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2002年に、久夛良木氏が語ったこと

2007年04月27日 21時00分更新

文● 編集部 ※引用部分は月刊アスキー掲載時のものを原文ママで掲載しています

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久夛良木健氏 写真

PCには限界が見えてきた。次にどう仕掛けるか考えるべき時期だ。


―― 2005年くらいですか?

久夛良木 2005年か2006年か。

―― そのときにユーザーの手元にあるのは、必ずしも今のPS2とかそういものじゃない?

久夛良木 多分、家に入り口があって、マン・マシン・インターフェイスがあれば何でもいい。どこでもいい。たとえば端末側にハードディスクを持たなくてもよくなるかもしれない。

―― そのとき、Cellがあって、御社とIBM、東芝がいて、核になるコンセプトは御社が投げているわけですが、具体的な商売としてはどんなものになるんでしょう。コンテンツというか、ディストリビュートするもので儲けるんですか? それはオープンな世界なんですか?

久夛良木 ネットワークですからね。絶対にメディアはオープンにしなければなりません。今のインターネットがどっかの私企業のものだったら困るじゃないですか。

―― その際の御社の立ち位置はどのような?

久夛良木 やはり家庭の中の特定の部分のサービスを提供している、これがまずありますよね。それからもう1つはネットワークプロセッサ、つまりデバイスをシステムごと提供する存在。それも世界中の全部ではなくて何分の1かになると思いますが。当然インテルもやるでしょうし、TIも出てくるかもしれない。

―― それでもいいのですか?

久夛良木 そうしないと面白くないでしょう。今のインターネットって、全部IBMのサーバでできてるわけではなくて、SunのもあればUNIXのもある。それで今の、パワーのあるインターネットというものが構成されているわけでしょう。

―― 特定の企業のネットワークでなくてよかったわけですね。オープンだから。

久夛良木 PS2も同様にオープンに考えてまして、そこがXboxと完全に違うところですね。我々は完全にオープンなんですよ。

―― コンテンツをデリバリーする際にロイヤリティをとるために、暗証鍵をかけたりなさるわけですか?

久夛良木 ロイヤリティってそもそも何ですかというのもある。今のテレビって、番組からロイヤリティをとってないでしょう。局はスポンサーからCMというロイヤリティをもらって、制作費にしてますよね。ロイヤリティというのをもっと考えたほうがいい。PSにしろほかのゲーム機にしろ、狙っているところはすごくマスな世界です。何千万台という。そのためには何千億円という投資が必要で、マーケティングだけでも年間数百億とかね。それが年間数千億とか1兆円になる事業を構成している。ゲームソフト会社を入れると2兆円とか3兆円規模になる。そのためには先行投資としてのキャッシュフローとマーケティングフローが必要。マーケティングがないとWindowsもPSも売れない。そういったマーケティングファンドをどこからとるかということになると、フォーマット全体からビジネスをしている所からとりましょうということになる。それがロイヤリティなんです。ロイヤリティで利益が上がっているわけではないんです。基本的には我々はハードウェアから限界利益をたたき出して、それを次に投資しているわけです。ソフトは1本約5000~6000円ですが、みんながいつも年間で4~5本買ってくれるわけではない。そこから利益はとれるけど、年間ではすごい数字にはならない。その点ハードウェアの利益はすごくデカイ。3万円のハードが年間2000万台出ると6000億円でしょ。末端で。6000億円で赤字出したら会社がつぶれますよね。ということは、そこで利益をとって次の投資をしていかなければならないわけです。半導体や部品を全部外から買うと、残るものはアセンブリだけですから、アセンブリだけなら日本よりも中国でつくったほうが安い。そんなことをしていたら、ハードからは利益は出ない。うっかりするとハード1台売ると赤字が出る。セガさんがそれで失敗した。PSはハードから黒字が出たわけですよ。我々はすべて中で設計して、中で付加価値を落としているから。セガさんは日立やヤマハから買ってきて、何ら何まで外からとってきたから、苦しかったわけです。メディアの人はそれがわからずに、「ゲーム機はハードで損してソフトで儲ける」とよく書く。そんなこと私は1度も言ったことがないし、任天堂さんだってそんなこと言わないと思う。

―― Cellに相当するクライアント側のエンジンであるチップだとか、あるいはテレビにエモーションエンジンが入ってもいいわけですが、御社のチップをいろんなものに入れていくという商売というのはあり得ないんですか?

久夛良木 あるというか、完全に狙っています。

―― その際のOSというのはどのような?

久夛良木 現行のものとは全然違うものですよ。

―― ハードレベルで全部やってしまう?

久夛良木 いえ。完全にソフトです。

―― Javaでもなく、これから出てくる完全に新しいもの?

久夛良木 そうです。完全にユニークです。

―― 並列処理のサーバというか、IBMさんと研究されているCellと密接なんですか?

久夛良木 少なくとも今あるものではないです。

―― それは、何と呼べばいいんですか? 

久夛良木 基本的にはブロードバンドのOSなんだけれど、名称はまだ……。だってR&DのRの段階のものですから。

―― やはりIBMの方々などが参画されているのですか?

久夛良木 はい。日本人ももちろんいます。

―― Cellは、古いアーキテクチャをつないだような並列処理のものではないということですが、動いている仕組み、物理的なレベルの仕組みは変わらないのですか?

久夛良木 まだちょっと内緒にしときましょうか。強いて言えば、Cellって細胞で、単体ではお馬鹿なんだけど、でも自律できるってことなんですよ。そこに蛋白質だからアミノ酸を配ればエネルギーになって、人間だからたくさんの細胞があって、それが神経系列でつながってくるわけ。脊髄があって小脳があって大脳があって、全体のボディを司るようなOSというのをやりたい。それぞれの機能の中に、それぞれのカーネルが動く。そのハードリソースというのは、1回Cellというプロセッサをつけたら固定するんではなく、これは当然いくらでも有機的に拡大していく。細胞膨張するように。

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