日本オラクルは4月10日、エンタープライズ統合管理ソリューションの最新版として、「Oracle Enterprise Manager 10g Release 3」を同日出荷開始することを発表した。
“DBのおまけ”から真のシステム管理ツールへ
今バージョンでは、Oracle E-Business SuiteやSiebel CRM、PeopleSoft Enterpriseといったパッケージ・アプリケーションやSOAアプリケーション、Oracle Fusion Middlewareなどを対象とした管理機能が拡充され、アプリケーションとインフラ層の管理を単一の管理ツールで一元的に管理できるようになった。相次ぐ買収等によって、オラクルはアプリケーション層のソリューションの品揃えを急速に拡充したが、今回のバージョンアップによって、管理ツールもその拡充に追いついたと言えるだろう。
説明を行なった常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏は、「Enterprise Managerは従来、“データベースのオマケで付いてくるOracle DB専用のツール”というイメージが強かった製品だが、この数年の機能強化によって本当の意味でのシステム管理が可能な大規模なソフトウェアに成長してきている」としたうえで、「Enterprise Managerは今後のオラクルを占う上でもきわめて重要なソフトウェアだ」と強調した。
管理手法上の特徴としては、上位のサービス・レベルから個々のコンポーネントへのドリルダウンしていく、「トップダウン・アプローチ」を採用したことが挙げられる。業務に直接関わる上位のアプリケーションやサービスに障害や不具合が生じた際に、下位のどの部分が根本原因なのか段階的に掘り下げていくアプローチでシステム全体を掘り下げていくことが可能となっている。運用管理担当者がシステム構成の詳細を把握していなくても、アプリケーションやサービスに関連するコンポーネントをEnterprise Managerが見つけ出してリストアップし、個々の動作確認まで行なう。
さらに構成管理の機能では、特にオラクル製品に関しては、グローバルで提供されていたオラクルのサポートサイト「MetaLink」との連携が日本でも本バージョンから利用可能になる点が大きい。動作中の各サーバにインストールされているオラクル製品のバージョン情報や適用済みのパッチレベルなどの情報をEnterprise Managerで抽出・整理し、MetaLinkとの連携で新しいパッチ・リリースなどの際にパッチ未適用のサーバをリストアップすることが可能だ。
なお、三澤氏はこのパッチ管理の機能に関して、「同様のことがOSのパッチ管理についてもできるとよい」と述べ、昨年秋に米国で発表された「Oracle Unbreakable Linux 2.0」との関連を示唆した。Unbreakable Linux 2.0では、Red Hat Enterprise Linuxを対象に、オラクルが独自にパッチをリリースし、サポートしていくことが表明されている。三澤氏の発言には、Enterprise Managerによる構成管理機能をOSのレイヤにまで拡大し、システムのプラットフォーム部分の堅牢性を高め、管理負担を軽減していくという狙いがあると理解してよさそうだ。