アワード概要
総論
2023年の家電市場を眺めた感想は「ライフスタイルの多様化が進む中、生活の中で解決すべき課題が増え、より具体的な課題の解決を提案する家電が増えている」という点です。一言で言うと“課題解決型家電”となります。一人暮らしや共働きで家事になかなか時間が取れない人をターゲットにした時短家電であったり、リビングの快適性を高めるため目的を絞った白物/黒物家電の提案があったりと、具体的なシーンやストーリーを示す訴求が増え、利用イメージを想起しやすいものが支持される傾向が強まっていると感じます。
多様なニーズに応える製品が支持されるということは、そのぶん製品/カテゴリーの細分化が進むという面もあるため、代表的な製品を選ぶことには難しさもありますが、いくつか例を挙げてみます。圧力式とかき混ぜ機能を両立した自動調理鍋、一人暮らしでも導入しやすい小型食洗器などを提供するパナソニックのキッチン家電、あるいは長雨や豪雨など湿気の多い日本の気象にあったダイキンのエアコン、スティック型ながらゴミ捨ての手間が省けるシャークの掃除機などは、生活のニーズに即した提案をしていて印象的です。
また、ここ数年盛り上がりを見せているジャンルに美容家電があります。もともと女性を中心に支持されていたカテゴリーですが、男性をターゲットにした光美容器なども多く登場するようになりました。コロナ禍を経たのち、再びマスクを外した外出も増える中、美容に対する意識の高まりが感じられます。
家電におけるネットワーク対応も当たり前のものになりつつあります。スマートフォンやインターネットと連携した機能の拡充はもちろんですが、異なる種類の機器間で連携したり、AirTagのように落とし物や迷子の予防/トレースに対応できる提案があったりと、家電そのものが担う機能も広がりが見られます。
2023年の推し家電大賞では協力いただいた量販店関係者の数が増加しましたが、こうした状況を踏まえながら、量販店各社スタッフの皆様からは、さまざまな製品の提案・ご意見をいただくことができました。そのすべてをアワードとして選出できるわけではないのは残念ではありますが、外出が制限される中でも店舗に脚を運んでほしいという、コロナ禍を機にスタートした推し家電大賞にかける編集部の想いが、少しずつではありますが広がっていると感じることができました。
協力いただいた皆様、そして推し家電大賞に興味を持ってくださった方すべてに感謝いたします。