ソニー(株)は7日、携帯型オーディオプレーヤー“ウォークマン”の新製品として、“NW-A800”を発表した。ウォークマンの最上位製品に位置する新Aシリーズは、色再現性に優れた2インチ液晶ディスプレーによるビデオ再生機能と、高音質を重視した製品となっている。メモリー容量別に3製品がラインナップされ、価格は全機種オープンプライス。発売日は21日の予定。
2005年9月の登場以来、1年半ぶりの新製品となるAシリーズは、ウォークマン最上位製品にふさわしい高機能/高性能を重視した製品となっている。機能面では特に、内蔵カラー液晶ディスプレーを生かしたビデオ/静止画再生機能がポイントである。
搭載する液晶ディスプレーには2インチ、240×320ドットのカラーTFT液晶パネルを採用。サイズ自体は第5世代iPod(5G iPod)よりやや小さいが、200:1の高コントラスト(5G iPodは172:1)とNTSC比60%(同50%)の特性により、ビデオや静止画の表現力が大きく向上している。対応するビデオコーデックは、MPEG-4とAVC(H.264/AVC Baseline Profile)に対応。AVCコーデック時は最大ビットレート768kbpsまで対応しており、TVの小さな字幕でも視認できる高精細な画質を実現している。ビデオファイルの最大サイズは2GBまでで、メモリー容量8GBのモデルの場合、最大32時間40分(MPEG-4 384kbps時)のビデオを収録できる。
静止画再生はスライドショー形式での表示が可能で、音楽再生をしながらのスライドショーも可能となっている。ビデオ/静止画再生時には縦位置だけでなく、横位置での表示も可能。右手用/左手用の切り替えもできる。またメモリー内のビデオや静止画は、サムネイル付きの“ビデオライブラリ”で表示、選択できる。
高音質の面では、“DSEE”(Digital Sound Enhancement Engine)と称する技術がキーとなっている。圧縮によって失われた高音域部分を補完し、CDなどの音源に近い波形に帯域拡張することで、高音質化を実現する。同社の説明では、他社の同様な方式よりも原音に近い補完が可能で、高音域を強調しすぎたり、弱かったりといったことがなく、オリジナルに近い音を実現しているという。
DSEE以外にも、ステレオの左右の音が反対側に洩れる音漏れを防ぐ“クリアステレオ”や、ウォークマンS700/600と同じ直径13.5mmの大型ドライバーユニットを内蔵するステレオヘッドホンが付属するなど、音質重視の特徴を備える。なおノイズキャンセリング機能は持たない。
再生可能なオーディオコーデックとしては、MP3やATRAC(Advanced Lossless対応)、AAC、WMAなどに対応する。著作権保護されたAACやWMAには対応しない。パソコン用ソフトウェアとして、音楽管理・転送用ソフト『SonicStage CP 4.3』が、ビデオ転送用に『Image Converter 3』が付属する。Image Converter 3には、MPEG-2などのビデオファイルをMPEG-4やAVC形式に変換する機能も備わる。静止画や対応するビデオファイルに関しては、Windowsのエクスプローラ上でドラッグ&ドロップでの転送も可能である。
フラッシュメモリー容量別に3種類のバリエーションがあり、8GBの『NW-A808』、4GBの『NW-A806』、2GBの『NW-A805』がラインナップされる。HDD内蔵モデルはない。メモリー容量以外の機能差はない。カラーバリエーションは、バイオレット、ブラック、ホワイト、ピンクの4色(NW-A808はバイオレットとブラックのみ)。さらに同社の直販サイト“Sony Style”限定モデルとして、NW-A808のシルバーモデルがラインナップされる。
本体サイズは幅約43.8×高さ88×厚さ9.1mm。フットプリントはほぼiPod nanoと同サイズとなっている。重さは約53g。内蔵充電池で音楽再生なら最大30時間、ビデオ再生(MPEG-4)でも最大8時間の連続再生を可能としている。
予想実売価格は、8GBのNW-A808が3万4000円前後、4GBのNW-A806が2万7000円前後、2GBのNW-A805が2万1000円前後。Bluetoothヘッドセットとトランスミッターがセットになった“Bluetoothオーディオキット”『WLA-NWB1K』などのオプションも同時発売される。