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日本オラクルがサポートプログラムと組織体制を強化、EBSのオンデマンドサービスも立ち上げへ

2006年12月06日 00時00分更新

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日本オラクルは、12月6日、サポートサービスの拡充と新たな専任部隊の立ち上げを発表した。また、オンデマンドサービスも強化し、「Oracle E-Business Suite」のホスティングサービス提供に乗り出す。

ミッションクリティカルなシステムのための“手厚い”保守サービス

日本オラクル 常務執行役員 カスタマーサービス統括本部長 細谷哲史氏

日本オラクル 常務執行役員 カスタマーサービス統括本部長 細谷哲史氏

「オラクルは『情報化社会をリードする力があるベンダー』というイメージ調査では3位。だが、『信頼性の高い製品・サービスを提供するベンダー』では5位だ。この状況はなんとしてでも挽回したい」

 会見の冒頭で、日本オラクル常務執行役員カスタマーサービス統括本部長の細谷哲史氏は、ガートナージャパンの調査データを引用しながらこう切り出した。そこで今回、同社が発表したのが、付加価値の高い保守サービスの拡充と新組織の立ち上げだ。

 オラクルのサポートサービスは、標準的な製品保守サービス「Premier Support」と、専任の担当者や障害時の優先対応を加えた付加サービス「Advanced Customer Services」(ACS)とに分けられる。今回発表されたのは、このACSの中の新しいサービスメニュー。従来から提供している「Business Critical Assitance」をACSの中位に位置づけ、新たにエントリーレベルの「Priority Services」と上位レベルの「Solution Support Center」を加えた。これによりACSは、スポット保守サービス「Assisted Serviecs」と合わせて計4サービスのラインナップとなる。

日本オラクルのサポートプログラムの全体像

日本オラクルのサポートプログラムの全体像

 Priority ServiceとBusiness Criticalの最大の違いは、リアクティブな対応とプロアクティブな対応にある。Priority Serviceは、「サービスマネージャー」と呼ばれるエスカレーション担当者を置き、障害発後の対応がメイン。一方、Business Criticalでは、「サービスデリバリーマネージャー」がトラブル防止のための保守診断サービスや、月1回程度の定期的なレビューミーティングを持つ。また、問い合わせ対応窓口とも緊密に連携し、内容のモニタリングを行なうという。さらに上位のSolution Support Centerは、Business Criticalを包含した上で、製品のチューニングや運用支援、稼動監視の支援までをカバーする。

 また、ACSの拡充にあたって、「カスタマーサービス統括本部」内に、ACSを担当する20名弱の「アドバンスト・カスタマーサービス本部」を12月1日付けで新設した。「現状のメインは製品保守であり、年間400億円を稼ぐ安定的な部分。一方のACSは、スピードが優先されるベンチャースピリットのあるビジネス」と細谷氏は語り、機動性の違いが新組織設立の狙いと説明する。

アドバンスト・カスタマーサービス本部長 倉持謙一氏

アドバンスト・カスタマーサービス本部長 倉持謙一氏

 新組織のアドバンスト・カスタマーサービス本部長には倉持謙一氏が就任した。同氏は、「顧客課題に対応する新しいソリューションが増え、エンジニアのリソースが不足している。パートナー経由のサービス加えて、オラクル自身が付加価値の高いサポートに乗り出す必要がある」とACS拡充の背景を語った。

 ACSの料金は、Priority ServiceがPremier Supportの20%で、最低625万円/年(税別)から。Business Critical AssistanceとSolution Support Centerはサービス内容やシステム規模によって異なり、Business Critical Assistanceが、1386万円/年(税別・テクノロジー製品の場合)から。Solution Support Centerが、2790万円/年(税別・テクノロジー製品)から。スポット保守サービスのAssisted Serviceは18万円/日(税別)からとなっている。

オンデマンドサービスも下半期に拡充、ただし「オラクルはソフトウェアベンダー」

 会見では、「グローバルでは50%、日本でも倍以上の急成長を遂げている“最高速成長ビジネス”」(オンデマンド本部長の荻矢隆雄氏)という、オンデマンド型アプリケーションサービス「Oracle On Demand」の今後の展開についても紹介された。

オンデマンド本部長 荻矢隆雄氏

オンデマンド本部長 荻矢隆雄氏

 現在、日本オラクルでは、月額会員制のCRMサービス「Siebel CRM On Demand」を提供しているが、これに加えて2007年度下半期以降、「Oracle E-Business Suite」をホスティングサービスで提供する「Oracle On Demand @Oracle」を立ち上げる。これまでもアプリケーション部分のみの運用を請け負う「Oracle On Demand @Customer」を提供していたが、@OracleはOS/ハードウェアの管理を含めたフルマネージドサービスとして提供する。

 昨今ではSaaS(Software as a Service)と呼ばれるASPサービスが注目されているが、「オラクルはサービスカンパニーではなく、ソフトウェアカンパニー。@Oracleは運用つきのソフトウェアという考え方」と萩矢氏は強調。「ライフサイクル全体、エンドトゥエンドを低コストで提供し、ITILに基づいた運用管理を行なう信頼性の高いサービス」(荻矢氏)とアピールしている。

 @Oracleの利用には、アプリケーションライセンスと保守サービス料に加えてホスティング料金が必要で、ホスティング料金は世界均一で月額150ドル/ユーザー程度になる見通し。@Oracleは当初、米テキサス州オースティンに構える米オラクルのデータセンタで運用されるが、今後は日本国内のパートナーと提携し、国内のデータセンタで運用も検討する。

 日本オラクルでは、ACSとOn Demandを合わせて2007年度に売上17億円、2010年には100億円を目指したいとしている。

■関連サイト
日本オラクル
http://www.oracle.co.jp/

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