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T教授の「戦略的衝動買い」 第781回

真ん丸の外観に惹かれ円盤型「UFOマウス」を衝動買いしたが……

2024年04月26日 11時45分更新

文● T教授 撮影●T教授 編集●ASCII

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丸い形状ゆえに、目視しないでマウスを握ると
カーソルが予期せぬほうに移動する問題発生!

 さて極めてコンパクトで軽量なUFOマウスだが、実際に使ってみて筆者がどうも気になる点が一つだけあった。本来、マウスと呼ばれるHID(ヒューマンインターフェースデバイス)が生誕の頃には、パソコン本体とネズミの尻尾(有線ケーブル)で接続されるのが普通だった。

 マウスを長く使っている人はケーブルの生えている方が上方向になることを分かっているだろう。しかし、UFOマウスは外観は真ん丸で向きが分かりにくい。90度角で2つ用意されている2ボタンの位置を確認すれば分かるが、オシャレ指向なのか2つのボタンのカラーも同様のブラック。

 中央に位置する一見トラックボールに見える球形のスクロールボタンも指先で回転してみなければどっちが上か下か不明だ。感覚的には2個のボタン位置とスクロールボールの位置関係で見れば、いまマウスがどういう角度に置かれているか知ることができるが、見なくても黙って握れば分かるのが従来のマウスのユーザーインターフェースだろう。

 有線マウス、無線マウス、折りたたみマウスを問わず一般的にマウスと呼ばれるデバイスには、上下が明快に分かるデザインが採用されている。マウスを握る前に目で見て確認しない筆者は、少し長いインターバルの後に再びUFOマウスを握ると、マウスを上方向に移動したつもりでも画面上のカーソルは左に進むといった不条理を何度か体験した。

 今から40年ほど前の昭和な時代に、NECのPC-9801のHIDとしてマイクロソフトのマウスを使い始めてから、マウスには必ず上下があるというイメージが脳裏に焼き付いている。そこで筆者は令和なUFOマウスの上下のステータス把握を間違えないように、一瞬見るだけで分かる2つのボタンの分離点に赤いシールを分割して貼り付けた。

UFOマウスの上下を間違えないように、赤いシールを貼り付けた

 これで筆者のUFOマウスの上下は明快だ。うっかり使った時にマウスが午後3時の位置を指していても、正しく12時位置を向くように左90度回転させてストレスなしに使い始めることができる。トラックポイントなら赤いスティックを上に向けて押せば、画面上のカーソルも間違いなく上に向かって移動する。

 そんな確実な環境で長年過ごしてきた昭和な筆者は、外観のユーザーインターフェースでの方向性を意図的に隠ぺいしたおしゃれな雰囲気の真ん丸のUFOマウスに、違和感満載の状況だ。開発コストの問題もあるので難しい選択だが、本来ならオシャレでシンプルなデザインの中にも、視覚ではなく指先で分かる物理的な特徴を盛り込ませるべきだろう。

 パッと見の外観上から方向性を知ることのできないマウスがいま市場にどの程度存在するかは知らないが、間違いなく極めて少数派の新種だろう。競争の激しい市場ではシンプルでユニークなデザインを優先するかユーザーインターフェースを優先するかは意見が分かれるだろう。

 筆者の造語だが「慣れに優るUIなし」ということもある。次世代のUFOマウスにはぜひともデザインのユニークさと同時に真ん丸と言う方向性の希薄なデザインでも、手で握ればその方向性が一目瞭然なこの先10年使えるユーザーインターフェースの作り込みに期待したい。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:サンワサプライ「UFOマウス」(400-MAWBT198BK)
・購入:Amazon.co.jp
・価格:2980円

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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