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HP MOBILITY SUMMIT 2007 Vol.2

位置情報で、リアルとバーチャルをつなぐ“mscape”を上海で体験した

2007年05月11日 17時00分更新

文● 編集部

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位置情報によって、ゲームコンテンツもリッチになる


 また、コンテンツを場所の情報と連携させることで、今までにないリアルなコンテンツ体験が得られると、HPラボの研究員は話す。例えば、GPSで測位した情報を3Dサウンドの技術と連携させれば、進行方向に応じて聞こえてくる音の向きが変わるようなコンテンツの提供も可能になる。

mscapeに関して説明するCTOのPhil McKinney氏

 この体験会に先立って行なわれた米HPのCTO、Phil McKinney氏の基調講演では、mscapeのコンセプトを深めたバーチャル3Dゲームのイメージ映像も公開された。これは携帯型のゲーム機を操作しながら、リアルの世界(人民広場)で中国人の少年が、オリエンテーリングに似たゲームを行なうというものだった。ゲーム機を建物にかざすと、そこから3Dで表現された障害物や敵が現れる。これらのチャレンジをクリアーしていくと、ある場所で画面上に隠されたアイテムが現れ、別のプレーヤーとその入手を競う……といった具合に、ゲーム機上のバーチャルな3Dの世界を、リアルと連携させながらゲームが進んでいく。

公開されたデモ映像。携帯ゲーム機を持って街を巡り、バーチャルとリアルが融合した3Dゲームを楽しむ。ゲームに勝利した中国人にバーチャルの世界から現れた天使がキス……。リアルとバーチャルの融合体験が表現されている

 HPラボでは、このmscapeの開発に3年前から着手しており、これまでもゲーム開発メーカーやコンテンツ作成メーカーとコラボレーションしながら、さまざまな可能性を探ってきた。昨年10月にイギリスのロンドンで行なわれたバーチャルゲームの企画などもそのひとつである。

mscape関連のソフトウェア群は、公式サイトからダウンロードできる

 なお、米HPではmscape発表にあわせ、公式サイト(http://www.mscapers.com/)をオープン。iPAQなどWindows Mobile機用のクライアントソフト『mscape player』や、WIndwos XP上で動作する開発キットを提供している。現状では、Windows Mobile端末向けのβサービスとして提供されているmspaceだが、プラットフォーム自体はオープンであり、他のOSやGPS付きの携帯電話など利用したサービス展開の可能性もある。

 モバイル環境で位置情報に絡めたコンテンツを活用するという取り組みには、東京大学の坂村健教授などが中心になって進めている“東京ユビキタス計画・銀座”や、ソニーが最近サービスを開始した“PetaMap”などがあり、国内でも注目を集めている分野である。“リアルの場所”をネット上のコンテンツとどう結び付けていくかという試みは、今後も盛んになっていくことだろう。

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