(株)シマンテックは6日、ウイルス対策/スパイウェア対策/侵入対策/フィッシング対策/ファイルのバックアップ/パソコンのメンテナンスなどが行なえる個人向け統合セキュリティーサービス“ノートン 360”の提供を同日付けで開始すると発表した。同サービスはパソコンにインストールするソフトウェアと、データ更新/オンラインストレージなどを含むオンラインサービスの組み合わせによって提供される。ソフトウェアはダウンロード形式およびパッケージで同日から販売を行ない(パッケージ版の販売は23日から)、価格は8190円から。
“ノートン 360”は、ウイルス/スパイウェア/侵入者からのパソコンの保護や、フィッシングサイトによる個人情報流出の防止、ファイルのバックアップ、一時ファイル/インターネット閲覧履歴などの不要ファイルの削除、HDDの分析/デフラグなどを一括して行なえるのが特徴。初心者でも簡単に操作を理解できるように、同社のセキュリティー対策ソフト群とは異なるインターフェースを採用したほか、分かりにくい専門用語を排除したという。“ノートン 360”に含まれる機能は以下のとおり。
- PCセキュリティ
- ウイルス/スパイウェア/侵入者からパソコンを保護する。パソコン上のアプリケーションのビヘイビア(ふるまいや動作)を分析することで、定義ファイルにない未知のクライムウェアを検出する“SONAR(Symantec Online Network for Advanced Response)”機能を備えている。カーネルモードのルートキットを削除する機能も備えている
- トランザクションセキュリティ
- オンライン取引において、フィッシングサイトによる個人情報流出を防ぐ。対応ウェブブラウザー(Internet Explorer 6.0以上)に組み込まれる“ノートン・ツールバー”で、危険なウェブサイトを表示する。既に判明しているフィッシングサイトの情報(ブラックリスト)による保護を行なうほか、アプリケーションの挙動を監視するヒューリスティック技術により未知のフィッシングサイトからもユーザーを保護する。ウェブサイトが本物かどうかを確かめるウェブサイト認証機能も備えている
- バックアップと復元
- 画像/音楽/文書・データ/動画ファイルや連絡先、電子メールのメッセージなどを自動的にバックアップ/復元する機能。バックアップの対象はユーザーが自由に選ぶこともできる。バックアップファイルの保存先はHDDや外部ドライブ、CD/DVDなどのメディアのほか、同社が提供するオンラインストレージ(1ライセンスあたり2GBまで、1年間利用可能)が利用できる。オンラインストレージとの通信は暗号化される。ユーザーのアカウントオンラインストレージの容量は有償で追加も可能。
- PCチューンナップ(メンテナンス)
- Windows/インターネットの一時ファイルやインターネットの閲覧履歴などの中から不要なファイルを削除したり、HDDの分析/デフラグが行なえる機能。パソコンのアイドル時間が一定に達すると自動的にHDDのスキャン/データのバックアップ/パソコンのチューンナップを行なう機能“スマートバックグラウンドスケジューラ”も搭載している
- 組み込み型サポート
- 接続や設定に関する問題を自動的に診断/解決する機能や、問題を解決する方法を示すウィザードを表示する機能を備える。またソフト上のボタンをクリックするだけで、チャット/電子メール/電話によるテクニカルサポートへの問い合わせが行なえる
対応OSはWindows Vista/XP。対応機種は、クロック周波数300MHz以上のCPUと、256MB以上のメモリーを搭載したPC/AT互換機。フィッシング対策機能を利用するにはウェブブラウザーとしてInternet Explorer 6.0以上が必要。
ソフトウェアの価格はダウンロード版“標準パッケージ”が8190円(2年目のデータ更新サービスが付属する“更新サービス2年付き”は1万5330円)、パッケージ版“標準パッケージ”が1万290円。“標準パッケージ”は1ライセンスで3台までのパソコンにインストールが可能。価格には1年間のソフト使用権利とデータ更新サービスの利用料金が含まれており、1年目以降は1年ごとに契約を更新するサブスクリプション形式となっている。追加オンラインストレージの利用料金は、1年間で5GBが3780円、10GBが6300円、25GBが8820円、100GBが3万5280円。
「“ノートン360”のターゲットは家族ユーザー」
同日、東京・五反田の東京デザインセンター ガレリアホールで開催された記者発表会にはシマンテック 代表取締役社長の木村裕之(きむら ひろゆき)氏、コンシューマ営業統括本部 執行役員 統括本部長の大岩憲三(おおいわ けんぞう)氏、米シマンテック社 コンシューマ事業部門 シニア プロダクト マネージャのマーク・カノック(Mark Kanok)氏、シマンテック シニア リージョナル プロダクト マーケティング マネージャの風間 彩(かざま あや)氏が出席した。
木村氏は冒頭に挨拶を行ない、「今日、個人のお客様はパソコンをメールの送受信からネットサーフィン、オンラインバンキング、ショッピング、音楽ファイルやデジタル写真の保存など、さまざまな用途に使用している。“ノートン 360”は、その多種多様な用途を念頭に置いて作られた製品だ」と語った。
続いてカノック氏が“ノートン 360”の概要について説明を行なった。説明の中でカノック氏は同製品を開発した背景に触れ、「いろいろなセキュリティー製品が混在していて、平均的なユーザーにとってどの製品が何をするものなのか分からなくなっていること、個人ユーザーのオンラインセキュリティーへの信頼感が低下していること、写真やそれ以外のファイル、個人情報などユーザーが持つデジタルコンテンツの量が爆発的に増えているにもかかわらず、多くのユーザーがやり方が分からない・作業が面倒などの理由からバックアップを行なっていないこと」の3つを挙げた。個人ユーザーのオンラインセキュリティーへの信頼低下についてはシマンテックが2006年11月に行なった調査結果を示し、14%のインターネットユーザーが情報の盗難の恐れから個人情報をウェブサイトで入力するのを止めたとし、また22%のユーザーがオンライン決済を行なわなくなったなどとした。
その上でカノック氏は“ノートン 360”のターゲット層を「簡単に使えるオールインワン型の製品を求めているインターネットの利用率が高い家族ユーザー“デジタルファミリー”」であると述べた。
またカノック氏は“ノートン 360”の同社製品群における位置づけについても触れ、“ノートン 360”は「ウイルスやスパイウェアからのパソコンの保護、オンライン取引における個人情報の保護、重要なファイルの保存などを統合して行ないたいユーザー向けの製品である」とし、セキュリティー対策ソフト“ノートン・インターネットセキュリティ”とは別の位置づけにある製品だと語った。
風間氏は“ノートン 360”の発売スケジュールや価格について説明を行ない、「ダウンロード版、パッケージ版ともに標準パッケージは1つのライセンスでパソコン3台までで利用できるので、ぜひ家族の方はみんなで使ってほしい」と語った。