同社の新たな伝統!?
円形ダイヤルを装備したユニークな操作系
カメラの機能としては、1/2.5インチ有効720万画素CCDとレンズシフト式の手ぶれ補正付き屈曲光学3倍ズームレンズという、スリムデジタルカメラとしてはごくスタンダードなスペックだ。顔認識機能の“フェイスクリアー”や、フラッシュ光量補正機能の“D-ライティング”などを装備するのも、最近の同社デジタルカメラと同様だ。背面の液晶ディスプレーは3インチと大型で、上下左右160度の広視野角なのはかなり見やすい。
面白いのは背面のカーソルが円形ダイヤルになっている操作方法だろう。これは『COOLPIX S500』や『COOLPIX S7』でも採用されている方式で、ダイヤルの上下左右を押せば十字カーソルの方向キーとして、指を縁に沿わせて回せば電子ダイヤルとして利用できる。メニューでの項目移動や露出補正などの操作は、指先をクルクルと回すだけですばやく選択できるのはありがたい。特に本機では、無線LAN接続の設定でWEPキーやメールアドレスなど文字入力する機会が少なくないが、この場合でもダイヤル操作は上下左右のカーソルキー入力よりもはるかにすばやく行える。
撮影した場所から
ほぼリアルタイムで公開できるのが一番のメリット
スリムに作られたボディーにもかかわらず撮影機能は十分で、各種シーンプログラムや露出補正などの選択においてダイヤル操作ができるのはかなり手軽で使いやすい。使ってみて気になった点としては、ボディーデザインが挙げられる。屈曲光学系のある左端にやや厚みがあるだけで、右側に向かってスリムになるボディーデザインは従来機『COOLPIX S7』を継承したものだ。上から見るとわずかなS字カーブとなっていて、前面の右側がわずかにくぼんでいることから持ちやすいというコンセプトなのだが、指が掛かるほどのくぼみではなく、またツルツルと滑る表面処理によってホールド性はあまりよくない。
このレビューで使用した機材は量産出荷前の製品のため、撮影サンプルについては後日機会を改めて評価・掲載いたします。ご了承ください。
無線LAN機能を標準装備したデジタルカメラは各社からいくつか販売されているが、自宅のLAN環境にワイヤレス接続して画像データを転送したり、プリンターへダイレクト印刷といった使い方がメインだった。屋外での無線LAN接続環境も近年は格段に向上し、画像サーバーや画像共有サービスの普及も考えればデジタルカメラからの直接アップロードというのも使い方としては面白いだろう。
ただし、メモリーカードの価格/容量比が大きく下がってきている現状を考えれば、外出先でメモリーカードに空きが作れるという利点よりも、手軽かつほぼリアルタイムに撮影結果を公開・配信できる点のほうが大きな魅力になる。ピクチャーメールで知り合いに配信するという使い方に加えて、ピクチャーバンクは個人が発信するフォト情報サイトにとっても便利なアイテムになるかもしれない。いろいろな使い方が考えられるサービスだけに、軽量・コンパクトを重視した本機(S50c)だけでなく、今後は望遠系や高級機など対応機種のラインナップ拡充にも期待したい。
COOLPIX S50cの主なスペック | |
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製品名 | COOLPIX S50c |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効720万(総741万)画素CCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、f=6.3~18.9mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~114mm)、F3.3~4.2 |
静止画撮影 | 最大3072×2304ドット |
ISO感度 | オート、ISO 100/200/400/800/1600 |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、QuickTime形式 |
液晶ディスプレー | 3インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | 内蔵約13MBフラッシュメモリー&SDカード |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力 |
無線LAN | IEEE 802.11b/g |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(EN-EL8) |
撮影可能枚数 | 約130枚 |
本体サイズ | 約97.5(W)×21(D)×59(H)mm |
重さ | 125g(本体のみ) |