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中国IT小話──メーカーPCよりも自作PCが大人気なデスクトップPC事情

2007年05月28日 18時00分更新

文● 山谷剛史

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中国では、まだまだパソコンは高級品


 「デスクトップPCを購入するとき何を意識するか?」という質問の回答は、上から順に「スペック」が65.6%、「総合的に見た実用性能」が58.8%、「価格」が44.2%、「サービス」が29.9%、「外観」が22.5%となった。パソコンの外観を気にする人は、ほとんどいないようだ。前述のメーカー製パソコンが凝ってないこともしかり、自作PC市場においてもキューブ型パソコン、省スペースパソコンは非常にレアな存在で、電脳街で展示されるケースはいずれもタワー型という環境ゆえの結果だろう。

 「デスクトップPC購入にかけられるお金はどれくらい?」という質問の回答は、上から順に

  • 3999~4999元(約6万4000~8万円)が37.1%
  • 4999~5999元(約8万円~9万6000円)が28.8%
  • 2999元~3999元(約4万8000円~6万4000円)が15.3%
  • 5999~6999元(約9万6000円~11万2000円)が12.4%
  • 7000元以上(約11万2000円以上)が6.4%
となった。




メーカー製パソコンと自作は共存し続ける?


 上海や北京では給料が5万円以上の人も珍しくないが、一般的な大都市では月給3万円弱が当たり前。都市の規模が小さくなるにつれ、沿岸から内陸に進むにつれ所得は低くなる。いずれにしろパソコンは日本人とは違って簡単に買える代物ではなく、10万円以上のPCは未知の世界だ。

 「今後自作PCとメーカー製パソコンは共存するか?」という質問の回答に、多くが「共存する(68.4%)」と回答し、残りが「メーカーPCが自作PCにとってかわる(21.5%)」「自作パソコンがメーカーPCにとってかわる(10.1%)」と回答もあった。日本では自作がマイナーになってきているというレポートを聞くが、中国では少数派ながら、「自作PCがメーカーPCにとってかわる」と回答しているのが興味深い。

ショップの様子

ショップブランドパソコンを販売するPCショップ。相談用の円卓がいくつも置いてある

 とざっとレポートの内容を紹介したが、なんとなく中国の自作パソコン人気を感じることはできただろうか。自作パソコンは人気である一方で安くあげるのが目的なため、前述のキューブ型パソコン、省スペースパソコンに加え、水冷パソコン、静音省電力パソコンなど、「ちょっとお金がかかるパソコン」というのは電脳街で見かけることは、「ない」とはいわないものの非常に少ない。購入時に比較的かわいいパソコンケースや、柔らかな感じのパソコンケースを望む女性ユーザーは多いが、財布との相談から、ごつくて安いパソコンケースに落ち着いてしまうのだとか。ちなみにノートパソコンはというと、中国ではベアボーンノートが販売されていないため、100%メーカー製パソコンとなっている。



まだまだデスクトップ比率は高く、その多くが自作パソコン


 それを踏まえて最後に気になるデータを紹介。リサーチ会社の易観国際によると、2006年に出荷されたデスクトップパソコンは1533万6000台、ノートパソコンは481万3000台という統計が出ている。これに自作パソコンは含まれていないので、自作パソコンを含めれば、デスクトップパソコンの出荷台数はかなり増え、またデスクトップパソコンとノートパソコンの比率についてもデスクトップパソコンがさらにノートパソコンの出荷数を引き離す結果となると思われる。

ショップの様子(2)

ショップブランドパソコンを販売する別のPCショップ。ここにも相談用の円卓がある

 日本では自作パソコンは下火の感のあるが、中国ではこれからも続くだろう。というのも上海や北京など有名どころの都市をはじめとした大都市では、パソコンを導入したい家庭では一通り普及し、買い替え需要しかない感があるが、大都市よりも平均所得がずっと小さい中小都市や農村部ではこれからが普及の段階だからだ。今後も中国において自作PCは無視できない大きな存在となりうるだろう。

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