このページの本文へ

2009年には有機ELテレビを投入!

東芝、2009年までの経営方針説明会を開催

2007年04月12日 20時54分更新

文● 編集部 小西利明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(株)東芝は12日、東京都内で報道関係者やアナリスト向けの経営方針説明会を開催し、2009年までに売上高8兆7000億円を目指すという中期経営計画を説明した。デジタル家電の分野では、2009年に自社開発の有機ELディスプレーを使用したテレビ製品の投入を計画している。

東芝 代表執行役社長の西田厚聰氏

東芝 代表執行役社長の西田厚聰氏

説明会では同社代表執行役社長の西田厚聰(にしだ あつとし)氏により、2006年度の業績見通しと、2009年までの経営方針が説明された。なお同社の2006年度決算はまだ発表されていないため、2006年度についてはあくまで見通しとなる。西田氏はまず、2005年の社長就任後に掲げた経営方針の柱である、利益ある持続的成長の実現イノベーション乗数効果の発揮CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)経営の遂行のそれぞれについて、取り組みと実績について語った。

特に“利益ある持続的成長の実現”については、1995年以降は売上の低成長(年1.3%)が長い間続いた一方で、西田氏の社長就任後には12%もの成長率を記録するなど、持続的成長を実現できたとしている。2010年度には売上高で9兆5000億円以上(2006年度は7兆円)。営業利益率は「それほど高いわけではないが」(西田氏)と前置きしつつ、5%(4800億円、2006年度は3.6%の2500億円)を目指すという。2009年度までの中期経営計画では、全体で成長率7.5%、海外事業で12%を維持し、2009年度の売上高を8兆7000億円、営業利益率は4.6%(4000億円)を目標としている。

2009年度までの売上高・営業利益計画のグラフ

2009年度までの売上高・営業利益計画のグラフ

分野別では特に、デジタル家電やパソコンに関連する事業分野に注目した。同社では家電/パソコン製品を含む“デジタルプロダクツ”、各種デバイスや半導体を含む“電子デバイス”がそれに該当する。デジタルプロダクツ事業は、2006年度の売上高2兆7800億円から、2009年度に3兆4300億円。電子デバイス事業は同じく、1兆5900億円から2兆3300億円への拡大を目指す。

事業グループ別の2009年度の事業目標

事業グループ別の2009年度の事業目標

デジタルプロダクツ事業の計画では、携帯電話機などモバイル事業を海外(特に欧州)で確立するほか、パソコン事業の海外展開などが挙げられている。注目のHD DVDプレーヤー/レコーダーについては、日本ではレコーダー製品、欧米ではコストダウンを図ったプレーヤーに力を入れる。一方で西田氏はHD DVD全体の普及拡大には、パソコン搭載ドライブの拡大が必要との考えを示し、特にノートパソコン用のスリム型ドライブなどに力を入れるとした。また携帯電話機についても、インターネット上のコンテンツをパソコン並みに利用したり、ワンセグ放送だけでなく地上デジタル放送の受信機能も取り込むといった高機能化を進めるとしている。

テレビ関連の事業については、特許面での係争が続き商品化に進めないSEDに代わるものとして、有機ELディスプレーを採用したテレビ製品を「2009年には間違いなく」(西田氏)商品化する計画を明らかにした。ディスプレーの開発と製造は自社で行なう。有機ELディスプレーは、材料に用いる有機素材の違いで低分子型と高分子型に大別できるが、西田氏は両分野とも手がけ、低分子型はコモディティー製品に、高分子型は高級機向けに投入するという見方を示した。

2009年度の商品化を目指し、有機ELディスプレーテレビの計画が明らかにされた

2009年度の商品化を目指し、有機ELディスプレーテレビの計画が明らかにされた

一方のSEDについて西田氏は、「変更はない」と何度も強調したものの、パネル事業を主導するキヤノン(株)次第として、SEDの製品化に向けた積極的な動きはしないことを表明している。有機ELディスプレーの自社開発・自社製造を表明したことも考えれば、東芝でのSEDテレビの製品化への道程はさらに遠のいたと言えよう。

電子デバイス事業については、2009年度まで年14%の成長率を見込むほか、2007~2009年度までで1兆円超を半導体事業の設備投資に投入する(3年間の設備投資額は全体で1兆7500億円)など、重点分野として投資を続けるとしている。しかし価格下落の激しいNAND型フラッシュメモリー分野については、動画用途やパソコン用HDDの置き換えなどで、市場全体は今後も大きく拡大するという見方を示す一方で、「毎年50%ずつ値が下がることを前提に」(西田氏)事業計画を作るなど、厳しい市況は今後も続くと見ている。

フラッシュメモリーの製造設備については、設備増強で生産能力拡大を図るほか、微細化によるウエハー1枚あたりの生産数量増加を図る。三重県四日市市にある同社工場は、第3製造棟での56nm製造プロセスでの量産を今年1月から前倒しして開始したほか、40nm台の新プロセスの導入も進める。同工場では新しい第4製造棟が2008年度から生産を開始する予定で、フルの製造能力は第3製造棟の1.4倍規模に達するという。さらに第5製造棟の建設も検討するが、建設場所等については明言を避けた。

東芝のNANDフラッシュメモリー生産計画

東芝のNANDフラッシュメモリー生産計画。製造棟の拡張と製造プロセス微細化を積極的に進めて、価格下落に対抗する

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン