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日本オラクル、組み込みデータベース専任チームを国内に設立

2007年05月15日 21時29分更新

文● 渡邉利和

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日本オラクルは5月15日、東京本社でプレス向け発表会を開催、組込データベース事業に取り組む専任チーム「Embedded Business Unit(EBU)」を設立したことを発表した。併せて、同市場の現状や同市場に対するオラクルの戦略などについて説明を行なった。


急成長を遂げるアジア太平洋地域での組込データベース事業


 まず、米オラクル・コーポレーション アジア・パシフィックEmbedded Business Unitバイスプレジデントのマーク・バートン氏が日本およびアジア太平洋地域における組込データベース事業の状況についての説明を行なった。

米オラクル・コーポレーション アジア・パシフィックEmbedded Business Unitバイスプレジデントのマーク・バートン氏

米オラクル・コーポレーション アジア・パシフィックEmbedded Business Unitバイスプレジデントのマーク・バートン氏

 組込市場の規模は世界全体で250億ドル、特にインドと中国での成長が著しいことから、アジア北部およびインドが全世界に向けた「工場」として機能している現状が伺える。これに歩調を合わせるように、オラクルの組込関連事業も成長しており、2006年度(2005年6月~2006年5月)の実績では、オラクル全体で60%増、アジア太平洋地域に限定すれば増加率は200%以上に達している。背景には、「高度なソフトウェアを組み込んだインテリジェントな機器が増加している」ことが挙げられるという。これは、日本企業にとっても大きなチャンスと考えられ、今回の国内での取り組み強化に繋がっている。

 また、同氏は特に日本に関して、「通信分野とリテール分野での組込機器活用に関しては世界のイノベーションをリードする存在だ」との認識を示した。日本のイノベーションの品質は高く、日本企業も従来の国内市場だけでなく、世界市場への進出に対する意欲が高まっていることも組込データベース事業の追い風になっているという。

 オラクルの組込データベース事業は「100%パートナー・ビジネス」だといい、「オラクルの組込データベースを採用したパートナー企業のビジネスの成功なくしてはオラクルの利益もない」との認識から、「日本企業の世界市場での成功を支援する」ことを目標として掲げている。同氏は「日本はこの分野におけるリーディング・エッジであり、今日、日本で起こっていることが、世界でも明日起こることになる」として日本発の技術革新に強い期待を表明した。


組み込みもフルラインナップで対応、「ビジネスモデル全体を支援できる」


 続いて、日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏が日本における組込データベース事業に関する説明を行なった。同氏はまず組込データベースを、(1)省リソースで特定の機能に特化した小型軽量型、(2)高機能型、(3)中間に位置づけられるバランス型の3種に分類し、「BERKELEY DB」(省リソース)、「Oralce Database Lite Edition」(バランス)、「TimesTen」(高機能)とフル・ラインナップを擁する同社の強みを強調した。

日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏

日本オラクルの常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏

オラクルの組み込みソリューションの全体像

オラクルの組み込みソリューションの全体像

 さらに同氏は、組込データベースを採用する意義として「サービス付加価値の向上」と「運用コスト削減」を挙げ、「この両者を実現できないのであれば組込データベースを利用する意味がない」とした。そして、エンタープライズ・ソフトウェアで優位に立つオラクルは、単に組込機器だけの話ではなく、「ビジネスモデル全体に対する支援が可能」だとし、この点が同社の最大の優位点だと位置づけた。

 また、組込市場にはエンタープライズ市場とは異なる特性があるとも指摘した。製造業では生産拠点の海外移転も盛んに行なわれており、製品は全世界に出荷されるようになってきている。加えて、ソフトウェアが複雑化しており、組込システムといえども大量のコーディングが必要になってきている。

 こうした背景から、ユーザー企業を支援するためには組込技術に特化した専門知識を保有する専任部隊を持ち、同時に全世界のチームと共同してノウハウの共有を行なう必要があるため、EBUを日本国内にも設立したと理由を説明した。

 なお、EBUの設立時の体制は8名で、今後10名程度まで増員の計画があるという。また、目標として「国内での売上倍増」を掲げている。

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