三洋電機(株)は13日、世界最短の設置距離を実現した液晶プロジェクター『LP-XL50』を発表し、都内で記者会見を開いた。発売は12月21日で、価格はオープンプライスで、想定実売価格は60万円程度。
投映光を本体内で非球面ミラーに反射させ、本体上部から斜め上(72度)に投映することで超短距離投映を実現した本機。スクリーンから8cmの距離に設置して80インチ投映が可能。またスクリーンにくっつけた状態でも67インチの投映が可能となる。
このため本体は“くの字”に折れ曲がった独特な形状になっている。本体サイズは幅374×奥行き495×高さ196.8mmで、重量は7.8kg。投映には3原色液晶シャッター方式を採用。0.8インチTFT液晶パネルを3枚搭載し、解像度は1024×768ドット(リサイジングにより1920×1080ドット表示も可能)となる。輝度は2000ルーメンで、映像入力はアナログRGB×2、ビデオ入力×1となっている。
床に直置きすれば、床がスクリーンに早変わり!
本機は縦置き(投映レンズを上または下に向けること)が可能で、その状態で投映すると天井や床にも映像を表示することができる。たとえば床に置いて下に向かって投映すれば床自体がスクリーンになる。またガラスのような光の透過率の高いものの裏側から投映することで、リアプロジェクターのように映像を表示することもできる。例えばガラス机の下から上に向かって投映すれば、机上がスクリーンになる、といった具合で、同社によると床やテーブルに大画面投映を実現する世界初の製品だという。
今回の製品の開発にあたり、以下の3つの問題を克服する必要があったという。
- 超短焦点の実現
- ミラーに反射させることで生じる歪みの解消
- ミラーに反射させることで生じる輝度の低減の解消
これらの問題に対して、以下のような対策を施して今回の製品が誕生したという。
- 凹面ミラーの採用により、投写光を広角反射して拡大率をアップ
- ミラーと補正レンズを一体化させることで、画像の歪みを低減
- 高輝度光学エンジンの開発により、3500ルーメンの出力を実現。ミラーに反射させても2000ルーメンの輝度を保持
発表会では、今回の製品の開発経緯について、同社執行役員 DIカンパニー副カンパニー長 プロジェクター事業部長の吉年慶一氏が説明。同氏によると昨年10月に短焦点距離プロジェクター『LP-XL40』を主に教育機関向けに販売したところ、「もっと教壇の近くで使いたい」「ホワイトボードに取り付けたい」「人の影が映りこまないようにしたい」といった要望があったという。
ただ、今回の製品は教育現場だけではなく、ビジネス用途や店舗などでの電子広告用途にも活用できるとしており、ユーザー層を広げたいとしている。