ソニー(株)は17日、モバイルノートパソコン“VAIO type T”をはじめ、“VAIO type N”“VAIO type F”の新製品、3シリーズ3機種(店頭モデルの場合)を発表した。VAIOブランド10周年の節目を記念した新Tシリーズはデザインを一新。“バイオノート505”を彷彿とさせる薄さを強調したデザインとなった。店頭モデルの価格は全機種オープンプライス。
薄く軽くパワフルな10周年記念モデル
VAIO type T
VAIO 10周年の記念モデルの名を冠された新VAIO type Tは、写真を見てのとおり、外観デザインのイメージに初代のバイオノートである『PCG-505』のデザインを踏襲。薄さを強調したボディー形状に加えて、液晶ディスプレーのヒンジ部分にバッテリーを装着するなど、モバイルノートの時代を開いたPCG-505を彷彿とさせるデザインとなっている。
一見すると、従来機種以上に薄型化されたような印象を受けるが、ボディーのサイズ自体は前モデルの『VGN-TX93S』とほとんど変わらない。本体側の側面を斜めにカットした形状と、LEDバックライトを採用する薄型ディスプレー部(厚さは約4.7mm)によって、ボディー全体の薄さを強調するデザインとなっている。液晶ディスプレー部には無線LAN(IEEE 802.11a/b/gおよび11n ドラフト2.0)とワンセグ放送用の伸縮式アンテナが内蔵されるほか、上側にビデオチャット用の約30万画素CCDカメラまで内蔵するなど、薄い中にぎっしりと部品が実装されている。
液晶ディスプレーの光源がLEDバックライトである点は従来機種と同様だが、新type Tではディスプレー部の消費電力低減と、色再現性の向上が図られている。従来より明るい白色LEDの採用、ムラの少ない導光板、そのほか反射シート等の改良も行なうことで、消費電力は約2割削減されたうえ、色再現性もNTSC比で色度域72%以上に向上している。これにより、動画像での色の表現力が向上しているという。
性能面での強化も図られている。従来機種は、“VAIO OWNER MADEモデル”(VOMモデル※1)で選択できる最高速CPUがシングルコアCPUのCore Solo U1500-1.33GHzであったのに対して、新type Tは最高でデュアルコアのCore 2 Duo U7600-1.20GHzを選択可能になった。バックグラウンドで稼働するプロセスの多いWindows Vista環境では、体感でのパフォーマンス向上が期待できる。
※1 同社直販サイト“Sony Style”やVOM取扱店で販売するCTO方式販売モデル。
グラフィックス機能はIntel 945GMS Express内蔵チップセットを使用する。そのため、新しい“Centrino Duo”プラットフォーム(コード名 Santa Rosa)ではないが、VOMモデルでは新Centrino Duoと同じく、IEEE 802.11a/b/g/n ドラフト版対応の無線LAN機能を選択可能となっている。無線LAN機能に加えて、Bluetooth 2.0+EDR通信機能も標準搭載する。従来どおり、ワンセグチューナーも内蔵しており(VOMモデルでは非搭載も可能)、本体だけでワンセグ放送の視聴と録画が可能だ。前述のとおり、伸縮式のワンセグ用アンテナが液晶ディスプレー部に内蔵されたため、従来機種のように側面にアンテナがはみ出すことはない。
従来モデルからの特徴である、軽量ボディーでの長いバッテリー駆動時間も継承している。店頭モデルに付属する6セルタイプの“標準バッテリー”を使用した場合、Celeron M搭載モデルでは最大約8時間、Core 2 Duo搭載モデルでは最大約11時間(いずれもJEITA測定法 1.0)のバッテリー駆動時間を実現する。
さらに、別売りの3セルタイプの“軽量バッテリー”(またはVOMモデルで選択可能)を装着した場合、本体重量が約1.085kgまで軽くなり、それでも最大約5.5時間(Core 2 Duoモデル時)のバッテリー駆動時間を確保している。同様に、別売りの9セル“大容量バッテリー”を装着した場合は、重量約1380gでバッテリー駆動時間最大約16.5時間(Core 2 Duoモデル時)を実現する。
内蔵ストレージの構成の多様さも特徴のひとつである。店頭モデルは、1.8インチシリアルATA HDD(80GB)とDVDスーパーマルチドライブを搭載しているが、VOMモデルではより自由な構成が可能だ。1.8インチHDDは容量を100/80/60GBから選択可能なほか、HDDの代わりに32GBのフラッシュメモリードライブを搭載することも可能だ。さらに、DVDスーパーマルチドライブの代わりに、光ドライブ部分に160GBの2.5インチSATA HDDを搭載することも可能になっている(購入時にどちらかを選択し、ユーザーによる交換はできない)。フラッシュメモリーはOSやアプリケーションの起動時間が半分程度まで短縮されるほか、本体重量の軽量化というメリットもある。仮に32GBフラッシュ+DVDスーパーマルチドライブの構成にした場合、本体重量は約1025gとなるという。
インターフェース類としては、本体左側面にUSB 2.0を2ポート備えるほか、10/100/1000BASE-T対応Gigabit Ethernet、ExpressCard/34スロット、i.LINK端子、メモリースティック(Duo/Pro対応)スロット、SDメモリーカードスロット、パームレスト内蔵型のFeliCaリーダー/ライター(FeliCaポート)を備える。そのほかに、ビジネスユーザーのモバイルニーズにも答えられるように、本体内にTPMセキュリティーチップを標準搭載するほか、タッチパッド部に指紋認証センサーを搭載。さらに内蔵HDDを衝撃から保護する“VAIO ハードディスク プロテクション”機能も備える。
店頭モデル『VGN-TZ50B』の予想実売価格は、24万円前後。VOMモデルは、Windows Vista Home Basic搭載の『VGN-TZ90HS』の最小構成価格が16万5000円前後からと想定されている。発売予定日は26日。
- VGN-TZ50B(店頭モデル)
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CPU:超低電圧版Celeron M 443-1.20GHz|メモリー:DDR2-533 1GB(シングルチャネル、増設不可)|グラフィックス:Intel 945GMS Expressチップセット内蔵|HDD:80GB|光学ドライブ:DVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブ|ディスプレー:11.1インチワイド 1366×768ドット
無線通信機能:IEEE 802.11a/b/g、Bluetooth 2.0+EDR|TV機能:ワンセグチューナー内蔵|サイズ:幅277×奥行き198.4×高さ29.8mm|重量:約1.220kg|バッテリー駆動時間:約8時間|OS:Windows Vista Home Premium|Office Personal 2007付属
予想実売価格:24万円前後 - VGN-TZ90S/90HS/90NS(VOMモデル、主な仕様は最高スペック構成時)
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CPU:Core 2 Duo U7600-1.20GHz|メモリー:DDR2-533 2GB(シングルチャネル、増設不可)|グラフィックス:Intel 945GMS Expressチップセット内蔵|HDD:100GBまたは32GBフラッシュメモリードライブ(1.8インチ)|光学ドライブ:DVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブ(160GB HDDと選択式)
無線通信機能:IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.0+EDR|重量:約1.085kg(軽量バッテリー時)|バッテリー駆動時間:約16.5時間(大容量バッテリー時)|OS:Windows Vista Home Premium(90S)、Windows Vista Home Basic(90HS)、Windows Vista Business(90NS)|ディスプレー、TV機能、本体サイズはTZ50Bと同等
最小構成価格:16万5000円前後
