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伊藤忠、エキサイト、DGインキュベーションからの出資を発表

フォン・ジャパン、国内で夏頃にも有償接続の“Alien”サービス開始へ

2007年03月29日 19時12分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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英FON WIRELESS Ltd.と同社日本法人のフォン・ジャパン(株)は29日、東京・恵比寿の恵比寿ガーデンプレイスタワー内会議スペースにプレス関係者を集め、今月9日に実施された第三者増資割り当てによる複数企業からの合計1000万ユーロ(約15億7500万円)の出資を受けた企業名を明らかにした。米グーグル(Google)社など昨年2月に資本提携を結んでいる海外企業のほか、日本からも伊藤忠商事(株)、エキサイト(株)、(株)DGインキュベーションの3社が出資を行なっている。ただし、出資金額の内訳や比率などの詳細については非上場企業であることから、明らかにはされなかった。

マーティン・バルサフスキー氏

FON WIRELESS Ltd.のCEOのマーティン・バルサフスキー氏

今回の資本提携によって、伊藤忠とエキサイトではフォン・ジャパンと連携した以下のような共同事業を展開していくという。

  • エキサイトIDとパスワードによって、世界各地のFONのアクセスポイントをローミングサービスとして有償利用が可能(エキサイトで合算して利用料を請求する)
  • エキサイト上にFON会員に向けたコミュニティーサイトを開発・運営
  • 無線LANアクセスポイントとしてのFONを活用したFMC(Fixed Mobile Convergence、有線通信と移動体通信=無線通信の融合)ビジネスの展開
  • FONネットワークおよびFON対応機器拡大のための戦略的パートナーシップの構築
  • FON会員の利便性向上のための各種サービスの構築と提供
  • 既存のFON株主とのアライアンス強化による新規事業創出
バルサフスキー氏のジャケットの襟元にFONのバッジ

バルサフスキー氏のジャケットの襟元には、FONのロゴをデザインしたバッジが光っていた

こうした積極展開の後ろ盾として、FON WIRELESS Ltd.のCEOのマーティン・バルサフスキー(Martin Varsavsky)氏は、国内で1万8000人、アクセスポイント数9500ヵ所(3月26日現在)、世界では150ヵ国で約34万人、約13万ヵ所のアクセスポイント(同日現在)という利用者とアクセスポイントの急増ぶりを誇った。特に日本の成長ぶりは著しく、開始当初は世界で20番目の地域だったが、開始から4ヵ月で3位の規模に成長している満足そうに語った。



通信事業者との協業による“FMC”やAlienサービスの開始など
――FONは次のステップへ

FMCについては海外での事例として、フランスの携帯通信事業者が販売するGSMとWiFi両対応の端末で、FONのネットワークを利用可能にしていることを紹介した。バルサフスキー氏によると、通信キャリアーは何GBものデータを3Gネットワーク経由でダウンロードされるのを好まない。多くのユーザーが一斉に動画を受信しようとするとそれだけで回線がパンクしてしまう。そこで、大容量データの受信にはFONのWiFiネットワークを使わせる方が、ユーザーの利便性・満足度を上げられるという。

FMC対応端末

フランスですでに展開しているという、FONにも対応したFMC対応端末

FONの今後の展開についてフォン・ジャパンのCEOの藤本潤一氏は、従来のFON専用ルーター『LaFonera(ラフォネラ)』のリテール販売を九十九電機(株)、(株)ノジマ以外にも広げるとともに、LaFoneraに組み込んだ無線LANを二重化(プライベート利用とFONユーザー向けのパブリック利用)する技術を他社のルーターに組み込む技術の提供や支援(プログラム自体はオープンソースソフトウェアとして公開しているという)。

さらに、現在日本では行なっていないサービス“Bills”(自分のFONアクセスポイントを有償で公開する代わりに、自分が他者のFONアクセスポイントを使う場合は有償になる)については電気通信事業法に基づく届け出が必要になるため、すぐに始めることはないとしながらも、“Alien”(FONのアクセスポイントを自らは公開せず、ほかのFONアクセスポイントを有償利用するだけのサービス)については、国内アクセスポイントが夏頃に始めるべく準備している、と述べた。これについては伊藤忠の宇宙・情報・マルチメディアカンパニー 情報産業ビジネス部のプロジェクトマネージャーの瓜生裕明氏が、「海外では半数以上がコンビニでプリペイドカードを購入して利用している。こうしたクレジットカード以外の決済方法を用意する必要があると考える」と述べ、今回の資本提携を契機にさらなるサービス拡充に向けて動き始めたことを示した。

フォン・ジャパンのCEOの藤本潤一氏

フォン・ジャパンのCEOの藤本潤一氏

伊藤忠の瓜生裕明氏

伊藤忠の宇宙・情報・マルチメディアカンパニー 情報産業ビジネス部のプロジェクトマネージャーの瓜生裕明氏

このほか、バルサフスキー氏は開発中のソフトウェアとして、携帯電話の高速データ通信規格“HSDPA”接続をFONルーターに拡張するというアダプターや、Mac OS X上で動作させるとMacのインターネット接続環境をFONアクセスポイントとして公開できるソフトモデムなどを紹介した。いずれも国内での正式リリースの時期などは未定だが、FONネットワークのさらなる拡大に向けた動きとして注目される。

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