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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第53回

日本発の画像生成AIサービスがすごい 無料アップスケーラー「カクダイV1」

2024年02月19日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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「Maginific AI」は丸投げできてラクだが高すぎた……

Magnific AI。シンプルなインターフェースが魅力。ほとんど迷うことがない

 そんな中、2023年12月に登場して注目されたのが「Magnific AI」。スペインのベンチャーが開発した画像生成AIのクラウドサービスです。アップスケールのみに特化するサービスという点が面白い点でした。

 UIは非常にシンプルでわかりやすく、アップスケールをしたい画像をアップロードして、Upscaleのボタンを押すだけ。1分ほどで、デフォルトでは2倍に高解像度化して、様々な描き込みを入れてくれます。最大16倍まで大きくできます。変化の度合いは「Creativity」などのパラメータで制御できます。大きな数値を設定すると画像はかなり変わってしまいますが、独自のディテールが追加されて出力されます。

Magnific.AIでアップスケールした画像(左=4928x3712ピクセル)、Midjourney v6で生成したオリジナル画像(右=1232x932ピクセル)。創造性を認めているので、オリジナル画像よりもかなり顔が変わっている。顔は使用しているモデルの影響か、欧米系のリアル系になりやすい。影響度合いは調整可能

 最大のメリットは何よりも、「適当にアップすればなんとなくいい感じに、アップスケール画像を出力してくれる」ということ。思い通りにならないこともありますが、試行錯誤をしたり、元の画像と合成したり、部分的に使うというやりかたもあるので、便利です。

 仕組みについては情報がまったく公開されていませんが、プロンプトを一切指定しなくても画像にそれなりに合わせて生成されるので、画像解析をして、画像からプロンプトを生成した後、Tiled Diffusionに似たような処理をしているのではないかと推測されています。

 Maginific AIはディティールの付け方が独特で、美しい結果を生み出すこともあるため、変わった使われ方も探られています。

Midjouney v6で生成した画像(左、1024x1024ピクセル)、Magnific AIで8倍にアップスケールした画像(右、8192x8192ピクセル)

様々なディティールが追加されるので島そのものに色々な情報が増えており、それを見て回るだけでもおもしろい。画像は中央部の建物をアップにしたところ

 Magnific AIを他のサービスと組み合わせるプロのアーティストも出てきています。たとえばMartin Nebelongさんがやっているのはリアルタイム生成との組み合わせ。3Dツールを使った画面をリアルタイム生成で撮影し、Magnific AIを使って高解像度版にするというワークフローを提案されています。

 こうした便利なサービスではあるのですが、問題は値段が高いことです。無料のお試しはなく、月39ドルで、2倍のアップスケール処理が200回できるという内容。さらにプレミアムだと月99ドル、月299ドルという高さ。アップスケールしかできないのに、Midjourneyのスタンダードプランの月間30ドルよりも高いんですよ。そのことから、なんとかMaginific AIをもっと安価に使える方法はないかと、ディテールを増させるように学習させたLoRAなど様々なアプローチを通じて開発が進められてきました。

 こうしたもののひとつとして登場したのが、「カクダイV1」です。

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