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コクヨとフィードパスから生まれた“エンタープライズ2.0”――両社の担当者に聞く

2007年06月12日 14時06分更新

文● アスキービジネス編集部

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フィードパスとコクヨは、6月7日、フィードパスの企業向けWebメーラ「feedpath Zebra」と、コクヨの文書配信サービス「@Tovas」の連携ソリューションを発表した。両製品の連携によって実現するという「エンタープライズ2.0」ソリューションとは何か。両社の担当者に話を聞いた。

コクヨとフィードパスから 生まれた“エンタープライズ2.0”―...

左からフィードパスの岩上由高氏、コクヨの山崎篤氏、フィードパスの竹之内 憲氏


文書配信のプラットフォームとなるコクヨの「@Tovas」


「コクヨは100年以上の歴史を持つ会社で、なかでも伝票類は創業時から手がけてきたルーツともいえる製品。新しい事業を考える上で、ITを使った伝票関連のサービスはできないかと考えたのがきっかけだった」

 こう話すのは、コクヨRDIセンター@Tovas事業部長の山崎篤氏だ。このとき、電子伝票のような伝票そのものを作るよりも、文書を“送る部分”をサポートできないかと考え、今から3年前に始めたのが「@Tovas(アットトバス)」というサービスだという。

コクヨとフィードパスから 生まれた“エンタープライズ2.0”―...

@Tovasの受け取り画面

 @Tovasは、PCで作成した電子文書を安全に配信するためのASPサービスだ。ファイルを@Tovasのサーバにアップロードすると、ダウンロード先のURLが相手方に通知され、相手がURLにアクセスしてファイルをダウンロードする。アップロードしたデータを受け取ったかどうか履歴がすべて記録されるため、「文書のトレーサビリティを高めることができる」(山崎氏)のがメリットだ。

 同種のサービスはほかにもあるが、@Tovasの特徴は、アップロードしたファイルをファクスや郵送といった他の手段を使っても送信することができる「プラットフォーム的な側面」を持つことだ。言い換えれば、文書をさまざまな手段で送るアウトソーシングサービスが@Tovasだといってもいいだろう。

 だだ、これまで@Tovasを利用するには、専用のクライアントソフトを導入するか、Microsoft OfficeやLotus Notesなどにアドオンとして組み込むことが必要だった。今回の「feedpath Zebra」との連携によって、Zebraからメールを送る感覚で手軽に@Tovasを利用できるようになり、格段に利便性が向上したのである。


Zebraとのマッシュアップで利便性が大きく向上


コクヨとフィードパスから 生まれた“エンタープライズ2.0”―...

@Tovasとfeedpath Zebraとの連携ソリューションの概要

 feedpath Zebra(以下、Zebra)は、米国ジンブラが開発した「Zimbra」をベースにしたWebメーラだ。Ajaxを全面的に採用したことで従来のWebメーラにない高い操作性を実現したのが特徴で、SaaS(Software as a Service)モデルで提供される(関連記事を参照)。

 今回のZebraと@Tovasとの連携ソリューションの利用は非常に簡単だ。両方のサービスを契約すると、Zebraの送信画面に@Tovasを利用するための専用ボタンが追加される。@Tovasでデータを送りたいときにはこの専用ボタンを押すだけで@Tovas経由でデータを送信できる。「通常のメール送信とまったく同じ操作で、ユーザーに負荷を与えない仕組み」(フィードパス技術開発本部マネージャーの岩上由高氏)。

コクヨとフィードパスから 生まれた“エンタープライズ2.0”―...

feedpath Zebraに@TovasのZimletを追加すると、通常のメール同様に@Tovasを利用できるようになる

 また、@Tovas経由で送ったデータの送信履歴もZebraの送信済みトレイから一括して参照できるほか、@Tovasの管理画面からは、相手方が実際にデータを受け取ったかどうかを確認できる。

 フィードパス事業推進本部長の竹之内 憲氏は、「我々はZebraでメールソリューションを提供してきたが、重要データを添付ファイルとしてやり取りするのには問題があった。@Tovasは内部統制上も非常に意義のあるサービスで、両者は補完関係にある。ユーザーが享受できるメリットは大きい」とアピールする。

 こうしたスムーズな連携が実現したのは、Zebraが持つ「Zimlet」という仕組みのおかげだ。Zimletとは、外部のWebサービスと連携するためのインターフェイスであり、Zebra上に簡単に機能を追加して利用する“マッシュアップ”を実現できる。今回の連携も、「トントン拍子で話は進み、サービスインまでは2~3カ月だった。このスピード感はSaaSならではだ」(フィードパスの竹之内氏)という。

 また、現時点ではファイルを@Tovasで送信する機能のみだが、今後はより連携を深める予定だ。具体的には、@Tovasが持つファクス送信機能の呼び出しや、@Tovasで送信したファイルをZebraで受け取る機能、ユーザーごとにポリシーを適用する管理者機能など、「ユーザーのニーズを聞きながら、積極的に検討していきたい」(フィードパスの岩上氏)としている。

 新サービスは、@Tovasの既存ユーザーである営業代行業のエムエム総研がすでに全社利用を決めた。同社では、社員・アルバイトの一部の合わせて100名弱がメール環境を含めて新サービスに段階的に移行する計画だ。

 サービスの利用料金は、Zebraが初期費用10万円、月額2480円/1アカントから。@Tovasは初期費用3000円/1アカウント、月額1000円/1アカウントからとなる。フィードパスとコクヨは、年内に100社への導入を目指す。

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