アシストは6月7日、内部統制の整備・運用を支援するパッケージソフト「Tosei Vision」を発表した。韓国版SOX法対応で豊富な実績を持つ韓国製ソフトをローカライズし、日本版SOX法に対応させた。販売は同日から開始し、7月10日から出荷する。
関連文書を一元管理、プロセスの進捗管理も
「Tosei Vision」は、内部統制の整備・運用評価のプロセスを管理するソフトウェアである。ベースとなるのは、韓国のユニテック・インフォコムがプライスウォーターハウスクーパーズ韓国と共同開発した「eXPM Crystal」。アシストが国内における独占販売権を獲得し、日本版SOX法の基準に対応させた。
韓国では、2006年1月から韓国版SOX法(K-SOX)が実施されており、Tosei VisionのもとになるeXPM Crystalは対象企業1800社のうち300社に導入されているトップシェア製品。アシスト取締役の小林太一氏は「決め手は、韓国でナンバーワンの製品であるということ。シェアが高い分、製品自体の完成度が高い。また、メーカーの対応力も早かった」と提携にいたる背景を話す。
日本版SOX法対応のための内部統制の整備では一般に、まず文書化を行ない、それにも基づく実際の統制状況を評価して、不備があれば改善していく流れをとる。Tosei Visionが支援するのはこのうち、文書化後の内部統制の評価と改善、および監査プロセスの部分。文書化自体の機能は持たないが、作成済みのRCM(リスクコントロールマトリクス)などの文書(Excel形式)を取り込むことは可能だ。
具体的な使い方としては、会社の基礎情報や統制目標、統制活動、担当部署、評価計画、チェック項目、プロセス別の関連文書といった情報を内部統制担当者がステップに沿って登録する。次に、評価担当者が登録された情報に基づき統制状況の評価を行ない、結果を入力。承認者が評価結果を確認して承認する。
Tosei Visionはこの一連の流れを記録するとともに、進捗状況を視覚的に表示。あらかじめ定めた期日を過ぎた際にはメールで催促文を送ることも可能だ。また、各担当者ごとに担当する業務範囲が表示されるポータル画面が提供されるため、誰が何をするべきか、把握できるようになる。
アシストの内部統制・セキュリティ事業推進室長の岡田昌徳氏は、「同様の製品はすでに他社にもあるが、汎用的なツールの使いまわしが多い。Tosei Visionは専用アプリケーションとして、実際にツールを使うエンドユーザーの使い勝手を最大限に考慮している」と特徴を話す。
Tosei Visionの動作環境は、Windows/Linux/UNIX。アプリケーションサーバとしてTomcat/WebLogic/Web Sphere、データベースにSQL Server/Oracle 9iのいずれかが必要。価格は、1法人あたり525万円。連結子会社などで利用する際には、追加ライセンスとして1法人あたり105万円がかかる。
アシストが狙うのは、日本版SOX法の対象となる国内の上場企業3800社。内部統制室など、内部統制を推進する立場の部署に対して売り込んでいく。アシスト自体は内部統制コンサルタント部隊を持たないため、直販のほかに、内部統制コンサルティングを手がける大手コンサルティングファームやインテグレータ10社程度と協業して拡販を進める。2008年3月末までに40社、売上2億円を目指すという。