この連載は江渡浩一郎、落合陽一、きゅんくん、坂巻匡彦が週替わりでそれぞれの領域について語っていく。今回は江渡浩一郎がオガール紫波という複合施設を取材した。
官民連携がうまくいった施設「オガール紫波」
オガール紫波は、岩手県の盛岡駅から南に電車で20分ほど行ったところにある紫波町にある公共施設である。紫波中央駅前の一等地が、10年以上開発されないまま塩漬けになっていた。
それを、PPP(官民連携:Public Private Partnership)と呼ばれる仕組みによって開発し、成功したことで話題となっている(関連リンクその1)(関連リンクその2)(関連リンクその3)。
きっかけは、井上 岳一さんのメルマガである。オーガル紫波プロジェクトをまとめた『町の未来をこの手でつくる』(猪谷千香著、幻冬社)という本が出版され、井上さんがその感想を書かれていた(余談だが、井上さんのメルマガは毎回さまざまな本を紹介しているが、選書にセンスが感じられてとても良い)。
前回、つくば市におけるインキュベーション施設について考えていることを書いたが、そこから都市全体のグランドデザインについて考えるようになった。その中で浮かび上がってきたのは、公共の取り組みは、一定以上に尖った方針を貫くことが難しいという問題である。
そのような中、オガール紫波は官民連携によってその問題を乗り越えることに成功しており、興味を持った。1月末に機会があり、紫波町 公民連携室の鎌田千市室長にお話をうかがった。ここでその様子を簡単に紹介する(ちなみに、オガールプロジェクトの見学は、通常は有料で受け付けている)。
まず、オガール紫波がどのような場所なのかを説明しないといけないが、なかなか難しい。オガール紫波には図書館、体育館、市役所、サッカーの練習場などがあるが、個別事例だけ聞いていると全体像が理解できない。実際に行ってみて、思ったよりもずっと複合的な施設であることがわかり、さらに説明が難しいことがわかったが、一言で説明できる方法が見つかったように思う。
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