このページの本文へ

評価プロセスの自動化で内部統制のコストを下げる――SAPジャパンが支援ソフト

2007年04月04日 18時22分更新

文● アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

SAPジャパンは4月4日、内部統制の評価プロセスを支援するソフト「SAP GRC Process Control」日本語版の出荷を開始した。ERPなどの業務アプリケーションの設定を自動的に検証することで、評価プロセスの効率化を図ることができる。同日会見に臨んだロバート・エンスリン社長らが明らかにした。


ERPの設定項目を自動テスト、マニュアルテストの結果も集約化


 「SAP GRC Process Control」は、文書化、モニタリング、評価など、企業の内部統制構築を包括的に支援するソフト。すでに英語版が昨年9月に、日本語版の概要が今年3月に記者向けに発表されていたが(関連記事)、本日から日本語版の出荷が開始された。

評価プロセスの自動化で内 部統制のコストを下げる――SAPジャ...

SAPジャパン 代表取締役社長のロバート・エンスリン氏(右)と、パートナー&マーケティング統括本部バイスプレジデントの桐井健之氏(左)

「SAP GRC Process Control」がカバーする範囲。評価プロセスの自動化が売りだが、一連のプロセスを支援する機能を持つ

「SAP GRC Process Control」がカバーする範囲。評価プロセスの自動化が売りだが、一連のプロセスを支援する機能を持つ

 Process Controlは、「内部統制ツールのほとんどは文書化ツール」(SAPジャパン パートナー&マーケティング統括本部バイスプレジデントの桐井健之氏)という中で、評価プロセスの自動化機能を持つのが最大の売りだ。評価プロセスの自動化とは、企業が策定した統制ルールが実際のシステムに反映されているかを検証する機能を指す。たとえば「受注伝票の登録時には必ず受注先の与信限度を確認する」という統制ルールとERPの設定を付き合わせ、不備があれば担当者に通知される。従来は人手で行なっていた評価プロセスの効率化できるのが大きなメリットとなる。

策定したRCMとERPパッケージの設定を照合させる自動テスト機能

策定したRCMとERPパッケージの設定を照合させる自動テスト機能

 自動チェックが不可能な場合には従来どおり手動で検証する必要があるが、Process Control上で必要なテスト項目のリストアップと結果の管理を行なうことができる。また、現場部門に対してアンケート形式で業務の統制状況を調査する「セルフアセスメント機能」も備えており、統制状況を集約することが可能だ。

ダッシュボード機能では、テスト結果などをもとに経営者が統制状況を把握できる

ダッシュボード機能では、テスト結果などをもとに経営者が統制状況を把握できる

 Process Controlはこのほか、文書化支援やモニタリング機能を持つ。文書化支援機能では、リスク項目と統制項目を入力していくことでRCM(リスクコントロールマトリクス)形式にまとめたり、Excelで作成された文書を取り込むことができる。また、モニタリング機能としては、テスト結果を踏まえた統制状況を把握できるダッシュボード機能を備える。

 桐井氏は「米国では文書化の次はテストの自動化だといわれている。文書は一度作ってしまえば次年度の負担は軽くなるが、テストは2年目以降も続けていくもの。正しく統制がされているかを自動的に検証することで、コストを下げ、ROIを向上させることができる」とメリットを強調した。

 Process Controlは、SAPの統合プラットフォーム「NetWeaver」上で動作し、SAP以外の業務アプリケーションとも連携が可能だが「細かな連携はSAPのほうがしやすい」(桐井氏)ため、同社はまず既存のSAPユーザー向けに優先的に提供する方針。また、すでに何らかのツールを用いて文書化に取り組んでいる企業も多いことから、文書化を終えた大企業を中心に、評価プロセスの自動化を訴求していく構えだ。

 価格は非公表だが、最小構成価格では300万円台程度からとなる見込みで、「2007~2008年度にかけて30~50社程度への導入を目指す」(代表取締役社長のロバート・エンスリン氏)としている。


ウィルコム前社長の八剱氏は成長分野を統括


 会見ではこのほか、4月1日付けで上級副社長に就任(関連記事)した、八剱(やつるぎ)洋一郎氏の紹介も行なわれた。

SAPジャパンの上級副社長に就任した八剱洋一郎氏

SAPジャパンの上級副社長に就任した八剱洋一郎氏

 八剱氏は4月1日付けで新設されたストラテジック・インダストリー&ソリューション統括本部長を兼務。今回の新製品を含むGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)やビジネスプロセス・プラットフォームなどの「今後の重要な成長を見込む分野」(エンスリン氏)を総括する立場となる。日本AT&Tやウィルコムで社長を務めるなどの豊富なビジネス経験を持つ八剱氏を招聘したことで、SAPジャパンはGRCソリューションに注力する姿勢をさらに鮮明にした格好だ。

■関連サイト

カテゴリートップへ