昨年のCeBITで発表された、米マイクロソフト社の小型タブレットPC“Ultra-Mobile PC”(コードネーム:Origami)。そのリリースから約1年が経過し、Windows Vistaや最新の低消費電力プロセッサー技術を搭載した、第2世代の製品がCeBITの会場に並び始めている。その先陣を切ったのが、サムスングループが韓国・欧州市場に投入する『Q1 Ultra』だ。
次世代UMPCの先陣を切るサムスン
第2世代のUMPCとなるQ1 UltraのOSは、Windows Vista Home Premiumがベースで、その上で新バージョンのUMPC用フィーチャーセット(Origami Touch Pack)が動作している。
OS変更に伴いGUIも改良され、スライドショーの再生中に選曲用の操作パネルを表示するなど、いちいち上の階層のメニューに戻らず、1画面で操作が完結するような工夫が施されている。
CPUはインテル製とのみ記載があり、詳細は公表されていない。
しかし、別途開催されたインテルの記者説明会で、欧州・中近東・アフリカ担当のバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのクリスティアン・モラレス(Christian Moraires)氏が質疑応答でコメントした内容によると、使用しているCPUは超低電圧版で、TDP(設計上想定される最大放熱量)も3W程度と従来製品に比べて非常に低く抑えられていることなどを勘案すると未発表の次世代モバイルCPUである可能性が高い。
これにより、バッテリー駆動時間も3セルの標準バッテリーで約7時間、6セルの大容量バッテリー使用時には11時間と約40%向上した。
また、タッチパネル付きの液晶ディスプレーも改善。7インチというサイズ自体は変わらないが、解像度が従来のWXGA(800×480ドット)からWSVGA(1024×600ドット)に上がったほか、輝度も200cd/m2から300cd/m2に向上している。
通信機能も強化され、IEEE 802.11b/g、Bluetooth 2.0、10/100BASE-TXのほか、HDSPA(High Speed Downlink Packet Access)や韓国独自のモバイルブロードバンド規格である“WiBro”が利用できる。さらに、韓国でのワンセグ放送に相当するDMBにも対応する。
本体サイズは幅227.5×奥行き139.5×高さ26.5mm(最薄部24.5mm)で、重量は777g(DMBモジュールなし)。ポケットに入れられるサイズではないが、展示会場で実機を手に持った印象では薄く、軽量に感じた。
韓国・台湾メーカを中心にUMPCの選択肢が増える
これ以外にもCeBITの会場では、台湾ASUSTek Computer社が同社のブースで、GPSなどを搭載したコンバーチブルタイプのUMPCを展示していた。こちらもCPUの記載はないが、消費電力は3.5W、超低電圧版と書かれている。
上述したインテルの説明会では、モックアップを含めて6種類のUMPCが公開されていた。どれもGPSや通信機能といった付加機能に加え、独特なギミックを備えた個性的な製品である。今後UMPCの世界は広がっていくのか? 期待を抱かせてくれる。
