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マイクロソフトと提携して目指すノーテルの新コミュニケーション戦略

2007年01月05日 00時00分更新

文● アスキービジネス編集部

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マイクロソフトとノーテルは、昨年7月にユニファイド・コミュニケーション分野における戦略的な提携を締結した。この提携では、両社が持つ知的所有権の相互使用を認めるなどかなり踏み込んだ内容となっており、これがどういった結果となって現われるのか注目を集めている。この提携の目的やメリットについて、ノーテルに聞いた。

コミュニケーションインフラを統合し
ワークスタイルの変革を目指す

 「現在多くの企業の経営者は、経営の強化にとってITは不可欠だと感じている。しかし一方で、ITは投資しても成果が上がらない、あるいは投資効果が十分に明確化できないという不満も持っている」

 インタビューの冒頭、ノーテルネットワークス エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 部長の本間隆光氏はこう切り出した。加えてまたITが活用できていないと感じている企業が多いという調査結果も引き合いに出しつつ、こうした不満が生まれる理由として挙げられたのが、システムが複雑で使いづらいことやベネフィットがなかなか実感できないというもの。

ノーテルネットワークス エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 部長 本間隆光氏

ノーテルネットワークス エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 部長 本間隆光氏

 たとえばビジネスにおけるコミュニケーション手段で考えてみよう。一昔前とは異なり、社内LANやインターネットが普及したことで、従来の電話やファクスに加え、メールやインスタントメッセージ(IM)、あるいはボイスチャットなど、さまざまな方法でのコミュニケーションが可能となった。また電話に関してもインフラが音声網からIP網に移り変わりつつあり、新たなステップを踏み出そうとしている。

 ただ、これらは統合されていないため、コミュニケーション手段に合わせてアプリケーション、あるいはツールを使い分けなければならないという問題がある。つまりコミュニケーション手段が多様化することで便利になった反面、一方で複雑さも増してしまっているというわけだ。

 ノーテルは「こうした課題を解決するためにシステム間を連携し、集約させる必要がある(本間氏)」とし、それを今回の提携で実現したい考えだ。すでにノーテルのIP-PBXである「Communication Server 1000(CS1000)」と、IMなどのコミュニケーション機能を提供するマイクロソフトの「Live Communications Server(LCS)」は連携して動作させることが可能。連携といっても単にSIP(Session Initiation Protocol)で接続できるというレベルではなく、ActiveDirectory上のユーザー情報を共有し、CS1000につながれた電話機から発信できるなどといった密な連携が実現されている。

 そのほかにもCS1000とLCSを連携させることによって得られるメリットは数多い。特にノーテルが強調しているのが、多くのユーザーが利用しているOffice製品をコミュニケーションの統合インターフェイスとして使えるということ。さらに電話機とPC上のソフトフォンのどちらでも電話の発着信が可能といった統合も実現されている。

 LCSの側から見た場合、CS1000が備える豊富なPBXの機能を利用できるメリットがある。たとえば代表番号がなったときに複数の端末の呼び出し音が鳴るようにPBXを設定しているオフィスは多い。CS1000とLCSを組み合わせることにより、このような従来のオペレーションのほか、電話とPC上のソフトフォンの両方を鳴らすことや、PCの操作で指定の内線に転送することも可能になる。

 また、ノーテルネットワークス エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部のプロダクトマネージャーである坂内聡氏は、事業継続性の観点からも、さまざまなコミュニケーション手段を統合するユニファイド・メッセージング環境の構築によるメリットは大きいと話す。トラブルによりオフィスに出社できない状況でも、CS1000ならVPNなどを使ったVoIP、あるいは公衆電話網を経由して携帯電話などで着信できる。これにより内外部とのコミュニケーションが阻害されないというわけだ。「ニューヨークで大停電が発生しての使用や通勤ができない状況においてまったく業務を行なうことがでなかった企業が多かった中、こうした環境を整えていたノーテルのオフィスはわずか15%の生産性の低下で済んだ(坂内氏)」とのことで、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定に迫られている多くの企業にとっては魅力的に映るだろう。

ノーテルネットワークス エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 プロダクトマネージャー 坂内聡氏

ノーテルネットワークス エンタープライズマーケティング エンタープライズアンドチャネルズ営業本部 プロダクトマネージャー 坂内聡氏

 来年度後半に市場投入されるマイクロソフトの「Office Communicator Server 2007」では、ノーテルのコミュニケーションのノウハウが活かされたコンタクトセンターソリューションや会議ソリューションの統合も予定されている。両社の提携が今後オフィスにどのようなワークスタイルの変革をもたらすのか、今後とも注目していきたい。

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