このページの本文へ

スーパーハイビジョンのデバイス開発には国の支援が必要

Display 2007&ファインテック・ジャパン開幕

2007年04月11日 22時36分更新

文● 編集部 永水和久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

液晶ディスプレー/プラズマディスプレーを中心に有機ELディスプレーを含めたFPD(フラットパネルディスプレー)の最新製品の展示会“第3回 Display 2007”と、製造技術・部品などを一堂に集めた専門展示会“第17回 ファインテック・ジャパン(国際フラットパネル ディスプレイ研究開発・製造技術展)”“第2回 FPD部品・材料 EXPO”が11日、東京・有明の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開幕した。会期は13日までの3日間で、主催はリード エグジビション ジャパン(株)。出展数は700社。

NHK技術研究所所長の谷岡健吉氏
NHK技術研究所所長の谷岡健吉氏

初日の午前中には基調講演が行なわれ、(株)東芝、パイオニア(株)のFPDメーカーの代表者に加え、NHK技術研究所所長の谷岡健吉(たにおかけんきち)氏が登壇し、将来の放送規格“スーパーハイビジョン”の実現について語った。

ハイビジョン放送の普及状況
ハイビジョン放送の普及状況

スーパーハイビジョン放送について言及する前に、まず現在のハイビジョン放送について、「受像機の普及状況は2007年2月末現在、BSデジタル放送が2281万所帯で、地上デジタル放送は1865万所帯。地上デジタル放送は、昨年(2006年)12月に47都道府県の県庁所在地すべてで視聴可能となり、やっとハイビジョンが普及し始めた印象を受ける」と述べた。加えて、「そのハイビジョンの研究は、まだモノクロ受像機しか普及していない東京オリンピックが開催された1964年にスタートしている。同様に、まだハイビジョンが普及していない2000年から、走査線数4000級のスーパーハイビジョンも研究がスタートした」と述べた。

ハイビジョンとスーパーハイビジョンの比較 人間の視野角の特性 22.2chの詳細
ハイビジョンとスーパーハイビジョンの比較人間の視野角の特性22.2chの詳細

その上で、「スーパーハイビジョンのコンセプトは“究極の高臨場感放送提供システム”。その高臨場感を実現するために、人間科学的なアプローチが採用されている。例えば仕様であるが、画角100度と総画素数約3200万以上には理由があり、画角100度については、この角度の位置の動きが人間の方向感覚に影響を与えることから決定した。そして、視力1.0の人間が画角1度の中で分解できる画素数は60画素と言われていることから、画角100度に合わせて横の画素数6000以上も決定された。その条件に、現在のハイビジョンとの整合性を図り、ハイビジョンを縦横各4倍とした仕様が決定された」と説明した。また、オーディオの仕様は22.2chとなるとし、これは縦方向への立体感を実現するために必要なチャンネル数であると加えた。

800万画素のCMOSセンサーを複数組み合わせることで応用したプロジェクター ストレージの問題
800万画素のCMOSセンサーを複数組み合わせることで応用したプロジェクターHDDを束ねた3.5TBのラックシステムでも、約18分程度しか録画できないという

そのスーパーハイビジョン放送を実現するための問題として、「家庭に設置できる100インチ前後の直視型ディスプレーが必要だが、それは現在の技術力では開発できない。現在の評価システムにはプロジェクションタイプのものを利用しているが、これも800万画素のCMOSセンサーを複数組み合わせることで応用しており、プロジェクション用の3200万画素のセンサーもまだ開発できていない」と述べた。このほかの問題点として、「21GHz帯の衛星伝達を採用予定だが、この帯域は雨の影響を受けてデータが減衰しやすく、雨天時用に出力をブーストさせる技術が必要」である点なども挙げた。

それら問題点を挙げた上で、「NHKは放送の研究はするが、デバイスの研究は別となる。そのため、スーパーハイビジョンの実現にはデバイス開発がキーとなっており、デバイスの研究についても国の支援が必要である」と主張した。

スケジュールについては、「研究所の立場としては2025年までには実用化したい。そのためには、2016年に予定されている東京オリンピックに間に合わせて試験放送を行ないたい」とも述べた。

スーパーハイビジョンの開発スケジュール
スーパーハイビジョンの開発スケジュール

また、スーパーハイビジョンの国際標準化について、「ハイビジョンの際には各国で競争した結果、かえって世界的に損失を生んできた背景がある」と指摘し、「その反省を各国が受け入れ、昨年からは競争ではなく協調関係で共に研究する姿勢になってきている」とも述べた。

国際標準化に向けて各国が協調の姿勢を取り始めた
国際標準化に向けて各国が協調の姿勢を取り始めた

12日(2日目)には特別招待講演として、昨年は同会場には収まりきらず、合計2500名が5ヵ所のサテライト会場からビデオ中継で視聴することとなった基調講演のスピーカーである、ソニー(株)の取締役代表執行役副社長の井原 勝氏と松下電器産業(株)の常務役員パナソニックAVCネットワークス社上席副社長の森田 研氏に加え、シャープ(株)の取締役ディスプレイ技術開発本部長の水嶋繁光氏が登壇する。こちらも追ってレポートする予定。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン