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映像品質がさらに向上したAVに強いオールインワンノート

Mebius PC-XG60K

2005年09月02日 00時00分更新

文● 伊藤裕也

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シャープ(株)
オープンプライス
043-299-8021/06-6794-8021
https://store.sharp.co.jp/
http://www.sharp.co.jp/mebius/

写真1 光沢感溢れる美しい仕上がりのボディ。15インチの大型液晶はテレビやDVD-Videoタイトルを楽しむのに最適な高輝度液晶パネルを採用している。なお、写真は試作機のものであり、製品版とは異なる場合がある。

写真1 光沢感溢れる美しい仕上がりのボディ。15インチの大型液晶はテレビやDVD-Videoタイトルを楽しむのに最適な高輝度液晶パネルを採用している。なお、写真は試作機のものであり、製品版とは異なる場合がある。

 シャープの“Mebius XG”シリーズは、液晶パネルに15インチの高輝度液晶パネルを採用した据え置きタイプの2スピンドルノート。高画質化技術をフル装備したTVチューナーユニットを搭載しTV番組の視聴・録画をサポートするなど、オーディオビジュアル機能に重点を置いている。そのXGシリーズの秋冬モデルが、ここで紹介する「PC-XG60K」(以下XG60K)だ。既存のXGシリーズとしては160GBのHDD(2台)を内蔵して無線LAN対応の上位モデル「PC-XG70J」と、80GB HDD1台を内蔵するエントリーモデル「PC-XG50J」の2モデル構成となっていたが、XG60Kはこれらの機種に代わる新モデルとなる。キーボード奥のスピーカー部に曲面を採用した光沢感溢れるボディーやパソコンとしての高スペックを引き継ぎつつ、液晶パネルの表示画質を向上させる高画質化回路を新たに搭載。これにより、DVD-VideoやTV番組の視聴時にも既存のモデルからさらに高品質な映像が楽しめるようになっているという。それでは、XG60Kの詳細について見ていこう。

肌の色も鮮やかに再現!
高画質化回路を新搭載

写真2 キーボードはキートップが大きく、また、キーストロークも適度に深いことから入力しやすい。よく使う右端のEnterキーやShiftキーは、使い勝手を考え、かなり大きくなっている。

写真2 キーボードはキートップが大きく、また、キーストロークも適度に深いことから入力しやすい。よく使う右端のEnterキーやShiftキーは、使い勝手を考え、かなり大きくなっている。

 まずはパソコンとしてのスペックを確認しよう。CPUは低電力モバイルSempron 2800+で、チップセットはATI RADEON XPRESS 200M。メインメモリは標準でDDR SDRAM 512MB(最大2GB)搭載だ。ビデオはチップセット内蔵で、HDDは80GBタイプを内蔵する。このHDDはアップグレードオプションにより80GBドライブ×2の160GBに増設することも可能だ。光ドライブはDVD±R DL(デュアルレイヤー)対応のDVDスーパーマルチドライブ。ネットワークは有線LAN(10/100BASE-TX)に加え、無線LAN(IEEE802.11b/g)と56kbpsファクスモデムもサポートしている。HDDが標準構成で80GBである点を除けば、これらのスペックはXG70Jとまったく同じである。

本体前面。パワーランプなどのランプ類に加え、DVDスーパーマルチドライブ、SDカードスロットを搭載する。本体側面にDVDドライブがあるタイプのノートパソコンではDVDメディアを交換するたびに、いちいち脇のスペースを空ける必要があるが、前面なら取り出しや入れ替えもスムーズに行なえる。

本体前面。パワーランプなどのランプ類に加え、DVDスーパーマルチドライブ、SDカードスロットを搭載する。本体側面にDVDドライブがあるタイプのノートパソコンではDVDメディアを交換するたびに、いちいち脇のスペースを空ける必要があるが、前面なら取り出しや入れ替えもスムーズに行なえる。

背面はTVのアンテナ入力やネットワークポートなど、最初に接続したらその後は外さないであろう端子を中心に配置している。なかなか効率的なレイアウトだ。

背面はTVのアンテナ入力やネットワークポートなど、最初に接続したらその後は外さないであろう端子を中心に配置している。なかなか効率的なレイアウトだ。

写真3、4 本体前面、背面

 液晶ディスプレーは15インチXGA(1024×768ドット)表示の“ASV方式ブラックTFT液晶”を引き続き採用。液晶ディスプレーの鮮やかさを支える輝度は630cd/m2と高輝度で、DVD-VideoタイトルやTV番組の視聴時に十分な明るさを提供してくれる。なお、この液晶パネルはバックライトが2灯式で、キーボード奥に配置された“ブライトブーストボタン”によって明るさをワンタッチで最大に引き上げることができる。映像ソフトやTV番組を鮮やかな画面で楽しみたいときには高輝度に、ビジネスアプリケーションなどで長時間続けて作業する場合は目に優しく輝度を落として――と、用途に応じて簡単に切り替えられるのが重宝する。

写真5 パワーボタンの横には、輝度を最大に引き上げる“ブライトブーストボタン”などがレイアウトされている。明るさの切り替えはボタン一押しでカンタンに実行可能だ。

写真5 パワーボタンの横には、輝度を最大に引き上げる“ブライトブーストボタン”などがレイアウトされている。明るさの切り替えはボタン一押しでカンタンに実行可能だ。

 この液晶パネルは、単に輝度を高めたというものではなく、シャープ独自の“デュアルファインテクノロジー”による工夫が各所に施されている。デュアルファインテクノロジーとは、同社の液晶TV“AQUOS(アクオス)”シリーズで培った液晶技術ならびにその液晶の性能を引き出すための高画質化回路群を合わせた、表示システムに関する技術の総称だ。具体的には、“630cd/m2の高輝度”や“2灯式バックライト”、“ブライトブーストボタン”もデュアルファインテクノロジーに含まれている。従来のXG70J/XG50Jでは合計で21の技術や機能を含んでいたが、XG60Kではそれに加えて、独立ガンマ補正回路やソフトウェア補正による“鮮やかエンジン”を新たに搭載し、特に中間色の表現力を向上させたという。これにより“人の肌”などの微妙な色合いをより鮮やかに表現できる。TV番組の視聴やDVD-Videoタイトルの再生を強く意識しているAV志向のノートパソコンだけに、この機能強化はうれしいところだ。

写真6 ボディ底面の構成。実際にユーザーが着脱できるのは向かって左上のバッテリーと、メモリ増設時に外す保護カバーである。なお、ボディーの左下にある円状の部分にサブウーファーが埋め込まれている。

写真6 ボディ底面の構成。実際にユーザーが着脱できるのは向かって左上のバッテリーと、メモリ増設時に外す保護カバーである。なお、ボディーの左下にある円状の部分にサブウーファーが埋め込まれている。

写真7 ACアダプターからのケーブルは本体側面に接続する。

写真7 ACアダプターからのケーブルは本体側面に接続する。

TVの視聴はリモコンでラクラク

写真8 付属のリモコン。細身で扱いやすく、TVの視聴や録画、DVD-Videoの再生がすこぶる快適に行なえる。

写真8 付属のリモコン。細身で扱いやすく、TVの視聴や録画、DVD-Videoの再生がすこぶる快適に行なえる。

 XG60KのTV機能は、地上アナログ放送(VHF/UHF/CATV)対応の高感度チューナーとMPEG-2対応ハードウェアエンコーダーの組み合わせからなるユニットで構成され、3D Y/C分離やゴーストリダクション、ノイズリダクションといった高画質化回路を備える本格的なものだ。外部ビデオ入力端子にはコンポジットビデオ(RCA)×1、オーディオ×1(RCA)を搭載し、TV番組や外部ビデオ機器による映像の視聴(表示)・録画、タイムシフト再生などを実現する。録画先のメディアにはHDDのほかDVDドライブも選択でき、DVD-RAMなどにTV番組を直接記録することも可能だ。

画面1 TVの視聴・録画はインタービデオ「WinDVR」がサポート。スクリーンとコントロールパネルは、2つのウィンドウをドッキングさせた状態で用いることも可能だ。

画面1 TVの視聴・録画はインタービデオ「WinDVR」がサポート。スクリーンとコントロールパネルは、2つのウィンドウをドッキングさせた状態で用いることも可能だ。

画面2 録画先の変更は、コントロールパネルのサブパネルにある項目「デバイス」から行なう。

画面2 録画先の変更は、コントロールパネルのサブパネルにある項目「デバイス」から行なう。

 TVの視聴を行なうソフトはインタービデオ「WinDVR」をプレインストールしている。映像を表示する“スクリーン”と、各種操作を行なう“コントロールパネル”からなるユーザーインターフェースを持ち、録画時の設定は最も高品質な“DVD XP”をはじめ、画質と録画可能時間のバランスを考慮した“DVD SP”、長時間録画を優先したモード“DVD LP”の3モードから選択できる。各モードのビデオビットレートは8/4/2Mbps。一般的には(よほど長時間記録する目的でなければ)XPまたはSPのどちらかで録画するといいだろう。なお、1時間のTV番組を録画した場合、XPモードではファイルサイズが3.66GBほどになる。今回評価したモデルはHDDが160GBにアップグレードされているため、初期状態で合計123.4GBの空き容量があり、XPモードでは約33時間分の映像が記録可能であった。標準構成の80GBの場合、空き容量は約62GBで、XPモードでは約17時間、SPモードでは約32時間記録可能となる。録画したTV番組はすぐに見て上書きする、といったカジュアルな使い方ならともかく、1週間程度録り貯めしたいという場合は、DVDメディアへのダイレクトレコーディングを併用するか、HDDのアップグレードは是非とも検討したいところだ。

 最も気になる映像品質は、3D Y/C分離機能やゴーストリデューサによりTV放送を見ていてもノイズはまったく感じられず、高輝度対応の液晶パネルや鮮やかエンジンによって発色はかなり鮮やかだ。チャンネル切り替えや録画などの操作も付属のリモコンで、AV機器と同様に直感的に行なえる。画質・操作性ともに、文字通り“TVと同じ感覚”で楽しめるワケだ。録画予約はiEPG対応のウェブサイト(TV王国など)から素早く行なえるため、大事な番組を見逃すことも少なくなるだろう。



写真9 ボディー天面。メビウスのロゴをアクセントにしたシンプルなデザイン。

写真9 ボディー天面。メビウスのロゴをアクセントにしたシンプルなデザイン。

 価格はオープンプライスで、シャープが運営する直販サイト“SHARP PC ONLiNE”では20万4813円で販売される予定だという。TVの視聴・録画に向けて機能強化を果たした半面、HDDが標準で80GBに抑えられたのは惜しまれるが、高画質な映像に加えて低音から高音まで自然に表現できるウッドスピーカー&サブウーファーの搭載や、電源オフの状態からボタン一押しで素早く(Windowsの起動を待たずに10秒程度で)TVを視聴・録画できるインスタントTV機能、パソコンに保存した映像や音楽などを家庭内ネットワークで共有できる“ホームAVネットワーク”対応など、今回主に触れたTV視聴・録画以外にもさまざまな楽しみ方を提案してくれる機能を搭載。TVやDVD-Videoタイトルを映像・音声ともに満喫したい人をはじめ、デスクトップパソコンからの買い替えを検討している人、ノートパソコンをメインマシンとして考えている人にオススメしたい。

本体左側面。電源をはじめ、USBやオーディオ・マイクといったポートを搭載。盗難を防止するセキュリティーロックのための穴も設けられている。

本体左側面。電源をはじめ、USBやオーディオ・マイクといったポートを搭載。盗難を防止するセキュリティーロックのための穴も設けられている。

本体右側面には、PCカード(TypeII)×1にUSB 2.0×2、IEEE 1394×1、AV入力端子を装備。

本体右側面には、PCカード(TypeII)×1にUSB 2.0×2、IEEE 1394×1、AV入力端子を装備。

写真10、11 本体左右側面。

Mebius PC-XG60Kの主なスペック
製品名 PC-XG60K
CPU 低電力モバイルSempron 2800+-1.60GHz
OS Windows XP Home Edition SP2
メモリ(最大) DDR SDRAM 512MB(2GB)
チップセット ATI RADEON XPRESS 200M
液晶/解像度 15インチ/1024×768ドット
ビデオ チップセット内蔵
HDD 約80GB(評価機は約160GB)
TVチューナー 地上アナログ放送(VHF/UHF/CATV対応)
光学ドライブ DVD-R DL対応DVDスーパーマルチドライブ(DVD+R DL2.4倍速、DVD-R DL2倍速、DVD-RAM5倍速、DVD±R8倍速、DVD±RW4倍速)
カードスロット PCカード TypeII×1、SDカード(SD I/O非対応)、メモリースティック(PRO対応)
通信 IEEE 802.11b/g、10/100BASE-TX、56kbpsファクスモデム
I/O USB 2.0×4、IEEE 1394(4ピン)×1、外部ディスプレイ出力端子、ビデオ入出力、オーディオ入出力など
バッテリ駆動 約1.5時間
サイズ 約329(W)×297.5(D)×55.5(最薄部48.7)(H)mm
重量 約3.8kg

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