(株)東芝は12日、記録型HD DVDを搭載したHDDレコーダー“VARDIA”『RD-A600』『RD-A300』の発表会を、東京都・品川で開催した。製品の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここでは発表会の模様をお伝えする。
北米でのシェアはゲーム機を除いて66%
まず、同社執行役上席常務デジタルメディアネットワーク社社長の藤井美英氏が登壇し、HD DVDの市場について解説した。同氏はHD DVDの販売において「アメリカと日本で状況が違う」のが問題だと指摘した。たとえば、「DVDとは何か」とアメリカ人に聞くと、大半は「映画を見る機械」と答え、一方日本人は「テレビを録画する機械」と答えるという。このギャップを超える製品開発が難しいと明かした。
また、北米においてはHD DVDが60%、Blu-rayは40%のシェアになっているとし、さらに今年4月にはゲーム機を除き、東芝製のHD DVDプレーヤーのシェアが66%にもなっているとして「なぜBDが勝ったといえるのか!!」と語気を強めた。同氏によれば、ヨーロッパはもっと圧勝している。
プロモーション価格299ドルで「HD DVDを買わない理由はなくなった」
続いて登壇した米Universal Studios Home Entertainment社の上級副社長で、北米HD DVDプロモーショナルグループのプレジデントでもあるケネス・グラフィオ氏が「私たちは画期的な記録を達成しました」とし、HD DVDが民生用プレーヤーとして初めて10万台を突破したことに触れた。10万台突破から2ヵ月が経過した現在は15万台を越えており、民生用プレーヤーの約60%以上を占めているという。
また、映画の“アタッチレート”(プレーヤー1台あたりのソフト販売本数)については、Blu-rayが“1”に対し、HD DVDは“4”だとし「このアタッチレートの優位性は今後揺るがない」と語った。
ちなみに、北米において、東芝がプロモーション価格299ドル(約3万6000円)でプレーヤーの販売を行なったことについて同氏は、あるジャーナリストが「HD DVDを買わない理由はなくなった」とコメントしたと紹介した。
もうちょっとBDがんばって
質疑応答では、藤井が新製品の価格について「オープン価格なので言えないが、ギャンブラーの勘として」の予想実売価格を公表。A300が15万円前後、A600が20万円を切るぐらいとした。
日本市場については「1万台も売っていない」と明かし、「順番的にレコーダーを最初に普及させないとなかなかプレーヤをお求めいただく形は少ない」と語った。ただし、プレーヤーは価格が安く、普及が見込めるとして「失望はしておりません」とした。
また、2007年通期のワールドワイド販売台数について、300万台という目標を掲げていたが、これは「下方修正せざるを得ない」とした。北米で180万台を見込んでいたが、売れ行きが芳しくなく「最低100万台は売りたい」という状況だという。
同氏はこの状況について「(年明けに)もうちょっとBDががんばって、安いやつをバンバン早くから売ってくれたら、相乗効果で次世代DVDが注目を浴びてマーケットが増えるのではないか」と期待していたという。