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新素材「オーランチオキトリウム」食品原料販売&受託培養開始

人口の白子、ウニ、ラーメンのスープなどに利用可能

 ユーグレナは、同社の強みである藻類大量培養技術を活かして、DHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含み魚介風味が特徴の食品原料等として注目されている微細藻類である「オーランチオキトリウム」の生産体制を構築し、沖縄県石垣市にて商業生産が可能になったため、食品原料販売および受託培養・生産を開始した。

DHA:ドコサヘキサエン酸。人間に必要な栄養素である必須脂肪酸の一つ。人間の体内で合成ことができないため、魚介類等から摂取する必要がある

オーランチオキトリウム

写真左:オーランチオキトリウムの粉末、写真右:オーランチオキトリウムの顕微鏡写真

オーランチオキトリウム 加工

オーランチオキトリウムの加工イメージ

 同社は、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(以下、ユーグレナ)の食用屋外大量培養に成功し、以来、食品や化粧品などヘルスケア商品の原料として活用しているほか、ユーグレナをはじめとする微細藻類由来の油脂をバイオ燃料原料として活用する研究開発を推進している。

 オーランチオキトリウムは、人間の必須栄養素の一つであるDHAを豊富に含有しており、深い旨味と程よい塩気のある魚介風味が特徴。海洋環境の持続可能性が危惧される昨今において、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材としての活用も期待されている。

 そして今回、食品原料として利用可能なオーランチオキトリウムの生産体制を構築し、商業生産が可能となった。生産したオーランチオキトリウムは食品原料として販売し、外部組織等からの依頼によるオーランチオキトリウムをはじめとするラビリンチュラ類(葉緑体を持たず海洋の有機物を分解・吸収する単細胞生物)の受託培養・生産も開始する。

 同社はこれまで、社会課題解決の手段として複数の藻類の実用化・社会実装を検討し、その一つとしてオーランチオキトリウムの研究などを実施してきた。研究事例は以下のとおり。

2019年5月「オーランチオキトリウムの大量生産技術を開発」
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/sip/sip1_topix_4-5-01.pdf

2020年4月22日「ユーグレナ社、リアルテックHDとJAXAが主導する「SPACE FOODSPHERE」プログラムに参画し、宇宙と地球上における微細藻類培養技術と食料資源の開発を推進します」
https://www.euglena.jp/news/20200422-1/

2021年8月2日「微細藻類オーランチオキトリウムを給餌することで、食用コオロギに含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)の含有量増加を確認しました」
https://www.euglena.jp/news/20210802/

2023年3月22日「宇宙食3.0への挑戦!『2040年サステナブルラーメン』を開発」
https://www.euglena.jp/news/20230322/

2024年1月18日「ユーグレナ社と⼤阪⾏列No.1ラーメン店『人類みな麺類』が初コラボ」
https://www.euglena.jp/news/20240118-2/

同社生産のオーランチオキトリウムについて

・オーランチオキトリウムは高脂質含有ゆえに粉状の加工に技術を要するが、オーランチオキトリウムの藻体を丸ごと粉状に食品原料化
・徹底した衛生管理により熱殺菌工程が省略可能になり、熱分解しやすい成分を壊さずそのまま含有
・培養工程において完全食品対応かつ動物性資源不使用
・アレルゲン特定原材料等28品目には該当せず、生産工程の原材料にも不使用

生産場所:八重山殖産(沖縄県石垣市)
生産規模:最大年産量10t以上
風味:魚介類を感じさせる風味
食品素材用途:サプリメント、シーズニング、代替シーフード素材など

オーランチオキトリウム 生産

オーランチオキトリウムの生産工程イメージ

オーランチオキトリウムとは

 オーランチオキトリウムは、ラビリンチュラ類に属する微細藻類。2007年に分類された比較的新しい生物群であり、世界中の海水域またはマングローブ林などの汽水域に生息している。脂質を高濃度で蓄積し、中でも人間の体内で合成できない必須栄養素の一つである不飽和脂肪酸「ドコサヘキサエン酸(DHA)」を多く生産・蓄積する特徴を持っている。魚介類に含まれるDHAは、主としてオーランチオキトリウム等の藻類・微生物を起点とした食物連鎖を通じて獲得されると言われており、生態系だけでなく人々の食生活へも重要な役割を担うとされている。近年では、世界的な人口増加、養殖業の拡大、気候変動の影響等による水産資源の減少危機などに対する懸念を背景に、DHAのサステナブルな供給源として、食品や水産養殖餌料の原料等としての期待が高まっており、油脂を高効率で生成・蓄積することから、バイオ燃料の原料としての研究も実施されている。

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