サイボウズグループのフィードパスは、2月7日、東京都内で会見し、「feedpath Zebra」(フィードパス・ゼブラ)を正式発表した。米ジンブラの「Zimbpra Collaboration Suite」を日本語化し、SaaS型のASPサービスとして中堅中小企業向けに提供する。
Webメールを基盤にした多彩なコラボレーション機能を搭載
「将来的にはデスクトップをベースにした技術ではなく、すべてはWebベースのアプリケーションになっていくだろう」
発表に合わせて来日した米ジンブラの共同創業者兼社長であるサティッシュ・ダルマラージ氏は会見の席でこのように語った。この発言を裏付けるのが、同社が手がけるWebベースのコラボレーションツール「Zimbra Collaboration Suite」(以下、Zimbra)だ。
オンラインRSSリーダ「feedpath」で知られるフィードパスはこの日、Zimbraを日本語にローカライズした「feedpath Zebra」を正式発表した。
feedpath Zebraは、Webメールを機能の中心に据え、アドレス帳/スケジューラ/ドキュメント共有などを備えたWebアプリケーション。最大の特徴は、ダルマラージ氏が自信を示したように、Webベースでありながらデスクトップアプリケーション並みのリッチクライアント環境を実現したことだ。Ajaxを全面的に採用し、ドラッグ&ドロップによるスケジュールの追加・変更、メールのリアルタイムな絞り込み検索など、あらゆる操作を画面を切り替えずに行なえるようにした。
また、「Zimlet」と呼ばれるマッシュアップ・連携機能も大きな売りのひとつだ。同機能は、メール本文中の特定の条件に当てはまる文字列を自動認識し、関連するWebサービスを呼び出して表示する――というユニークなもの。たとえば「明日」「来週の金曜日」などの文字列を含むメールでは、文字上にカーソルを合わせるだけで該当するZebra上の予定がポップアップ表示される。スケジュールだけでなく、電話番号であればSkype、住所であればGoogle mapsを呼び出すことができ、ワークフローシステムやERP、CRMなどの業務アプリケーションとの連携にも対応していくという。なお、ZimletのAPIは公開されており、ユーザーが独自に開発した連携機能を自由に追加できるとのこと。
そのほかにも、添付ファイルHTML形式に自動変換して表示する機能や、ドキュメントを作成・共有する機能、メール検索にも特徴がある。このうち、ドキュメント機能は、WYSIWYG画面で文書を編集できるワープロ機能と、基本的な関数を備えたExcelライクな表計算機能を搭載。また、件名や日付、容量などの複数の条件からメールをリアルタイムに絞り込める「サーチビルダー」により、すばやく目的のメールを見つけることが可能だ。
こうした豊富な機能と操作性を「OutlookをWeb化したものに、Web2.0の機能を使いやすく追加したものと考えてもらえればイメージしやすい」とフィードパス代表取締役社長の津幡靖久氏は総括する。
情報漏えい対策や内部統制に有効、管理者にもメリット
一方、Zebraはシステム管理者にとってもメリットをもたらす製品だ。クライアント側にデータを保存しないWebベースであることに加え、ブラウザのキャッシュを残さない仕組みを取っており、情報漏えいの抑止にも一役買う。
また、すべてのメールは自動的にアーカイブされ、「管理者は管理画面から縦横無尽に検索できる」(同社取締役CTOの後藤康成氏)といい、「内部統制や情報漏えい対策の面で、企業に新しいメール環境を提供できる」とアピールする。
フィードパスでは、ZebraをSaaS(Software as a Service)と呼ばれるASPサービスの形態で300名以下の中堅中小企業に向けて提供する。サーバの運用監視は同じサイボウズグループのクロス・ヘッド株式会社が担うという。後藤氏は、ZebraをSaaSで提供することにより、「情報システム部の管理コストは激減する」と強調する。
Zebraの対応ブラウザは、Internet Explorer 6.0 SP2、Firefox 1.5、Safari 2.0.4。価格は、すべての機能を備えた「feedpath Zebra Black」が月額2480円/ユーザー。Webメールとアドレス帳に機能を限定した同「White」が1280円/ユーザーとなる。
販売は同社のWebサイト経由による直販がメインだが、営業体制を順次整えるとともに、パートナー制度についても今後検討する。また、現在進めているサイボウズ製品との連携が見えてきた段階で、サイボウズの営業部隊との共同販売も視野に入れる。なお、大企業向けには協業先である住友情報システムがインテグレーションを含めて提案するとともに、ISPに対しても沖電気工業と協業して導入を推し進める構え。
「Webマッシュアップだけでなく、さまざまな企業とアライアンスを組んでZebraを広げて行きたい」(津幡氏)
同社は2007年末までに3万ユーザー、売上高2~3億円を目指す。