Apple
総評:小林久(アスキーブランド総編集長)
量販店、編集部、そして読者の投票で選ぶ「ASCII BESTBUY AWARD」を今年も開催することができました。
グランプリは昨年に引き続き、アップルのiPhoneシリーズとなりました。こちらは量販店、編集部、読者から平均以上の票を集めた結果です。しかし、量販店/編集部/読者の投票結果はいずれも異なる製品が1位となっており、例年とは異なる傾向を示した内容だったと感じています。
例えば、Wi-Fi 6に対応し手ごろな価格のバッファローのルーターや有名プロゲームチームとのコラボでインパクトある特徴を備えたGALLERIAのゲーミングPCが量販店/読者の投票で上位を占めたことは印象的であり、消費者の関心が、いまどこに向いているのかを感じ取るひとつの手がかりになったと思います。
2021年は特にPC分野で大きなトレンドの変化を感じた1年でした。昨年登場したアップルのM1プロセッサーは高性能と電力効率の両立という面で大きなインパクトを与えました。今年はこのM1がM1 Pro/Maxとして大きな進化を遂げたほか、インテルも第12世代のCoreプロセッサーで、高性能コアと高効率コアを組み合わせた新しいアーキテクチャーを採用しています。業界全体が性能に対して新しい捉え方をし始めていることが実感できました。
また、システムとしてPCを見た場合、コロナ禍を通じてライフスタイルが変わった結果、テレワークの需要が大きく伸び、マイク性能やAIノイズキャンセルといった会議のしやすさを前面に打ち出した製品が増えてきました。秋に登場したWindows 11もこうした傾向と歩調を合わせており、シンプルなUIでインターネットを介した協業、セキュリティの確保を重視しています。
ゲーミングについても依然関心が高い用途で、パソコンはもちろん、スマートフォンや周辺機器でも魅力的な製品が数多く登場しました。世界的な半導体不足がある中、欲しい製品をすぐに手に入れることが難しい現状はありますが、機能や利用シーンという面で様々な提案があり、2021年のデジタル機器市場は非常に面白いものになったと感じています。
すべての製品を選出し、表彰できないのは残念ですが、選出製品の傾向を眺め、その理由を深く考えることで編集部として得られた発見も多くありました。
今年もアワードに協力いただいたすべての方に感謝を申し上げます。