弥生、人事管理パッケージ市場へ今夏から参入へ――販売、顧客管理の新版は4月から順次発売

アスキービジネス編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

弥生は今夏、人事管理パッケージ市場へ参入する。従来から提供している給与計算ソフトに人事管理機能を付加した中規模企業向け製品「弥生給与ネットワーク版」をリリースする計画を、14日に開かれたプレス向けラウンドテーブルで竹之内学執行役員が明らかにした。また、従来から販売する販売管理/顧客管理ソフトの新版「弥生販売07」「弥生顧客07」を4月から順次発売する。


「弥生ERP」の可能性は?


 「弥生会計」「弥生販売」などの従業員数30名以下の小規模企業向けの業務用パッケージを手がける弥生は、2004年に「弥生会計ネットワーク版(当時は弥生会計NE)」の発売でクライアント/サーバ型の製品ラインを立ち上げ、従業員数300名程度までの中規模企業の取り込みを狙っている。

 この一環として今年初夏にも発売が予定される「弥生給与ネットワーク版」では、従来の弥生給与(スタンドアロン版)が持つ給与計算の機能に加えて、新たに人事管理系の機能を付加する計画だ。詳細は不明だが「ある程度の規模の企業に従来から求められていたもの」(執行役員プロダクトマーケティング担当の竹之内学氏)としており、社員台帳管理などの機能が盛り込まれるものと見られる。

弥生 執行役員プロダクトマーケティング担当 竹之内 学氏

弥生 執行役員プロダクトマーケティング担当 竹之内 学氏

 また、これに関連して今後のERPパッケージの提供の可能性について竹之内氏は「全社一元的な経営管理を目的とするERPと現場の業務効率を図る弥生とはコンセプトが異なる」としながらも、「検討自体は今後してみたい」と発言。その後の記者の取材には「弥生製品をつなぐか、あるいはまったく新しいものになるかを含めて検討の対象となる。ただ、勘定奉行シリーズの成功には我々も注目している」と含みを持たせた。


「弥生販売07」はコードから書き換えた全面刷新版


 この日、弥生は、販売管理ソフト「弥生販売07(プロフェッショナル/スタンダード/ネットワーク)」と顧客管理ソフト「弥生顧客07」の発売を正式に発表した。いずれもWindows VistaやExcel 2007に対応し、すでに発売済みの「弥生会計07」「弥生給与07」と併せて「弥生07」シリーズが出揃うことになる。

弥生販売07で強化された機能のポイント

弥生販売07で強化された機能のポイント

 弥生販売07のスタンドアロン製品となるスタンダードとプロフェッショナルでは、ユーザーからの要望による機能強化を行なうとともに、上位製品であるネットワーク版をベースにしたソースコードの差し替えや、画面デザインの変更を含む全面的な刷新を行なった。

弥生販売07のネットワーク版に搭載されたプロジェクト別集計機能では、案件ごとの損益把握が可能になった

弥生販売07のネットワーク版に搭載されたプロジェクト別集計機能では、案件ごとの損益把握が可能になった

 具体的には、台帳や集計期間の絞り込み機能の強化、通販業者などに適した都度請求機能の搭載、元帳・伝票単位での入金消しこみへの対応などにより、業務効率の向上を実現した。また、従来はファイルベースだったデータの管理方法を改め、マイクロソフトのSQL Server 2005 Express Editionを採用。これにより、取り扱うデータの上限が従来の1GBから4GBに引き上げられ、堅牢性を高めたとしている。さらにネットワーク版では、プロジェクト別集計機能を搭載し、複数の仕入/売上伝票をまたぐ案件でも損益の把握が可能となっている。

 価格は、弥生販売のスタンダードが4万2000円。プロフェッショナルが12万6000円(2ユーザー版)から。ネットワークは、SQL Server 2005 Standardを同梱する「with SQL」が99万7500円/5ユーザーから、SQL Serverを含まない「for SQL」が84万円/5ユーザーからで、出荷開始は4月20日となる。

弥生顧客07。画面は前バージョンから搭載されたRFMクロス分析機能

弥生顧客07。画面は前バージョンから搭載されたRFMクロス分析機能

 一方の弥生顧客07では、同社が行なったユーザー満足度調査で満足度が低かった分野を重点的に機能強化した。具体的には、印刷機能の向上とキー操作性の改善、データコンバート機能の強化などを図っている。

 価格は4万2000円。5月18日の出荷を予定している。



中国・大連に開発子会社、札幌にサポートセンター設置でリスクを分散


 今回のラウンドテーブルでは、代表取締役社長である飼沼健氏から、今年4月に予定している札幌と中国・大連の2つの新拠点の設置についても発表された。

弥生 代表取締役社長 飼沼 健氏

弥生 代表取締役社長 飼沼 健氏

 このうち札幌拠点は、大阪のカスタマーセンターと東京の品質保証部門の機能を一部移転させたもので、当初は50名程度でスタート、1年後には100名体制とする。また、中国・大連の拠点には、開発子会社として「弥生(大連)軟件開発」を設立する。従来から弥生の開発の一部を担っていた英極軟件開発(ライブドアチャイナ)から20名程度のC言語技術者を引継ぎ、1年後には50名体制とする予定だ。

 飼沼氏はこうした計画について「災害などによるリスク分散と人材確保が目的」としている。特に人材確保について「東京における人材確保は難しくなってきている。地方は比較的優秀な人材を集めやすい」とメリットを説明した。また、飼沼氏は「将来的には札幌にも開発拠点を置きたい」との展望を示している。


■関連サイト

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
09月
10月
11月
12月
2020年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2019年
01月
02月
03月
05月
06月
07月
08月
11月
12月
2018年
01月
02月
03月
04月
06月
07月
09月
10月
12月
2017年
01月
02月
03月
04月
05月
07月
10月
11月
12月
2016年
01月
02月
03月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2015年
01月
02月
03月
06月
07月
10月
11月
12月
2014年
01月
02月
03月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2013年
05月
10月
11月
12月
2012年
06月
07月
11月
12月
2011年
02月
09月
11月
2010年
01月
02月
03月
04月
05月
11月
12月
2009年
10月
12月
2008年
01月
04月
09月
2007年
01月
03月
05月
10月
11月