Ajaxのパフォーマンス改善の鍵は“CPU”と“ブラウザ”
――Zebraのもうひとつの特徴は、Ajaxによる操作性です。ただ実際に使ってみると多少、動作速度が気になりました。
後藤氏:ZebraのようなAjaxを使ったWebアプリケーションでレスポンスは大きく2つの要因で決まります。 ひとつは、クライアントCPUの動作速度です。古いPCではAjaxの動作は遅くなるんですね。これは一般的なクライアントアプリケーションでも同様ですから、どうしようもないといえばどうしようもない話なんですが……。
もうひとつは、ブラウザの性能です。特定のイベントが発生したとき、たとえばドラッグ&ドロップしたときに、ブラウザ側がそれをどのような形で実行するかは、Internet Explorer(IE)とFirefoxではかなり違いがあります。
――動作速度はエンドユーザーにとっては重要なポイントですよね。
後藤氏:ジンブラ社でもそこは認識していて、自社のサイトにベンチマークの結果を公表しています。昨年の11月の結果では、圧倒的にFirefoxの方が速いことになっている。こうした姿勢は常にアピールしています。
実は米国では、ジンブラ社とモジラが戦略的なパートナーシップを組んでおり、お互いにパフォーマンスを向上させる取り組みをしています。また、現在では米マイクロソフトとも協力して改善に動いています。
“SaaS”で目指すのは、ソフトを水道・電気と同じように提供すること
――それでは、販売戦略について伺います。今回はなぜSaaSモデルでの提供を決めたのでしょうか。
後藤氏:いくつかのポイントがあります。まず、フィードパス社からZimletを柔軟に提供できる点があります。たとえば今後、仮にZimletを課金制とするとしましょう。すると、企業が好きなときにZimletを追加して必要なコストを払い、不要になったら外せるようになる。SaaSとは「ソフトウェアをサービスとして提供する」という考え方ですので、家の中の水道・電気・ガスと同じように、好きなときに好きな量だけ提供するのが我々のミッションであると考えています。
また、今後はフィードパス社として、Zebraにとどまらず、さまざまなアプリケーションをSaaSで提供する予定です。そこで、まずはこのタイミングで、ビジネスの基盤を作っておくべきだと考えました。
――導入する企業にとってのSaaSのメリットとは何でしょうか。
後藤氏:SaaS提供にあたっては、安心して利用していただける大手データセンターと契約しています。当然、ミラーリングや定期的なバックアップも行なっていますし、フィードパス社としても24時間マネジメントする仕組みを作って監視しています。また、一般的な企業に比べてデータセンターは入退室管理を含めた物理的なセキュリティも優れています。こうした仕組みを自社で用意するよりも、SaaSは圧倒的に低コストで済むでしょう。
また今後、日本版SOX法への対応の中では、メールのアーカイブの必要性も高まっています。今後は、1人当たりのディスク容量を現在の1GBから増量できるようにして、アーカイブのニーズにも対応していく予定です。
――最後に、今後Zebraを普及させるためのフィードパス社としての方針をお聞かせください。
葛山氏:まず我々がターゲットとしているのは、ITリテラシーの高い方ということですね。Zebraは、一目で「おっ」と反応していただける方と、「で、どうなの?」という方にはっきり分かれる製品だと思いますし、「ただメールができればいい」という方には受けないでしょう。
それから、SaaSというのは我々がこれから啓蒙していかないといけない市場だと思っています。安心かつ低コストでセキュリティにも優れている、といった面を徐々に理解していただいたうえで導入してもらうことになるでしょう。SaaS市場の啓蒙者として、これからがんばっていきたいと考えています。
――本日はありがとうございました。