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お国が変われば“笑い”も変わる!あのアップルCMに英国版が登場

2007年01月30日 23時30分更新

文● 小口博朗

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アップルは29日、英国/アイルランドにおける同社のウェブページ(外部リンク)にて“Get a Mac”シリーズのCMを公開した。“Restaring”や“Virus”など、全6編を閲覧できる。

英国版CM

英国/アイルランドのアップルのウェブページにて公開されているCM


至って本気だった!? PCを小馬鹿にするCM

「こんにちはMacです」「こんにちはパソコンです」で始まるあのCM。筆者が初めて目にしたのは2006年8月に開催されたWWDC(Macの世界開発者会議)の基調講演だった。生真面目で垢抜けないPCと、ひょうひょうとしたMacの漫談に、純粋なMacのファンたちで埋め尽くされた会場は当然のごとく大ウケ。

当時、WWDCの会場内に用意された横断幕には、“Richmond has a cat, too. A copycat.”、“Introducing Vista 2.0”、“Hasta la vista, Vista.”などというキャッチコピーも用意されていただけに、筆者も「ここまでやるか」とニヤニヤしてしまったのを覚えている(関連記事参照)。

しかし、アップルは本気(?)だった。このCMはとどまるところを知らず続編に次ぐ続編が制作され、現在アップルのウェブサイトでは全18シリーズを堪能できるまでになった。

それどころか、お笑いコンビのラーメンズが出演する日本語版も独自に制作。昨年11月より公開しているため、テレビやインターネットなどで幾度となく目にしたという人も多いだろう。


日本版と本家の米国版と見比べてみると、ストーリーごとの大筋は一緒でも、随所に日本独自の文化に合わせたアレンジがされているのがわかる。

例えば、“iLife”と題されたCM。米国版でPCが聴いているのは、米国のクラブシーンで80年代に流行した、レゲエやジャズを集めた“Slow Jams”というシリーズだ。しかし、さすがに日本人でこれにピンと来る人はいないためか、ユーロビートに置き換わっている。

また、日本語版は“セキュリティー”、米国版は“Trust Mac”と題された作品でもアレンジが加わっている。

ともにPCがウィルスやスパイウェアを恐れ、過剰でちょっとピントがズレている防衛策をとるという内容だが、米国版ではロングコートにつけヒゲの変装をしているのに対し、日本版では工事用ヘルメットにキャッチャー用プロテクターという格好だ。見比べてみると、実に面白い。

日本語版の“セキュリティー”(左)と米国版の“Trust Mac”(右)


同じ英語圏でも、結構異なる国民性

さて前置きが長くなってしまったが、ここからがこの記事の本題になる。

英国と米国はともに英語の国。だったら米国版のCMはそのまま英国でも使えるだろうと、われわれ日本人は思ってしまうが、そうはスンナリいかない模様だ。

両国出身の個人的な友人に話を聴いても、ライバル意識の強さが垣間見られてほほえましいことが多々ある。やはり米国版のCMをそのまま放映したのでは、コンシューマーの反発を買ってしまうということなのだろう。

現在、英国/アイルランド版のアップルのウェブサイトで公開されているCMは6本と少ないものの、それだけも違いは十分にわかる。


先ほども例に挙げた“Trust Mac”は、英国版でもタイトルや内容がほぼ共通のものとなっているが、注目してほしいのはMacの態度。米国版では内心はどうあれ終始フレンドリーに対応しているのに対し、英国版はストレートに嫌悪感を顔に出する。

オチも若干異なっている。米国版では、終始自分の名前を隠していたPCは「おれを見なかったことにしてね(You never saw me)」と言って立ち去ろうとする。それに対してMacが「誰を見なかったの?(Never so who?)」と聞き返すと、PCは「オレ? PCだよ!(Me? PC!)」と白状してしまうというもの。

一方、英国版では、誰かが狙っているんじゃないかと怯えたPCが、「誰もいないよ。ただMacがふたりで談笑しているだけ!(There is nothing here! Just a couple of us! Macs having fun...)」とうろたえる内容になっている。

一見フレンドリーではあるが実はココロの壁が高い米国人、無愛想に見えてもいったん話始めるといつまでもバーでつるむのが好きな英国人──そんな国民性を思い起こしてしまたのは、筆者の偏見だろうか。

ちなみに、このCMに出演している2人は誰かといえば、ちょっと小太りでコミカルな印象を持つPC役がデビット・ミッチェル(David Mitchell)氏、一瞬トレイン・スポッティングの頃のユワン・マクレガー(Ewan McGregor)を彷彿させる(?)Mac役はロバート・ウエッブ(Robert Webb)氏。英国のテレビ局“チャンネル4”の人気コメディー番組“PEEP SHOW”に出演している人気タレントなのだ(外部リンク)。


YouTubeでもフォロワーが出現

さて、英国の人気番組はそのまま米国に輸出されるケースも多い。最近では、BBCの“The Office”などが記憶に新しいが、その場合でもやはり米国版としてリメイクされている。同じ英語とは言え、よく聞いてみると発音のアクセントが違ったり、通じないスラングがあるといった事象もあるが、やはり文化の違いは大きいようだ。

余談ついでにもうひとつ。このMacとPCのCM、米国内でも反響は大きいようで、YouTubeで“Mac”や“AD”といったキーワードを使って検索すると、個人が撮影したと思われるパロディー版が数多く見つかってなかなか楽しい。

ただし、中にはMacが突然“破裂”してしまうなど、Mac好きにはココロが痛む、PCユーザーからの反撃(?)も多いので、そのあたりは心の準備を整えてからトライしてほしい。

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