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中小企業にソフトウェアの新しい供給方法を――ソフトバンクBBに聞く、「TEKI-PAKI」の狙い

2007年02月14日 20時20分更新

文● アスキービジネス編集部

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P2Pでパターンファイルをスピーディーに配信
手間いらずのウイルス対策サービス


――第1弾として開始されたウイルス対策サービスについてお聞きします。トレンドマイクロの「ウイルスバスター コーポレートエディション」をベースにしたサービスとのことですね。

もたい氏:ベースになっているのは、ウイルスバスターにクライアントファイアウォール機能を搭載した「ウイルスバスターコーポレートエディション アドバンス」です。これに、通常はオプションとして提供している復旧機能「ダメージクリーンナップサービス」を標準で搭載しました。

 実はウイルス対策では、感染した後の作業が大変で、規模によっては復旧までに2~3日は掛かってしまうことがあります。その手間を軽減するため、今回は復旧機能を標準のサービスに含めることにしました。

――パッケージ版と比べた場合に、TEKI-PAKIならではの機能はどのあたりになるのでしょうか?

もたい氏:大きく違うのは、「アクティブエージェント」という配信機能を備えていることです。ウイルス対策では、パターンファイルを常に最新に保つ必要がありますが、パッケージ版は社内の管理サーバを経てインターネットからダウンロードしていました。

 これに対してアクティブエージェントは、P2P方式でネットワーク内でパターンファイルを共有・配信する仕組みです。最新のパターンファイルを持つPCから横に展開していくので、従来以上にスピード感を持ってアップデートできます。また、中小企業ではインターネット回線に余裕がない場合もありますが、アクティブエージェントは社内ネットワーク内でパターンファイルを共有するので、トラフィックが少ないのも特徴となっています。

――通常のコーポレートエディションを導入するよりも敷居が低くなりますね。

原山氏:イメージとしては、システム専任の担当者が不要になると考えています。これまでは社内に専用のサーバを置くために、PCに詳しいだけでなく、サーバの面倒を見られる方が必要でした。今回のサービスは、そこまでの専任は必要ないかなというレベルだと思います。最低限必要なのは、情報を受け取って社内に伝えていただける方、ダウンロードしたファイルをインストールするように広められる方ですね。

――ライセンス面でもパッケージ版とは違いがあります。

もたい氏:一般的に企業向けのライセンス製品は、ライセンスの適用範囲を企業が所有するPCに限定することが多く、個人が持ち込むPCへの導入を制限しているのがほとんどです。ただ、現実に会社や学校のネットワークに個人所有のPCの接続を許しているのであれば、同じレベルでセキュリティ対策をしなければ意味がない。

 そこで今回のサービスでは、個人所有のPCにライセンスを適用してもかまわないことにしました。特に中小企業やSOHOでは、個人所有なのか、企業のものなのか分離するのが難しいケースがあると思います。実際にライセンスに含めるかどうかは企業や学校の考え方によりますが、含めたければ含めてもかまいません、ということですね。


“SaaS=Webサービス”ではない
本来業務をサポートするサービスを拡充


――TEKI-PAKIの今後の展開予定について教えてください。

もたい氏:この春には、ユーザー企業ごとに用意している管理画面への機能追加を予定しています。現状の管理画面ではライセンスの追加発注のみが可能ですが、ここからウイルス対策サービスの管理コンソールを直接見られるようにしたり、契約履歴や請求明細を確認できるようにする予定です。

原山氏:これはあくまでも構想に過ぎませんが、一度管理画面にログインすれば、各アプリケーションのライセンス数や、毎月の人員・ライセンスの加減状況、投資金額などが一目で確認できる、IT担当者のポータル的なものにしていくのが将来的な理想ですね。

――提供されるアプリケーションの追加も予定されています。会計、グループウェアなどがラインナップ予定となっていますね。

原山氏:まだまだ第1弾が始まったばかりですので、具体的な時期や製品を示すのは難しいのですが、コンセプトは「ユーザーにとって利便性の高いサービスをそろえ、低価格で手離れよく」です。そこで、特定の企業に必要なものではなく、なるべく汎用性の高いソフトを順に、できるだけ早くラインナップしていきます。

 本来、IT担当者とは、ITを使った戦略の立案や業務効率の向上を期待された、「IT戦略の担当者」のことだと思います。ところが現実には、セキュリティの見守りや壊れたときの窓口――それがIT担当者のイメージになっている。TEKI-PAKIは今回、ウイルス対策をリリースしました。企業として最低限必要だけど手間はかけたくないもの、IT担当者が本来の戦略的な活動に注力していただけるようなサービスをラインナップしていきたいと考えています。

――最近、SaaSと呼ばれる業務用WebアプリケーションをASPで提供する形態が注目されています。今後、リリースされるサービスはこの流れを汲むものになるのでしょうか。

原山氏:まず、これははっきりさせるべきだと思いますが、ASPやSaaSは決してインターネット経由のWebサービスとイコールではありません。SaaSとは“Software as a Service”のことですから、インターネットに常時接続していないサービスの形態・供給方法もありえるのです。

 「SaaS」や「Web2.0」というと言葉は華々しいですが、実際にユーザーにとっては何が便利なのかが重要です。たとえば会計ソフトでは、「インターネットに接続していなくてもちゃんと使えます」というほうがユーザーにとってメリットとなるケースもあるでしょう。形態に向く、向かないというものが確実にあります。

 ただ、用途によってはSaaSやASPはこれから増えていくと思いますし、それはユーザーの選択肢が増える時代になることだと捕らえています。当社としては、さまざまな形態が増えたとしても、ソフトバンクBBを通じてワンストップで、さらに付加価値を付けて、よりよいサービスとして提供していこうと考えています。

――本日はありがとうございました。

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