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ベッドの横にIT端末

医療情報システムで変わる医師と患者のコミュニケーション

2007年05月23日 00時00分更新

文● 清水真砂

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月刊アスキー 2007年7月号掲載記事

「ProRad Viewer Plus」の画面写真

「ProRad Viewer Plus」の画面写真。タッチペンでなぞると実際の大きさを自動的に計算して表示してくれるなど、従来のレントゲン写真より高いユーザビリティを実現している。

 病院で使われるレントゲン写真のフィルムを将来的になくしてしまおう、という動きがあるらしい。レントゲンフィルムにまつわる保存、管理、環境への影響などの問題や、医療制度改革でコスト面の見直しも進み、フィルムレスでデジタルデータ化するという方向に進みつつある。

 もちろん、患者にとってもメリットのある話だ。河上聡京都大学医学博士によれば「IT化によって、履歴などの検索や電子カルテとのマッチングが容易となり、患者への説明と理解がより向上するようになる」という。

 たとえばトライフォー社が開発した「ProRad Viewer Plus」は、ベッドサイドでの患者説明を主な目的としたレントゲンビューアで、監修にあたったのは前述の河上氏だ。このシステムはウェブブラウザ上で操作が可能。PCさえあれば、院内のどこからでもアクセスできる。また、画面上に書き込んで説明できるなど、患者本位のユーザビリティを実現している。

写真左がベッドサイド端末、写真右がプロジェクターでの使用例。「ProRad Viewer Plus」はPCさえあれば、IEやFirefoxで動作する。

 でも、患者にとってみれば、IT化された医療に違和感を受けるかもしれない。こういった問題について河上氏はこう語る。「IT化されたとしても、医療行為そのものはあくまでも医師と患者とのコミュニケーション。医療蕫情報﨟のIT化は、医療行為を助けるためでなくてはならないのです」。

「ProRad Viewer Plus」のシステム構成略図

「ProRad Viewer Plus」のシステム構成略図: セキュリティを確保するため、医者/患者に区別されたフェリカカード認証でベッドサイド端末のOSを仮想的に切り替える。認証が取れれば、ベッドサイド端末から画像サーバにリクエストを出し、画像は圧縮されWebサーバーへ、電子カルテの情報とともにベッドサイド端末まで届けられる。

医療の情報化で端末も進化する

医療情報のIT化はシステムだけでなく、端末も合わせて進化させている。先月パシフィコ横浜で行われた「2007国際医療用画像総合展」には、民生用とはコンセプトの異なるハードウェアが多数展示されており、IT機器市場の新たな可能性を予感させる。

インテルが試作したポータブル医療用端末

インテルが試作したポータブル医療用端末。日本でも、すでに実装実験が行われている。

GE横河メディカルシステムの医療用モニタ構成例

GE横河メディカルシステムの医療用モニタ構成例。多様な情報を処理するため、モニタの多面構成が今後一般的になりそうだ。

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