とアピールした。