極めてWeb 2.0的なサービス
Spockは電話帳ではないので、最初から準備されているプロフィールを利用するだけではない。後からユーザーがどんどんほかの人の情報も追加できるユーザー参加型のサービスでもある。
会社の同僚や友人、家族といって身の回りの人でもどんどん追加していける。登録の際には、一般的なプロフィール情報に加えて、その人がどんな人かを表すタグを加えていく。“会社員”、“管理職”、“グルメ”、“釣り好き”など、どんな情報でも構わない。
書こうと思っていたタグがすでにあったら、そのタグをクリックして賛成意思を表明すればいい。するとそのタグが少しづつ大きな文字に変わっていく。
こうして賛成する人が多いタグはどんどんと大きくなり、間違ったタグやあまり同意を得られなかったタグは参考程度に小さい字で表示されることになる。ちょうど“はてなブックマーク”のような感じだ。
これらのタグを使えば、Spockの公式ブログでも紹介されているように、“大統領”や“酔っぱらい”(drunk driver)といった属性を元に該当者を探す、といった使い方もできるのだ。
さらには自分だけのメモとして、その人の住所や電話番号といったプライベートな情報を書き添えることもできる。
広がるプロフィール情報サービス
こうしたサービスはSpockだけではない。米国では昨年11月に“Wink”というサイトが、世界最大のSNSである“MySpace”やLinkedInのプロフィールを検索する“People Search”機能を提供し始めた。
日本ではmixiのような、IDを持っていないと覗けない閉じたSNSが主流なため、「プロフィールが探せる」と聞くと不思議に思う人もいるかもしれない。しかし、米国ではプロフィール情報をインターネットに対してオープンに公開しているSNSが多い。
ブログは、世界に対して自分の意見を発信していく場所である。そのブログの情報も含め、簡単な自己紹介用のプロフィールの役割を果たすのが、MySpaceやLinkedInなどの個人ページというわけだ。MySpaceなどは交友関係を広げるために趣味趣向を中心とした自己紹介が書けるようになっているし、LinkedInはこれまでの経歴などビジネス・ネットワークづくりで役立ちそうな職能に絡む情報が中心となっている。
最近のWallstreet Journal紙に“You're Nobody Unless Your Name Googles Well”(Googleで簡単に見つからない人は、存在しないも同然)という記事が載ったことからもわかるように、米国ではキャリア面なども含めてインターネット上での存在感が重要という意識が強い。
これに対して、日本人は匿名を好む傾向が強いと言われているが、最近では楽天モバイル事業の“前略プロフィール”が、中学生の間から人気を集め、数百万登録を記録するなど、ネット上の存在感を重視する層もある。
携帯電話世代だけでない。前回も紹介したが、パソコン・インターネット世代の間でも、昨年秋以来、“BlogCruiser”や“エキサイトネームカード”、“iddy”といったサービスが立ち上がっている。
これらのサービスは今のところ検索にはそれほど力を入れていないが、プロフィールができるということは、人検索実現への貴重な第一歩を踏み出したことである。
(次ページに続く)
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