このページの本文へ

Virtual Earthの作り方

2007年04月26日 00時00分更新

文● 編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

神の眼をもつカメラ


 この撮影で使用されるカメラも独創的なものだ。

 航空測量には、大判で鮮明な写真を撮影する必要があるため、高解像度のカメラが必要だ。高解像度化するためには大きな撮像素子(CCD)が必要になるが、現状では一定以上の大きさの撮像素子を作れない。そこで工夫が必要になる。

 Virtual Earthの撮影に使われているのは、Vexcelのカメラ“UltraCamD”(UCD)と“UltraCamX”(UCX)だ。

UCD写真

UCDもUCXもレンズの数などの基本的な構造は同じ。UCXは画素数や記録容量が向上した最新機種となる

各レンズの役割解説図

縦に並んだ4つのレンズで順番に撮影するのだが、場所の同期には高精度なGPSの情報を利用している。時速288kmで飛行時にシャッターを切る間隔は1ミリ秒程度になる

 写真を見てもらうと分かるとおり、UCD/UCXには8つのレンズが付いていて、中にはモノクロ用に9個、カラー用に4個、合計13個のCCDが内蔵されている。実はこのたくさんのレンズとCCDに秘密が隠されている。UCD/UCXでは1枚の大きな写真を撮る代わりに、1シーンを9つのCCDで9分割して撮り、それを1枚の写真に統合する。

 大きなCCDができないなら、分割して高解像度な画像にしてしまおうという発想だ。

 具体的には、9つのCCDを内蔵した真中の4つのレンズで、モノクロ9分割の画像を撮影し、両側の4つのレンズでRGB各色と近赤外線の撮影を行なう。1枚の画像を作るために、4回の撮影が必要になるが、位置合わせには高精度なGPSの情報が利用されているという。

UCXのユニット部 画像

UCXのシステムの価格は2億円弱(セスナの改修費込)になるという。HDDはSATAで接続されていて交換可能だ。15台CPUを搭載し、その中の13台のCPUが13個のCCDをそれぞれ制御している

 モノクロとカラーを分けて撮影する理由は、データを低容量化するためだ。最新機種のUCXでは、1億3593万画素(1万4430×9420ドット)のモノクロ情報の上に、それよりも粗い、約1510万画素(4810×3140ドット)のカラー情報を重ねて最終的な画像を出力する。これは衛星写真などでも使われている技術だという。

 しかし、1枚1枚の低容量化を計っても約1億万画素のデータは大きく、画像のサイズは1枚あたり約400MBにもなる。そのためUCXは3.4TBのHDDを含めたシステムとして提供される。

 「1億3593万画素のカメラで撮影すると、人の頭ですら認識することが可能です。他社の航空撮影用カメラではここまで細かく写せません」(網代氏)

 UCXでは高度500mから撮影すると、1ピクセルあたり4cmの分解能になるという。まさに神の眼と呼びたくなるような解像度だ。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン