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栗原潔の“エンタープライズ・コンピューティング新世紀” 第2回

いまあえてWeb2.0を分析する(2)

2007年04月18日 18時30分更新

文● 栗原潔

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 Web 2.0が、ネット系企業、そして、インフラ技術を提供するITベンダー企業にとって大きな影響を与えていくことは疑いの余地がないだろう――そもそも、前回述べたように「ネット上の重要動向を総称してWeb 2.0と呼びましょう」というのがWeb 2.0の定義なのであるから、これは当然のことだ。

 では、ネット企業ではない一般企業は、Web 2.0をどうとらえるべきだろうか? 業種により、そして企業により取るべきアプローチはさまざまだと思うが、共通に有効なアドバイスは「Web 2.0を対岸の出来事として無視しない」だろう。



エンタープライズとWeb 2.0は水と油なのか?


 一般企業の情報システム部の視点つまり、エンタープライズコンピューティング的な視点からいまのWeb 2.0企業を見ると、かなりいい加減なものに映るのではないだろうか? 例えば、Googleに代表されるWeb 2.0系ウェブサイトでは、ほとんど告知もなしに次々と新しい機能がベータ版として追加されている。いわゆる“永遠のベータ版”という状況だ。

 ソフトウェアというものはしっかりと要件定義をして仕様を固め、入念なテストをした後に本番移行するものであるとい伝統的な考え方とは相容れないものだろう。

 Web 2.0世界ではマッシュアップ、すなわち、ほかのWebサイトの提供するサービスやコンテンツを自由に組み合わせて、新しいサービスを作り出す考え方も一般化している。しかし、他サイトの障害により自サイトのサービスが停止してしまった場合に誰が責任を取るべきなのかなどについては明確に決まっていない。要するに、サービスレベル管理の考え方が存在しないわけだ。また、著作権等の権利関係もほとんど考慮されていないことがことが多い。このような考え方も、一般的な企業の視点からはとうてい許容できないだろう。

 一方、Web 2.0企業の視点からエンタープライズの世界を見ると、ずいぶん堅苦しいものに映るだろう。何をするにも正式の承認プロセスが必要であるし、システムやアプリケーションの些細な変更にも事前の入念な検討が必要とされる。スピード最優先の競走を行なっているWeb 2.0の世界ではあり得ない考え方だろう。

(次ページに続く)

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