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日本版SOX法施行まであと1年 アスキービジネス、中小企業向け内部統制セミナーを開催

2007年03月26日 21時51分更新

文● アスキービジネス編集部

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アスキービジネスは3月20日・23日に東京と名古屋において、「見えてきた! 中堅・中小企業における内部統制時代への備え方」と題したセミナーを行なった。セミナーでは、中小企業にとっての内部統制へのアプローチ法や内部統制に対してどのように投資を行なうべきか、また内部統制時代に求められるITシステムのあり方などが語られた。

内部統制=SOX法ではない!

 セミナーの第一部として牧野総合法律事務所の弁護士・牧野二郎氏による講演「内部統制はどこまで可能か、どこまで実現すべきなのか」が行なわれた。

「内部統制というと日本版SOX法という言葉がよく使われるが、日本の内部統制はSOX法以前から、日本企業に合わせて考案されてきた。米国の基準で内部統制の準備をする企業もあるが、米国のSOX法自体が効率が上がらず、コストが掛かりすぎるとして基準が見直されようとしている」

弁護士の牧野二郎氏。外部の基準に合わせて内部統制を行なうのではなく、どういう基準で内部統制を行なうかを考えることが大事だと指摘。

弁護士の牧野二郎氏。外部の基準に合わせて内部統制を行なうのではなく、どういう基準で内部統制を行なうかを考えることが大事だと指摘。

弁護士の牧野二郎氏。外部の基準に合わせて内部統制を行なうのではなく、どういう基準で内部統制を行なうかを考えることが大事だと指摘。

 牧野氏はこのように話し、まず「内部統制=日本版SOX法」という誤解を説いた。その上で、内部統制が求められる背景として、情報化の加速や業務の複雑化、アウトソーシングの増大などによって、経営者が企業を管理する力が落ちてきていることが原因だと指摘。業務の文書化や見える化を進めて管理力を高め、企業の説明責任をしっかりと果たすことこそが内部統制のメリットであると話した。

 また、対象が大企業のみと誤解されがちな内部統制に関して、「非公開企業であっても、他の企業から業務を委託されていれば同レベルの内部統制報告を行なう必要がある。また、株式公開を目指す企業なら公開前の3~5年の記録が必要になる」と、中堅・中小企業にも内部統制が必要であると話す。

独自基準で自社の強みを発揮

 では、どのように内部統制を構築すべきかということに関して、「会社法と金融商品取引法の両方が求めているのは、内部統制の体制を整備すること」と具体的なレベルではなく、会社の方向性が決められているに過ぎないことを指摘。そして、その体制整備のために必要なものとして、「徹底したルール化」「徹底した業務記録」「点検・自己点検」「監査・改善提案」という4点セットを紹介した。

 また、監査法人やコンサルタントに任せた場合、「従来の米SOX法なみの厳格な模範答案が求められる」として、法的に求められている範囲を把握した上で、経営者が自社の強みにつながる独自の基準を設けるべきと指摘した。さらには「内部統制は経営者が会社の業務の見える化を進めること。経営者が分からなかった部分が見えるようになれば、おのずと業務の効率化が進む」と話し、内部統制は本当の価値は業務の効率化にあるとした。

内部統制は経営者が判断し、構築する

内部統制は経営者が判断し、構築する

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