スカパーJSAT(株)は11日、社長定例会見を開催し、2006年度の業績や2007年度の業績予想などを説明した。
同社は今年4月、デジタル衛星放送局の(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズと、衛星の保有および衛星通信事業を営むJSAT(株)の持株会社として設立された新しい会社。スカパーJSATの代表取締役社長には、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ代表取締役社長を兼務する仁藤雅夫氏が就任している。
設立から1ヵ月しか経っていないため、新会社の2006年度の業績というものはないが、会見ではスカイパーフェクト・コミュニケーションズとJSATの業績を合わせた“みなし連結”業績を公表した。これによると、営業収益は1169億5100万円、営業利益は125億1900万円、経常利益は129億1600万円で、純利益は41億3500万円となっている。
個々の業績を見ると、スカイパーフェクト・コミュニケーションズの連結決算では、売上高が前年度比3.8%増の854億2200万円となっている。ただし、同社が出資している(株)インデックス・ホールディングスの株価下落や、オフィスの移転費などにより利益がなくなり、13億1100万円の純損失に転じている。
個人ユーザーの加入/解約状況は、新規加入が45万7000契約で解約が36万5000契約となっている。特に解約率は前年度(29万5000契約)から約2%ほど増えており、この理由については、110度CSデジタル衛星放送の“e2 by スカパー”が普及している反面、専用のデジタルチューナーが必要(東経124/128度の2つの通信衛星を使用し、放送方式もCSデジタル放送と異なるため)となる“スカイパーフェクTV!”の解約率が増えているためとした。
一方、JSATは、一部の大口顧客の契約満了や継続利用の減少などにより、売上高が前年度比11.8%減の387億7000万円となった。ただし、営業利益(105億9900万円)、経常利益(106億700万円)は、ともに300%超える利益となった。これは通信衛星の代替機の減価償却の開始が年度の途中からになったことなどが影響し、営業原価が前年度よりも135億5000万円減ったことなどによるもの。その結果、前年度79億2800万円の純損失を計上した純利益は、2006年度は62億6000万円のプラスに転じている。
スカパーJSATの2007年の業績見通しについては、グループ全体では営業収益1250億円、営業利益55億円、経常利益50億円としており、純利益は50億円になると予想した。2006年のみなし業績と比較して、営業利益、営業収益が半分程度になっているが、同社は新規顧客契約目標件数(60万件)を2006年度よりも多く見積もっており、そのための顧客獲得費用が多くかかると予想している。
今後の直近の展開については、コンテンツのラインナップや広告展開を強化していくという。具体的には、月間1000本以上の映画番組の放送や、現在放送中の“ジョニー・デップ祭り”というような“~祭り”と題したCMやキャンペーンを毎月展開していくという。
また、地方の顧客獲得/解約率低減のため、Jリーグやプロ野球を軸にしたエリアプロモーションに力を注ぐという。特にJリーグは「人口の7割をカバーできる」視聴者層が魅力としており、J1/J2の試合をすべて生中継するという。
そのほか、今後の衛星打ち上げ予定についても明らかにした。今年は北米をカバーエリアとする“Horizones-2”と、バックアップ衛星の後継機となる“JCSAT-11”を打ち上げ、2009年にはアジアやインド洋などをカバーする“Intelsat15”を打ち上げるという。