このページの本文へ

社長と社員が語る「ワンプラットフォーム」「エコシステム」「全社展開」「テクノロジー」「AI」「グローバル」

6つのキーワードで「サイボウズNEXT」が見えた

2023年11月21日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

増えるセミオーダー型システム サイボウズもパソナもリリース

 全体の1/4を締めた2つ目のECO SYSTEMの解説では、サイボウズ 営業戦略部 兼 事業戦略室の山田明日香氏が登壇。kintoneを用いたシステム導入を迅速にするためのパートナー施策が紹介された。

サイボウズ 営業戦略部 兼 事業戦略室の山田明日香氏

 kintoneはサービス開始当初からエコシステムを重視しており、業種・業務ごとに異なる情報共有の課題を、それぞれの分野に特化したパートナーとともに解決してきた。現在、サイボウズのオフィシャルパートナーは458社にまで拡大。昨年は60社、今年は70社増え、急速に数を増やしている。また、サイボウズのビジネスに興味を持ち、オフィシャルパートナーに向けた準備を進めているレジスタードパートナーも635に拡大。合わせると1000社以上という巨大なエコシステムとなってきた。

 パートナーは大きく、アプリの設定やカスタマイズを行なう導入支援パートナーと、kintoneを便利に使ってもらうためのプロダクトパートナーの2種類あるが、後者のプロダクトパートナーの連携サービスは347を数えるまでになったという。そして、今回のサイボウズデイズでは、オフィシャルパートナーのうち約1/4にあたる104社が展示を行なっている。「過去最高のパートナー出展数。ここまで集まる機会はないので、ぜひパートナーブースをのぞいてほしい」と山田氏はアピールした。

最新のエコシステム

 エコシステムの拡大とともに、パートナーのサービスも多様化している。固定料金での開発を提供する定額開発や、内製化を支援する伴走サービス、研修サービス、より上流の要件定義から実施するコンサルサービスなど。こうしたサービスの中で、山田氏が紹介したのは、パッケージと個別開発の中間に位置する「セミオーダー型」のサービスだ。

 ご存じの通り、標準化されたシステムのパッケージの場合は、業務をシステムに合わせる必要がある。個別開発の場合は、システムを業務に合わせることができるが、時間とコストがかかり、拡張性にも問題がある。これに対して、kintoneをベースにしたセミオーダー型システムはパッケージでありながら、カスタマイズも可能という柔軟性を持つ。営業情報共有、アフターサービス、給与、製造業向け生産スケジューラー、IoT、稼働監視・進捗管理などすでにいろいろな分野で各社のセミオーダー型システムが用意されている。

 そして、サイボウズ自身もメソッド事業であるサイボウズチームワーク総研のノウハウを投入したHR向けのkintoneシステムを来年リリースする予定。山田氏は、「コロナ前はワークライフウバランスやリモートワークへの問い合わせが多かったが、コロナ禍後は、従業員のエンゲージメント・キャリア支援のお問い合わせが増えてきた。こうした要望にメソッドだけではなくツールも組み合わせて支援したい」と語る。

 もう1つ紹介されたセミオーダー型システムは、パソナの「kintoneHR powered by PASONA」になる(関連記事:パソナとサイボウズ、共同開発したクラウド型人事管理アプリを提供開始)。昨今、人へのコミットを強める「人的資本経営」が話題になる一方で、人事は雑務が多くて、攻めのHR施策になかなか注力できないという悩みがあるという。こうした悩みを解消すべく、人材サービスを提供するパソナが開発したのがkintoneHR powered by PASONAになる。当初は採用、育成、評価、人事相談、面談管理など労務以外のサービスを先行させ、続いて攻めのHR施策を取り込んでいくという。登壇したパソナ DXソリューション事業部の勝部 佐英子氏は、「パソナも500人ほどエンジニアがおり、kintoneのカスタマイズ開発も実績を持っている」とkintoneの開発力をアピールした。

パソナが提供するkintoneベースのHRサービス「kintoneHR」

 最後、山田氏は今後の予定として「セミオーダーのさらなる拡大」「安心して使える連携サービス」「ユーザーとパートナーのマッチング」の3点を挙げ、エコシステムをより拡大していくとアピールした。

「全社導入ライセンス」を来春投入 アプリ上限の変更や専用機能・APIも

 続いて3つ目に挙げた「COMPANY WIDE」は、まだまだ利用が部署にとどまっているkintoneを全社展開させるための施策についてだ。

 登壇したサイボウズ 事業戦略室 エンタープライズ戦略の池田陽介氏は、大陽日酸グループが8000人規模の全社プラットフォームとしてkintoneを採用した事例を披露した(関連記事:大陽日酸、グループ8000名でkintoneを活用、契約書管理アプリで年間400万削減)。大陽日酸では、現場メンバーが主体的にアプリを開発し、IT部門がそれをサポートするという体制を引いている。具体的にはkintone道場という研修システムがあり、テストをパスしたユーザーにkintoneのアカウントが与えられる。「現場によるノーコード開発のメリットとガバナンスを両立させた事例」と池田氏は説明する。

 現在、大陽日酸では600を超えるアプリが開発されており、契約管理アプリ1つだけでもペーパーレス化で年間400万円のコスト削減を実現しているという。さらに今まで難しかった外部からのセキュアなアクセスも可能に。単なるアプリ開発にとどまらず、現場メンバーによる主体性を育み、変化に強い組織を作るための、企業の風土改革の一翼を担い始めているという。

 大企業におけるkintoneの全社導入を促進すべく、サイボウズは全社導入向けの専用ライセンスを来春提供する予定だ。現状、最大1000アプリという上限をユーザーに応じて変更できるようにするほか、専用機能・専用APIも提供する予定。さらにポータルや検索、アプリ分析が可能な専用プラグインをサイボウズ自身が提供するという。また、全社展開を推進するためのサポートも用意。専門の窓口対応や定例ミーティングの実施、定着までの支援、スキル認定されたパートナーとのマッチングまで行なっていくという。

全社導入ライセンスを来年提供する

カテゴリートップへ