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若齢期のアミノ酸摂取制限により寿命延長が可能に=東大など

2023年12月08日 17時29分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学、理化学研究所らの国際共同研究チームは、食餌(食事)制限による寿命延長効果が加齢によって弱まることを、ショウジョウバエを用いた研究で明らかにした。

東京大学、理化学研究所らの国際共同研究チームは、食餌(食事)制限による寿命延長効果が加齢によって弱まることを、ショウジョウバエを用いた研究で明らかにした。 食餌制限が寿命延長効果を示すことはさまざまな生物で確認されており、ヒトについてもさまざまな食事制限による健康増進法が提唱されている。中でも、アミノ酸の一種である「メチオニン」は寿命に大きな影響を与えることが知られている。 研究チームはまず、メチオニン量のみを10分の1に制限した合成餌を用いることで、研究室内で再現性よく寿命延長が観察できるメチオニン制限条件を決定。この餌条件を用いて、メチオニン制限による寿命延長効果が、ショウジョウバエのライフステージによってどう変化するかを解析した。 その結果、中年期以降にメチオニン制限をしても寿命は延長せず、逆に若年期だけメチオニン制限をすれば寿命が延長することを発見。メチオニン制限による寿命延長効果は加齢によって大きく低下することを見い出した。同チームはさらに、詳細な遺伝子発現解析を実施し、若い時期のメチオニン制限では、抗老化能を持つ多くの遺伝子が発現増加する一方、老化してからではそれが機能しないことを明らかにした。 今回の研究成果は、栄養による老化制御の理解と、健康長寿に向けた栄養介入法の構築・改良に貢献することが期待される。研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)のオンライン版に2023年12月5日付けで掲載された

(中條)

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