アワード概要
総論
多様化が叫ばれる昨今ですが、ライフスタイルの多様化、価値観の多様化などを背景に家電に求められる機能や価値観にも変化が訪れています。これは昨年の推し家電大賞の総論でも言及しました。
コロナ禍の2020年に始まった本アワード企画「推し家電大賞」ですが、昨年は行動制限がなくなり全面的なアフターコロナの時代に突入。それから1年経った2024年は、新しい時代の到来とともにむずかしさも感じる1年に入ったと言えるかもしれません。例えば、円安によって、特に輸入家電が値上がりしています。また、節電や食材を効率的に使っていける工夫など、ニーズにも変化が出てきているように思います。
そんな中、白物家電ではトースターが最注目されています。トーストの焼き加減だけでなく惣菜パンの温め、冷凍パンの焼き上げなど、市販品を美味しく食べるニーズに応えてくれる機種が人気を集めました。冷蔵庫はフードロス、まとめ買い食材の保存、節電、時短調理と時代のニーズに対応した製品が人気です。これ以外のキッチン家電では、日常の調理の手間を省くヘルシオホットクックが引き続き評価される一方で、ステーキの焼き加減にこだわり、非日常を演出するバルミューダのホットプレートも評価されました。
毎日通勤する日常が戻ってきたことから、スムージーを作ってそのまま持ち運べるシャークニンジャのコードレスミキサーもランクインしています。
デジタル家電では、AmazonのFire TV OSを搭載したパナソニックのテレビが1位に輝きました。2位と3位はGoogle TVを搭載したソニーの製品です。放送やパッケージメディアだけでなく、ネット動画を訴求する製品が人気を集めています。
スマートホーム分野では、既存の家電を外出先からコントロールできる水っとボットの「スマートリモコン」、カーテンを自動開閉できる「スイッチボットカーテン3」、外出先から来訪者の応対ができるパナソニックのドアホンも選出されました。便利さはもちろんですが、防犯意識の高まりも感じさせる結果となりました。
昨年来、製品が増え、注目を集めているのが美容家電です。女性だけでなく、男性向けの製品も増えています。コンパクトながら本格的な反り味を持つ、パナソニックの髭剃り「ラムダッシュ パームイン」はデザイン性の高さも話題を集めました。出張にも便利な製品と言えます。一方で、在宅のデスクワークを続ける人も多いせいか、仕事をしながらコリをほぐせるパナソニックの「コリコランワイド」も人気を集めているようです。
以上、売れ筋の家電を見ていくと、時代が透けてくる面があります。日々感じる課題の解決は、私たちの価値観の反映しているということかもしれません。
今年も大変魅力的な製品がアワードに選出されました。素晴らしい製品を開発し、われわれに届けてくれたメーカーの皆様、ご協力いただいた販売店の皆様、そして推し家電大賞に興味を持ってくださった方すべてに感謝いたします。