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サイボウズ、2023年度の決算・事業説明会でSaaS経営指標を初公表

売上高・認知度ともに順調なkintone 次のステップは「全社導入」

2024年02月29日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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独自の知見を横展開 ユーザー企業がオフィシャルパートナーに回る動きも

 続いて、パートナーエコシステムの最新動向が披露された。kintoneはエコシステム型のビジネスモデルをとり、販売やコンサルティング・開発、製品の拡張や連携を担うオフィシャルパートナーを中心に、多様なエコシステムを築いてきた。

 2023年の国内クラウド売上のうち、パートナー販売は62.9%を占め、パートナー企業数も約450社、レジスタードというオフィシャル手前のパートナー企業も650社を超える。連携サービスの数も350を超え、AI機能を備えた連携サービスも2023年に続々登場。生成AIなどの最新テクノロジーを手掛ける企業に出資する「kintone Teamwork Fund」というコーポレートベンチャーキャピタルも2023年7月に設立した。

拡大するパートナービジネスの現状

 kintone上で独自のパッケージサービスを展開する“セミオーダーソリューション”にも注力する。さまざまな業界・業種のユーザー企業がkintoneで構築したソリューションを、横展開してもらう取り組みだ。代表的なソリューションとして、システムズナカシマの「NICE営業物語 on kintone」や船井総合研究所の「グロースクラウド」が挙げられ、パソナとはクラウド型人事管理アプリ「kintone HR Powered by PASONA」を共同開発している。さらには、八芳園やエン・ジャパン、矢内石油など、ユーザー企業がオフィシャルパートナーに回る事例も増えているという。

 OEM協業については、リコーと進める「RICOH kintone plus」が2022年10月の発売から約1年で、導入企業数1000社を突破。同製品には、リコー複合機との連携など独自機能が搭載され、同社の販売ネットワークで展開されている。

リコーとのOEM協業による「RICOH kintone plus」の展開

グローバル展開もパートナービジネスを重視、今後も“適切な”チャレンジを継続

 赤字前提で根気強く取り組むのがグローバル展開だ。2022年に結んだ前述のリコーとの協業により、2023年2月に北米でもRICOH Kintone plusを提供開始。同市場では、直接のビジネスの開拓からパートナーとの連携強化による顧客リードの獲得に戦略を切り替えている。また、kintoneをスペイン語対応し、中南米向けにもRICOH Kintone plusを展開していく。

 東南アジアでは、富士フイルムビジネスイノベーションとの連携を強化。国内同様にパートナーエコシステムを重視しながら、グローバル展開を引き続き注力する。

 一方で、グローバルでのユーザー企業は、米国では前年比1.2%増、中華圏では前年比6.2%増、東南アジアでは前年比8.3%増と成長はしてはいるものの、まだまだ黒字化には遠いのが現状だ。

グローバル展開の現状

 「結果に繋がるまで時間がかかるかもしれないが、上手くいくと今までサイボウズが成し得なかった大きな成長につながる」と青野氏は強調する。同社の“チームワークあふれる社会を創る”という企業理念において、グローバル展開は避けて通れないとして、今後も適切にチャレンジし続けていくという。

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