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“BI2.0”がパリのディズニーランドを変えた――ビジネスオブジェクツのシュワルツCEOが来日

2007年05月11日 17時29分更新

文● アスキービジネス編集部

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日本ビジネスオブジェクツは、5月11日、米国本社CEOのジョン・シュワルツ氏来日に伴う記者会見を開いた。この席で同氏は、ビジネスオブジェクツが提供する「BI2.0」のコンセプトといくつかの事例を紹介した。


「Web2.0を企業に」 ビジネスオブジェクツの新しいコンセプト


「Webを使って人々がデータを共有し、共同で作業をしていく。こうしたWeb2.0のテクノロジーがエンタープライズコンピューティングの世界にも入ってきている」

 米ビジネスオブジェクツのジョン・シュワルツCEOはこのように話す。同氏は、Web2.0のコンセプトを取り組んだ同社のBIソリューションを「Business Intelligence 2.0(BI2.0)」と表現した。

 シュワルツ氏が話すBI2.0が意味するところは、誰もが、いつでも、あらゆるデータに、さまざまなデバイスから利用できるBIのこと。たとえば「社内外のデータを構造化・非構造化に関わらず集約・分析する」「IT部門に依存せず、従業員自身の手でデータ分析を行なう」といったことを可能にするのがBI2.0だという。シュワルツ氏は、BI2.0は「ネットワーク革命」「ユーザー革命」「コミュニティ革命」「アプリケーション革命」「プラットフォーム革命」という5つの変革を企業にもたらすとアピールした。

ビジネスオブジェクツCEOのジョン・シュワルツ氏

ビジネスオブジェクツCEOのジョン・シュワルツ氏

 また、会見の中で同氏は、実際にいくつかの企業におけるBI2.0の具体的な事例を紹介した。中でも興味深いのが、ユーロディズニーの活用事例だ。

 ユーロディズニーが運営する「ディズニーランド・リゾート・パリ」は、天候不順が多い同地域の地理的な事情もあり、米国フロリダのディズニーランドに比べて苦戦を強いられていた。ビジネスオブジェクツのBIによってディズニーランド・リゾート・パリは、どのアトラクションがどの程度混雑しているかといった情報を可視化し、従業員が持つ携帯電話端末で参照する仕組みを取り入れた。これにより園内での混雑緩和が図られるなどし、顧客満足度や収益が向上する成果が得られたという。

 同事例については、日本ビジネスオブジェクツが今月29日に開催するプライベートイベントで、ユーロディズニーの担当者が詳細を明らかにする予定だ。


日本におけるBIへの関心の低さは「一時的な問題」


 ガートナーが今年3月に発表した調査結果によると、「CIOが優先する課題」としてグローバルではBIが2年連続1位になるなど、BIへの関心は高まっている。一方で日本では、BIは9位にとどまっており、まだ関心は低い。

 シュワルツ氏はこうしたBIの日本市場の現状を、「日本では個人情報保護法や日本版SOX法の影響でまだセキュリティへの投資が集中しているため」と分析する。加えて、そもそものデータ活用以前の状態にある企業が多いことも挙げられる。「欧米ではERPやCRMの導入はひと段落ついた。ところが日本ではまだまだ自社開発のシステムを利用したり、CRMを導入していない企業も多い」(シュワルツ氏)。

 ただ、こうした問題は「一時的なもの」(シュワルツ氏)に過ぎず、今後、日本企業がグローバルでの競争を強いられる中でBIが必要になるというのが同氏の見方だ。いずれにしても、ビジネスオブジェクツが提唱するBI2.0のメリットを多くの日本企業が直接享受できるようになるのは、まだもう少し時間が必要なのかもしれない。

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