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サーバ&ストレージとサービスに注力 デルがエンタープライズ事業戦略説明会を開催

2007年04月16日 21時41分更新

文● アスキービジネス編集部

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デルは都内でエンタープライズ事業戦略説明会を開催し、サーバ・ストレージ製品とサービス分野への注力という2008年度(2007年2月~2008年1月)の方向性を説明した。

エンタープライズとサービスに注力

 デルは先月行なわれた記者会見でも2008年度の新戦略「Dell 2.0」を打ち出し、価格競争力だけでなく、顧客の多様なニーズに合わせた個別のソリューションを提供することで、顧客満足度を最大化するという方針を明らかにしている。そして今回の説明会はDell 2.0の具体的な方針を示すものと言える。

 デル株式会社代表取締役のジム・メリット氏は、2004年度から2007年度にかけての平均成長率が31%に達していることを示し、今後も市場の成長率を上回る成長を目指すことを説明する。そのための戦略、Dell 2.0に基づき同社は(1)エンタープライズ(サーバ&ストレージ)、(2)サービス、(3)ソフトウェア/周辺機器、(4)コンシュマー(クライアントPC)の4分野にフォーカスしていくと語る。中でもエンタープライズとサービス分野は、今後も大きな成長を期待しており、市場の成長に対して、エンタープライズは1.5~2倍、サービスは3倍程度の成長を目指すという。そのために、パートナー企業とのより緊密な連携を図っていくということだ。

デル株式会社代表取締役 ジム・メリット氏

デル株式会社代表取締役 ジム・メリット氏

過去4年間の年平均成長率は31%にも達する

過去4年間の年平均成長率は31%にも達する

デルのエンタープライズ=業界標準テクノロジー

 続いて登壇したデルのアドバンスド・システムズ・グループ本部 本部長兼米Dellコーポレートディレクターの町田栄作氏は、「デルのエンタープライズビジネス=業界標準のテクノロジー」であると位置付ける。サーバに関して言えば、業界標準とはすなわちx86 CPUベースのIAサーバであり、すでに今では台数ベースで90%以上、金額でも60%を占めるまでになっている。また、これまでメインフレームなどで運用されていたミッションクリティカル分野のアプリケーションも、IAサーバへの移行が進んでいることを指摘、業界標準テクノロジーへの流れがサーバ市場全体に及んでいることを説明した。

デル アドバンスド・システムズ・グループ本部 本部長兼米Dellコーポレートディレクター 町田栄作氏

デル アドバンスド・システムズ・グループ本部 本部長兼米Dellコーポレートディレクター 町田栄作氏

業界標準テクノロジーの活用による高コスト/パフォーマンスの実現が、デルのビジネスモデルだ

業界標準テクノロジーの活用による高コスト/パフォーマンスの実現が、デルのビジネスモデルだ

 デルは過去において、サーバのスケールアウト、すなわちサーバの台数を増やす方向のシステム拡充の手法を普及させてきた。現在では、デルが提供するさまざまなソリューションは、スケールアウトに最適化されており、大量のサーバを効率良く管理する仕組み、発熱や消費電力の管理などが実現されている。さらに将来的には、マルチコアのサーバと仮想化ソフトウェアを組み合わせて、リソースの動的な分配を目指すという。

 このように業界標準のハードウェアを用いることで、デルは性能と効率を両立させたITエンタープライズの基盤を提供することができる。その上で、マイクロソフト、レッドハット、シマンテックといったパートナー企業のソフトウェアを動かすことで、顧客満足度の高いソリューションが実現することを訴えた。

パートナー企業のソフトウェアを動かす基盤となるデルのハードウェア

パートナー企業のソフトウェアを動かす基盤となるデルのハードウェア

ソリューションビジネスの強化を目指す

 最後に登壇したデルのソリューション・サービス・デリバリー本部 本部長兼米Dellコーポレートディレクターの諸原裕二氏は、デルが提供するサービスと、いくつかの事例を紹介した。デプロイメント(導入)に関しては、工場から出荷する時点でサーバにオプションのハードウェアを組み込み、OSやアプリケーションのインストールまで行ない、導入時には最小限の設定で運用開始できる「カスタム・ファクトリー・インテグレーション」などにより、導入から稼動までの迅速化を目指している。

デル ソリューション・サービス・デリバリー本部 本部長兼米Dellコーポレートディレクター 諸原裕二氏

デル ソリューション・サービス・デリバリー本部 本部長兼米Dellコーポレートディレクター 諸原裕二氏

 システム導入のコンサルティング業務を行なう「プロフェッショナル・サービス」では、システム統合、レガシーマイグレーションにより、データセンターの効率の大幅な向上を実現可能にしている。ここでいうレガシーマイグレーションとは、UNIXベースのシステムからLinuxやWindowsへの移行を指す。オラクルDBを稼動させるプラットフォームとしては、Linuxが選択されることが多く、デルの場合ではオラクルDBのベースとしては90%がLinuxであるという。

 プロフェッショナル・サービスの今後の展開として、(1)サーバ統合(仮想化)、(2)アーカイブ、(3)セキュリティ、(4)オラクル・グリッドなどのソリューションの強化が予定されている。

 他のサーバベンダ大手と異なり、デルは自前でOSやアプリケーションを手がけていない。ソフトウェアはパートナー企業の製品を利用し、自らはITインフラのベースの提供に徹することで、サービスの提供を迅速化することが、デルの強みであると諸原氏は訴えた。

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