互換機戦略は「市場の幅を広げる」のが狙い
メタのMixed Reality担当バイスプレジデントであるマーク・ラブキン氏は日本で取材に応え、次のように説明している。
「世の中には色々なニーズがある。そこでパートナーの皆さんの専門的な知識や顧客層・市場を有効に活かし、層を拡大していきたい。例えばレノボであれば、企業やビジネス市場が中心になり、ROGブランドでは、ハードコアなゲームファンに特化したデバイスに期待している」
互換機的な戦略というと、多数の企業が生産することで低価格になっていくというイメージを持つかもしれない。だがおそらく、メタの戦略は違う。
ラブキン氏は自社デバイスの位置付けについて、「多くの方に選んでいただける、中央にあるようなデバイス」と説明している。要は、互換機戦略に入ったとしても、将来のMeta Questが基本的なデバイスとなることに変わりはない。
その点を考えると、メタのデバイスをベースとして、そこにデザインや性能、いくつかの機能などで差別化要素を加え、「市場の幅を広げる」のが各社製品の役割……ということになるだろう。
互換性や開発の手間を考えても、他社デバイスがSoCの選択レベルで違うものになる、と考えるのは難しい。XRデバイスではアップルなど一部の例外を除き、ほとんどのメーカーがクアルコムのSoCを採用している。それは、ソフトウェアなどの開発を含めて要素が揃っていることが大きい。Meta Questクラスのデバイスとなると、クアルコムと共同でさらにSoCにカスタマイズも加えていたりする。だからなおさら、メタの協力が重要になる。
なお、Xboxブランドのデバイスについてのコメントはラブキン氏からは出なかった。リリースの中にXbox向けのXRゲームを出す、というコメントがないことなどを考えると、場合によっては「Meta QuestのXbox向けカスタムデザインモデル」くらいに落ち着くのかもしれない。